働き方改革と人材育成のポイント

働き方改革と健康経営のポイント

健康経営とは

健康経営とは、従業員等の健康管理や健康増進の取り組みを投資と捉え、経営的な視点で考えて、戦略的に実行する新たな経営手法です。
これは、従業員の健康保持や健康増進を目的とした企業側の積極的な取り組みは、コストではなく将来への投資であるという考え方の元、健康管理を重要な経営課題の1つとして経営的な視点で向き合う事を指します。

メンタルヘルスやブラック企業が社会問題として取り上げられる昨今、健康管理を企業の経営課題ととらえる企業が増加しています。
この傾向は、経済産業省と東京証券取引所が、従業員の健康管理に戦略的に取り組む企業を「健康経営銘柄」として選定していることにも現れています。
健康経営は、単に健康管理面でのマネジメントが行えるだけではなく、長期的にみて経営面もよくなっていく可能性が高い方法です。

日本で健康経営が推進される背景

労働力人口とGCPの減少

昨今、労働者不足問題が深刻化するなか、官民を挙げて働き方改革が推進されています。 しかし、労働生産性の向上を実現するためには働き方を変えるだけでなく、全ての従業員が心身ともに健康な状態で活き活きと働くことのできる土台作りにも、力を入れなければなりません。

従業員一人ひとりの労働生産性を高めることができなければ、労働力人口の減少とともにGCP(社内総生産)も減少していくばかりです。健康経営を通じて個々のパフォーマンスを高い状態で維持し、魅力的な企業を作り上げることによって、多くの求職者が希望する強い企業を作り上げることができるでしょう。

機会損失に対するリスク回避

組織は人なりという言葉があるように、組織は従業員がいなければ何の活動も行うことができません。
また、多くの従業員を抱えていたとしても、常習的に遅刻や早退、欠勤を行う従業員や、出勤はするものの心身の不調によって十分なパフォーマンスを発揮することができない従業員の割合が多ければ生産性や業績を高めることはできません。
健康経営は、 足踏み状態による機会損失を未然に防ぐリスクマネジメント の観点からも大きな期待が寄せられているのです。

医療費の増大と健康保険組合の解散

近年、メンタルヘルスの不調を訴える社会人が増加しており、企業が負担する医療費は年々増加の一途をたどっています。 また、その影響を受けて大企業の社員とその家族が加入する1,394の健康保険組合のうち、4割以上もの組合が経営赤字に陥っています。
医療費の企業負担が増加すれば利益が減少し、戦略的投資に使用できる資産が少なくなってしまいます。 そして、健康保険組合が解散すれば全国健康保険協会に加入することになるため、組合独自の給付が受けられなくなる上、自社が加入している健康保険組合の保険料が協会けんぽよりも低く設定されている場合には支払う保険料が増加することになってしまいます。
健康保険組合連合会の試算によると、団塊世代が後期高齢者となる2025年には、全体の4分の1を超える健康保険組合が解散の危機を迎えるといいます。
従業員やその家族の健康に配慮して医療費の削減を図ることは、企業が率先的に取り組むべき重要課題 になっているのです。

健康管理の具体的な取り組み

会社の現状を知る

社員の健康管理を行う前に、先ずは会社の人事制度や具体的な取り組みの実態を把握する必要があります。自社の人事制度では健康的な労働生活を送ることができるか、健康に関して既に取り組んでいることはあるかなど、現状をしっかりと把握しましょう。働く人の環境変化や年齢により求められていた制度が今は変わっている場合もあります。

自社の現状をどのように把握すれば良いのか分かりかねているという企業担当者の方は、厚生労働省が提供している働き方・休み方改善指標や、経済産業省が実施する健康経営度調査と自社を照らし合わせてみると良いでしょう。

定期的な健康診断・ストレスチェックの実施

社員の健康に関する実情を把握するには、社員全員に対して定期健康診断を実施すること、さらにはストレスチェックも行い、体には表れていない精神衛生の部分も現状を把握するといった取り組みを行うべきです。そして、形だけを作るのではなく、健康診断受診率100%を目指し、実質を伴ったものにしなくてはいけません。会社での疲弊やストレスは、社員の心身ともに影響を与えます。定期的に社員の心身の両面から管理し、実際の取り組みにつなげていくことが大切です。

社員の健康を維持する仕組みづくり

ただ定期的に心身の状態を確認するだけでは、データが集まるだけで社員の健康にはつながりません。大切なのは、社員が自ら健康増進を心がけ、健康を維持できる仕組みをつくることです。十分な休憩時間の確保や長時間労働の是正、専門家による健康セミナーの開催、社内での部活動の推進など、様々な制度として設けたり、健康を意識する機会や情報を提供したりすることで、社員が健康へ関心を寄せるよう計らいます。1度のセミナーやイベント実施で終わるのではなく定期的に健康についての情報を発信し続けることで、社員が積極的に健康を意識するようになれば、自然と健康増進、維持につながるはずです。

女性の働きやすさにも配慮

女性のさらなる社会進出および活躍が期待されている昨今、企業は女性の働きやすさについても考える必要があります。
希望者は定期的にカウンセリングを受けられる制度や、婦人科検診が受けられる制度といった施策は大変効果的でしょう。また、産休育休制度を充実させることで出産育児と仕事の両立への不安も少なからず解消されるはずです。

まとめ

働き方改革の推進を加速させるには、まず社員の健康と就業環境の健全化が必要不可欠です。
社員の健康増進によって、集中力の向上やモチベーションアップなど、働き方改革を進めるうえでプラスの効果を発揮するメリットが多くあります。まずは会社の現状を把握し、課題に適した取り組みを行うことが大切です。社員の健康管理から、働き方改革を加速させていきましょう。

社内改革の進め方

社内改革の進め方

社内の意識改革とは?

意識改革とは、考え方や取り組みの姿勢などを従来のものから新しいものに変える事を指します。
この意識改革を企業経営の中で促進しようとするとき、視点が偏りがちになるので注意しましょう。

意識改革の対象者

意識改革の対象者は、経営者を含め、従業員全員です。そして、経営者が従業員に意識を変えさせるというベクトルは存在しません。
つまり、先述の「従業員を企業理念やビジョンに沿わせることが課題」は成り立たないということです。無理に変えようとすれば、従業員に否定感や反感が湧き、対立関係となって失敗します。意識改革は強制すればなされるものではなく、全員が対象で一人ひとりが自らの思考や行動を変えるということなのです。

意識改革の対象意識とは

意識改革は、ルールに従う意識をもたせることではありません。対象となるのは、従業員から自発的に湧いてくる自ら課題を見つけ出そうとする意識、見つけ出した課題や問題に対し、自ら解決策を探る意識、組織の一員としての意識など従業員の内面にある意識を指します。
外側からの働きかけだけで、実現できるものではありません。

意識改革のメリット

企業側のメリットとして、従業員の意識向上、業務効率や生産性の向上など、組織の強化につながる点が最大のメリットです。
組織が強くなるほど、競争力も業績も上向きになると考えます。

従業員のメリットとしてはポジティブな姿勢で仕事と関わる事が出来るようになり、自己能力の向上に繋がります

企業の取り組み

精神論で終わってはいけない

意識は物体がなく、数値化も難しいため、精神論で語られることが多いです。意識改革は推進しても、精神論で終始してしまいやすい特徴をもちます。
まず、経営陣が明確なビジョンを示すことが大切です。そのビジョンを軸に、具体的な行動に落とし込むことが、意識改革を推進する人の役割になります。

その前に解決すべき事を確認する

意識改革の必要性が視野に入ったとき、具体策の立案を急ぐ前に、他に必要な現実的要素をないがしろにしていないかの見極めも重要となります。

例えば、人員数と業務量は適切か、企業・経営への信頼は築かれているか、納得度の高い人事評価や待遇がなされているか、職場環境は整備されているか 従業員の意識は、組織や就業能力に大きな影響力をもっており、重要な要素のひとつです。しかし、従業員の目線に立てば、意識云々以前に、もっと基本的な満たすべき要素もあります。
それが十分でないままに意識改革の取り組みを進めても、従業員はついてきてくれないでしょう。

意識改革が活きる場面、必要となる場面

組織文化に対する意識改革

組織文化は、経営者がどれだけ理想を謳っても、その言葉だけで作り上げることはできません。個々の従業員の業務態度や成果、数々の行動実践で総合的に、かつ、歴史の中で作り上げられていくものです。
組織文化の変革には、数年単位の覚悟が必要となります。理想とする文化があるとき、その文化を形成する要素が存在します。それを施策や行動指針に落とし込む必要があります。

管理職、リーダー育成

管理職やリーダーは、企業と従業員の橋渡し役を担っています。また、統率するマネージャーやリーダーとしての心構えや務めもあります。この層の意識改革が、企業の明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。
個々の従業員の可能性を引き出していけるかどうかも、管理職やリーダー層にかかっています。この層の可能性を最大化することが、企業の役目かもしれません。

主体性や自律を促す

個々の能力については、すでに個人がもっている要素があります。しかし、今以上の成長は、業務経験によって促されるものです。そのためには「自ら考えて動く」姿勢を欠かすことはできません。
この姿勢があると、企業や仕事に対するエンゲージメントも高まるはずです。業務遂行の縛りや制限を緩めて自由度を高めると、自ずと思考を働かせるようになります。従業員を信頼した上での、適切な権限委譲や機会提供も有効です。

ワーク・ライフ・バランスの向上

心身ともに健康を維持し、長期的に働いてもらうための意識改革も必要です。ワーク・ライフ・バランスに関しては、働き方改革を含めさまざまな施策があります。休暇や休息も仕事に活きるという認識をもたせることも課題のひとつです。
従業員が施策を活かす意識がもてるような働きかけが重要隣となり、利用する従業員、周囲の意識改革も必要となってきます。

まとめ

社内改革において、企業と従業員について、それぞれの現状を把握し、自社に必要な意識改革策を見出す事が重要となります。
また企業側の宣言だけで、実行を従業員に委ねるのではなく、実践に対し、見守る、評価する、改善を促すなどの社内改革の理念の浸透を継続して行う必要がります。

働き方改革が上手くいかない原因と対策

働き方改革が上手くいかない原因と対策

働き方改革で期待した効果を得られない原因

従業員のワークライフバランス実現に向けて、多くの企業で取り組んでいる働き方改革ですが、実は従業員にとってはむしろ逆効果となってしまっているケースが多々あり、実際にやり方を間違えている、環境の改善が追い付いていないなど様々あります。

働き方改革を実施しても期待している効果が得られてない主な要因は以下の3つが考えられます。


  1. 生産性が向上していない、もしくは向上している手応えを感じられない
  2. 長期間労働是正のための会社の環境が整備されていない
  3. 働き方改革推進のサイクルがうまくいっていない

働き方改革の実施効果と従業員の満足度を高めるために


生産性向上を支援するツールやデバイスの導入

働き方改革成功の大きなカギとなる要素として、いかに生産性を高めるかがあげられます。しかし、従来と変わらない働き方や働く環境だと生産性を高めることは困難です。
そこで検討したいのが、生産性向上を支援するツールやデバイスの導入です。
例えば、ワークスモバイルジャパン社が提供しているコミュニケーションツールのLINE WORKS、Googleが提供しているクラウド型グループウェアツールのG Suite Business、など様々なツールやデバイスがあります。
自社の業種や職種、ワークフローに合ったツールやデバイスを導入し、更なる生産性向上を目指しましょう。


働き方改革のKPIを定めてPDCAサイクルを回す

働き方改革の実施効果が得られていない理由の一つとして、そもそも何も持って自社の働き方改革の効果があるのかを測る適切なKPI(重要業務評価指標)を設定していないケースがあります。自社で働き方改革を推進する目的を踏まえて適切なKPIを定めていきましょう。
KPIを定めたら定期的な進捗チェックも必要になります。チェック結果をもとに実施状況を振り返り、更なる改善策を提示し、再び実装するといった一連のサイクルを回すことで、働き方改革の効果を継続的に確認することができます。


働き方改革と連携できるよう、人事評価制度を見直す

多彩なワークスタイルを受容する働き方改革を実施しても、人事表制度が従来型であれば、従業員が処遇に不満を感じて、働き方改革関連の各種制度が利用されないケースが出てきてしまいます。
働き方改革推進に関する各種制度の利用状況を問わず公平に人事評価ができるように制度を見直すとともに、改正された人事評価制度を全従業員に周知を徹底して不安を取り除くことが必要です。


働き方改革の目的を理解し、自社の環境にあった取り組みを実施する

働き方改革の施行が始まっている今、企業規模を問わず働き方改革を一層強化していかなくてはなりません。既に働き方改革を推進している企業でも、市場の変化や従業員のライフスタイルの多様化に合わせ施策を今一度見直す必要があるかもしれません。
施策を実施する場合も、実施後に生じた課題解決するための改善策を検討する場合も、自社の働き方改革の目的を改めて確認することが大事です。

まとめ

働き方改革が上手くいかない理由はいろいろあるかと思いますが、企業側と労働者側の認識のギャップも原因のひとつではないでしょうか。双方が向き合い建設的な議論を行なった上で働き方改革を行う、それぞれに見合ったやり方で行うことが重要かと思われます。

働き方改革における人材育成について

働き方改革における人材育成について

生産性が低い要因と日本企業の課題

日本企業の生産性が低い要因として、人材の育成、活用の課題があります。OJTによる人材育成は熱心に行っていますが、今後はOJTで身につく企業内経験値だけでは、新しいアイデアを生み出し、企業を牽引するための幅広い情報、幅広い世界、幅広い人脈を得ることは出来ません。
OECDの調査等によると、日本は個人の能力としては世界トップでありますが、企業入社後にその能力を十分に生かす働き方ができていません。


先進国では、情報化が進み、デジタル技術の導入に取る業務効率化や付加価値の高い商品・サービスの開発、高スキルの人材の育成を行い、企業の競争力を高めています。他方、日本企業では、旧態依然とした状態で、その流れに完全に乗り遅れています。

人材育成の課題

人材育成をすることは、通常の業務から離れて人に教えるという業務が発生します。そのため離職率が高い業界ほど、業務が多忙で人材教育のために人員を割くことが出来ず、人材育成の実施率が低くなります。満足に研修や仕事内容を教えてもらえないと従業員のモチベーションが低下し、離職率の上昇に拍車がかかるといった悪循環に陥ってしまいます。これらの要因として、組織として人材育成の体制が整っていないケースがあります。

人材育成を成功させるために

人材育成を成功させるには、従業員の自発性を高めることが必要になります。企業が全て教えるのではなく、従業員自ら学んで成長していこうとするようになる事が、理想的な姿といえるでしょう。
人材育成のポイントとしては、スキルアップのための制度をつくる、適切な業務量を考える、特性を考えた仕事を与えるなどがあります。


人材育成は個人の努力だけでは成功するものではありません。企業や組織全体として人材育成のための仕組みを作ることが重要になります。
例えば社内FA制度やeラーニングシステムなどがあります。

学びなおし支援

個人の事情により一度離職した女性の再就職・職場復帰や、新卒時に正社員として就職できなかった就職氷河期世代の非正規雇用問題、就職・キャリアアップに不利な立場にあると言われる高校中退者等に対して学び直し支援を行うために政府は、誰でもいつでも教育の機会があり、知識や技術を身につけていつでも再スタートできる環境整備を行うとしています。
自分の状況に合った多様な働き方をしていくためには、年齢に関係なく自らのキャリアアップ・スキルアップのために学び直せる環境が必要と言う考えの他にも、長期間職に就いた事がない、子育て期間からの復帰に長期間かかったなどで再就職を行う際スキル、知識等で不利に働く為、そういった方々の為にこのような支援を行う事が検討されています。

リカレント教育とは

義務教育や高校・大学などのフォーマルな学校教育を終え、一度社会に出たものがスキルアップや再就職など個人の必要に応じて教育機関に戻るといった学校教育と社会教育を循環的に繰り返す教育システムをさします。
政府は、雇用保険を改正し、専門教育講座の受講支援などの施行を目指すそうです。 内容として、雇用保険の専門実践教育訓練給付金の支給額は、受講経費(入学料+受講料)に対し

       
  • ・給付率:6割→7割
  • ・上限額:年間48万円→56万円
  • ・給付を受けられる期間:子育てによる離職後4年まで→10年まで
       (離職後一ヶ月以内に必要とされていた需給期間の延長手続き制度の廃止)

まとめ

人材育成は企業と従業員の成長には欠かせないものです。しかし、そこに多くの時間を割くことが出来ないのは事実です。
自発的に学べる環境作りも重要ですが、その過程においてもどのように行うのかが重要となってきます。

働き方改革と人材活用のポイント

働き方改革と人材活用のポイント

多様な人材を採用するポイント

働き方改革は、労働者の就業機会の拡大や、働く意欲や能力を存分に発揮できる仕事環境の整備を早急に行い、労働者それぞれの事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現し、国民一人ひとりがよりよい将来展望を持てることを目的として行われております。
組織の多様化の施策群で導入率が5割を超えるのは「障害者雇用の促進」「管理職や重要ポジションへの女性の登用促進、活躍支援」「女性を対象としたキャリア研修、産・育休復職時研修の実施など」「退職・転職した人材の出戻り採用」などがあります。
長時間労働を抑制しつつ生産性を高めていくためには、働く場所や時間を柔軟に選択できる環境や制度を同時に整えていくことが重要です。

就職氷河期世代活躍支援

就職氷河期世代は、その就職期が、たまたまバブル崩壊後の厳しい経済状況にあったが 故に、個々人の意思等によらず、未就職、不安定就労等を余儀なくされ、引き続きその 影響を受けている方々であり、政府としてその活躍に向けて支援していく必要があるとして政府が取り組んでおります。
これまでも助成金等で氷河期世代の就職支援を行ってましたが、地方や悪条件な環境などミスマッチが続き、利用は伸び悩み、効果も今ひとつのというのが現状となっております。 企業が積極的に採用する事により氷河期世代の救済と人出不足の解消につながります

外国人労働者の受け入れ

生産年齢人口が、2060年に約50%まで落ち込むという試算が出ており、人口の半分を占める高齢者・子どもたちを、残りの人口が働いて支えなければなりません。しかし、それでも国際的競争では足りないとの事で、外国人労働者の受け入れの検討は以前から行われておりました。

そこで政府は「特定技能」就労ビザを新設し、これまで外国人が就労できなかった分野での就労が可能にしました。具体的には、生産性向上や国内人材の確保のための取り組み(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善)を行っても、足りないために外国人材の受入れが必要と認められる5職種が対象となります。
一定レベルの日本語能力に加え、業種別に設定された知識・技能条件を満たす外国人が上記職種に従事する場合、最長5年の就労が認められます。
日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安などを考慮して検討されていますが、慎重論が根強くあります。

生産性向上に繋げる人材活用

多様な人材の採用を行なっても、生産性向上や労働環境の改善に繋がらなければ働き方改革としての意味を成しません。
現場に合わせた施策を行う事により、多様性との相乗効果で効果が現れます。

現場で知恵を出し合い効率化

カイゼンとは、おもに製造業の生産現場で行われている作業の見直し活動のことを指します。作業効率の向上や安全性の確保などに関して、経営陣から指示されるのではなく、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決をはかっていく点に特徴があります。トヨタのカイゼンに代表されるように、現場主体の業務効率化としては、製造ラインにおけるものだけではなく、ホワイトカラー的なデスクワークでの効率化も含め、多くの企業で取り組まれています。

生産性向上を支援するツールやデバイスの導入

働き方改革成功の大きなカギとなる要素として、いかに生産性を高めるかがあげられます。しかし、従来と変わらない働き方や働く環境だと個人の努力だけで生産性を高めることは困難です。
そこで検討したいのが、生産性向上を支援するツールやデバイスの導入です。
例えば、ワークスモバイルジャパン社が提供しているコミュニケーションツールのLINE WORKS、Googleが提供しているクラウド型グループウェアツールのG Suite Business、ソフトバンクが提供している法人向けオンラインストレージサービスのPrimeDriveなど様々なツールやデバイスがあります。
自社の業種や職種、ワークフローに合ったツールやデバイスを導入し、更なる生産性向上を目指しましょう。

会議の効率を上げて労働時間削減

和歌山県で電子基板などを製造する大洋工業。 同社は企業理念に「会社は、いつの日も楽しく健康的に働ける場所でなければならない」という一文を掲げるほど労働環境の改善に熱心な企業で、特に労働時間の削減の取り組みを積極的に進めていました。 生産性を下げずに職場環境をより良くするため、改善の目が向けられたのは、会議の実施方法でした。

一般に会議といえば、とくに議論にかけられる時間も明確にされず、答えも出ないままダラダラと長引くことが多くあります。 そこで、同社では特別な会議を除いて「17時以降の会議開催を禁止」「開催時間は45分まで」を開催ルールとして定めました。さらに、会議は立ったまま実施する「起立会議」とし、少しでも早く終わらせられるような工夫も施しました。 これらの改革を経て、同社では3年間で月の平均所定外労働時間を約10時間削減させることに成功しました。日々の業務のなかには、効率化できる時間が多く存在し、日常業務を改めて洗い出すことで、生産性を落とすことなく効率を高めるきっかけになると考えられます。

まとめ

日本社会は少子高齢化、人口減少の時代に突入しています。労働人口が減少すると、企業にとって労働力の確保がさらに難しくなり、人手不足に拍車がかかることが予想されます。そこで企業ができる努力として、少ない労働者でも成果が挙がるように、生産性向上に取り組む必要があります。多様な人材を活用し適切に運用する事により、人手不足の解決に繋げる事ができます。

働き方改革と人材活用

働き方改革と人材活用

多様なワーク・ライフ・バランスの実現

働き方改革は、労働者の就業機会の拡大や、働く意欲や能力を存分に発揮できる仕事環境の整備を早急に行い、労働者それぞれの事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現し、国民一人ひとりがよりよい将来展望を持てることを目的として行われております。特に女性やシニアの労働参加を推進して新たな労働力を生み出すと同時に、労働者の多様なワーク・ライフ・バランスの実現を目指す事により、人材不足の解決と生産性向上を図ります。

働き方の柔軟化と組織の多様化で生産性が向上?

組織の多様化の施策群で導入率が5割を超えるのは「障害者雇用の促進」「管理職や重要ポジションへの女性の登用促進、活躍支援」「女性を対象としたキャリア研修、産・育休復職時研修の実施など」「退職・転職した人材の出戻り採用」のみです。
今後の導入施策として注目されているのは、「正規・非正規雇用従業員の間の処遇格差の是正」「介護と仕事の両立に関する教育」「在宅勤務やリモートワーク」などです。

長時間労働を抑制しつつ生産性を高めていくためには、働く場所や時間を柔軟に選択できる環境や制度を同時に整えていくことが有効なようです。

来るべき人手不足への備えと解決策

女性・若者が活躍しやすい環境整備

労働力人口の減少に対応するため、就職氷河期世代、子育て等で離職した女性、高校中退者やひきこもりの若者など多くの人が働ける環境を作り、様々な人に働いてもらう為の環境整備が進んでおります。このようにこれまで様々な事情から就職が難しかった人の就職支援・キャリアアップ支援を行うことにより、女性・若者が幅広く活躍しやすい環境作りが進んで行われております。

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の強化

職業安定法を改正し、ハローワークや職業紹介事業者の全ての求人を対象に、労働関係法令違反を繰り返す求人者の求人を受理しないことを可能とし、また、求人情報の提供を行う事業者に対し、実際の労働条件と異なる求人情報を出させないようにするなど、必要に応じて指導等を実施できるように現在法整備が進んでおります。

学生・生徒に対する労働関係法令や相談・通報窓口等を用意するなど、各方面でブラック企業淘汰を行う流れとなっております。

高校中退者等に対する自立支援

図書館等を活用して高校中退者等の高卒資格取得の学習相談・支援が検討されています。また、教育委員会や学校、地域若者サポートステーション等の連携を強化し、就労・自立に向けた切れ目ない支援体制を構築することで、若者の支援が検討されています。

学びなおし支援

個人の事情により一度離職した女性の再就職・職場復帰や、新卒時に正社員として就職できなかった就職氷河期世代の非正規雇用問題、就職・キャリアアップに不利な立場にあると言われる高校中退者等に対して学び直し支援を行うために政府は、誰でもいつでも教育の機会があり、知識や技術を身につけていつでも再スタートできる環境整備を行うとしています。
自分の状況に合った多様な働き方をしていくためには、年齢に関係なく自らのキャリアアップ・スキルアップのために学び直せる環境が必要と言う考えの他にも、長期間職に就いた事がない、子育て期間からの復帰に長期間かかったなどで再就職を行う際スキル、知識等で不利に働く為、そういった方々の為にこのような支援を行う事が検討されています。

リカレント教育とは

義務教育や高校・大学などのフォーマルな学校教育を終え、一度社会に出たものがスキルアップや再就職など個人の必要に応じて教育機関に戻るといった学校教育と社会教育を循環的に繰り返す教育システムをさします。
政府は、雇用保険を改正し、専門教育講座の受講支援などの施行を目指すそうです。 内容として、雇用保険の専門実践教育訓練給付金の支給額は、受講経費(入学料+受講料)に対し

       
  • ・給付率:6割→7割
  • ・上限額:年間48万円→56万円
  • ・給付を受けられる期間:子育てによる離職後4年まで→10年まで
       (離職後一ヶ月以内に必要とされていた需給期間の延長手続き制度の廃止)

就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援

長い間の不況により、氷河期世代に当たる管理職や社員が大きく抜けており、その人材確保が急務となっております。
就職氷河期世代の正社員化推進、就職・キャリアアップに不利な立場にあると言われる高校中退者等に対する高卒資格取得に向けた学習相談・支援など、若者の活躍に向けた支援・環境整備が検討されています。

就職氷河期世代への支援

就職氷河期に就職時期を迎え、現在もフリーター等として離転職を繰り返す人の正社員化に向けて、短期・集中セミナーの実施、わかものハローワークにおける就職支援、事業主への助成措置の創設など、個々の対象者に応じた集中的な支援を行います。
また、雇用保険法を改正し、倒産・解雇等により離職した若者に対する基本手当の所定給付日数を引き上げが検討されています。

まとめ

働き方の多様化はこれまで就業の機会がなかった人たちにとっては考え方によっては大きな機会なのかもしれません。誰でも働けるような環境を作ることによって、人が集まることによって企業にとってもメリットになると思われます。

AI導入のポイント

AI導入のポイント

近年におけるAIの技術開発には目覚ましいものがあり、使えば使うほどに賢くなるAIが実用化されたことにより、人間による入力を必要とせず、膨大なデータの自動学習ができるようになりました。 ビジネスでも使用されることが増えて行き、大手企業での採用例も増えております。

AIの業務・採用例

チャットボットなど顧客対応

顧客対応用のチャットにAIを設定することにより、顧客の対応をすることが出来ます。 過去データから、寄せられた質問・相談の内容を分類、複雑なものではなく最適な回答をすぐに提示できるものと判断した場合、AIのチャットボットなどが処理を行い自動で対応します。 どうしても対応できない箇所のみ人間の従業員が担当する必要がありますが、年々精度が上がっております。

RPAなどによる事務作業

データ入力などの事務的な作業もAIが自動的に行い、人間が担当するより正確で早い作業を実現しております。

単純な作業ほどAIによる置き換えが進んでおり、またAIの出来ることの幅が広がるにつれ、事務作業全般もすべてAIによる完全自動化される日も遠くありません

AIのメリット

人件費のコスト削減

業務の工数を減らせるので、人件費のコスト削減が実現できます。人件費は企業の支出の中で大きな割合を占めるため、人件費を削減できることは企業にとって大きなメリットになります。

業務の効率化

人間が行うよりも速く正確にできます。人間は疲れてくるとミスを生じやすくなり、ミスした分業務の効率も落ちますが、ロボットは疲れることがなくミスをすることもありません。

AIとの共存

こうした膨大なデータの処理や業務最適化の実施など、AIが得意なところであり、可能性は拡大していくと考えられます。
しかし、何もないところから仕事を見出して作ることや、疑問や気づきに基づいて何かを創出するといったことは、苦手であり、そういった点での課題はあります。 現状のAIは万能ではありませんので、人間の仕事がなくなるといったことはなく、そのAIを監視したりサポートしたりするための仕事が、新たな人間の役割となるなど、当面このような形で共存していくことになると思われます。

AI導入の事例

AI導入の事例

事務系業務の大半がRPAに置き換わる

自動化AIの中でも導入が容易RPA。事務系業務の3分の1が将来的にRPAに置き換わるともいわれています。日本国内の企業でも、次々とRPAを導入する動きが出始めている状況です。もういくつか成功事例が出ております。

AI導入の事例

金融機関での導入事例

RPAの導入が進んでいるのは、事務作業が多い金融業です。三菱UFJ銀行の場合2以上のパイロット期間を経て、RPAを本格導入。全体で2000件超の手動業務をRPAに置き換えました。 現在、情報取得や入力業務、検証作業などの定型業務の置き換えが進んでいます。パイロット業務として選ばれたのは、融資事務センターでの住宅ローン向け団体信用保険申告書の点検業務。担当者が用紙を1枚ずつ点検していた保険会社への提出書類と住宅ローンの明細を照合する作業です。 紙の申請書をスキャンし、電子データ化してロボットが点検する形式に変更。何か問題点があるもののみを担当者が目視チェックするという形になりました。その結果、2500時間もの作業時間削減が可能となりました。

自治体での活用例

糸島市の事例では移住希望者マッチングというシステムでAIを使用した実証実験が行われました。移住希望者と市担当者の対話がAIにより促進され移住者の不安解消や満足度向上、地域活動の活発化を実現を 目標に行われました。AIマッチングを用いて、移住希望者に最適な地域を提示。移住希望者が評価を行い、AIが好みをさらに学習することにより、移住希望者と候補地の適切なマッチングを実現しました。それ以外にも行政の業務にも他の業種と同じくRPAやAIを使用することによって、効率化を図るなどの動きも出てきております。

働き方改革以外での活用

東京のあるラーメン店でのAIを活用例として。来店客は専用アプリに自分の顔を登録すると、食券購入時、コミュニケーションロボットに自分の顔を認識させることで来店回数に応じてトッピングがサービスされるという活用を行っています。 この事例は働き方改革にAIを活用したものではないものの、接客やサービスの一部で活用する事例として今後の活用として期待が集まる事例になります。

中小企業に最適なAI活用

AI活用は大企業ばかりが先行しているイメージがありますが、AIと同義のものとしてRPAがあります。中小企業にとってはまだ実用段階にないAIでも、RPAなら簡単に導入が出来、確実に成果の出る働き方改革が実現します。またRPAはAI機能が充実してくることが期待されており、自然にAIを活用した働き方改革を実現が可能となります。

チャット導入のデメリット

チャット導入のデメリット

使い方次第では効率化につながらない点

導入もしやすく比較的簡単に誰でも使うことのできるビジネスチャットですが、使用方法によっては効率が下がってしまう事があります。

大事な情報が流れてしまう

チャットの場合、コミュニケーション量が多くなると、過去の発言はどんどん流れていってしまいます。 そのため、重要な情報がある場合には、どこかにメモをしたりピン留めをしておかないと見逃してしまったり、後から探す事になります。エビデンスの管理という点ではチャットはあまり向いていません。

通知で作業に集中できない

常にチャットで情報共有がされると都度通知が来てしまったり、すぐに返信しなければと考えてしまうため、どうしても1つ作業に集中できなくなってしまいます。そうなることによりチャットのメッセージが他人の作業に細切れに割り込んでしまい、業務に支障をきたすこともあります。
既読機能がないチャットツールや、通知の頻度などを細く設定できるツールもあります。

余計なコミュニケーション量が多くなる

気軽にコミュニケーションが取れるため、コミュニケーションの量が多くなる傾向があります。 コミュニケション量が多くなる反面、余計な投稿や業務に関係ない投稿も増える可能性もあるため、使い方には注意をする必要があります。

長時間労働につながってしまうリスク

業務時間外に業務が発生

いつい業務時間外にチャットを見てしまい、深夜や早朝に仕事を始めてしまうことがあり、また自分宛にでなくても、複数人が閲覧できるグループチャットで通知が飛んでいると、朝からプレッシャーを感じながら出社することになったり、せっかくの休日も自分宛にチャットが来ているかもしれないと常に不安で気になってしまい、結局仕事をしてしまう。ということがあります。使用制限などルールを設けることで解決することが出来ます。

運用ルールでデメリットを解消

チャットの利用によって、長時間労働、休日出勤を助長してしまっては本末転倒なので業務時間以外の使用を控えるなどのルール作りが必要となります。またエビデンスが必要なやり取りや外部と一対一の場合はメール、複数人でのやり取りで意見交換や進捗管理のやり取りはチャットなど使い分けることも重要となります。運用ルールをしっかり決めることによってより効果的にビジネスチャットを使うことが出来ます。

チャット導入のポイント

チャット導入のポイント

失敗を防ぐ導入・運用のポイント

ビジネスチャットは、社内のコミュニケーションをスムーズにし仕事の効率を大幅にアップすることが可能なツールです。 しかし導入や運用によっては、仕事の処理スピードを上げることができなくなってしまいます。もし、ビジネスチャットを導入しているのに思ったような成果を上げられず、運用がなされていない状態になってしまっているなら、選ぶべきツールが間違っている可能性もあります。

運用にあたってのルール作り

ビジネスチャットを導入する際のルールは、ビジネスチャットを社内に定着させるために重要となります。

メールは基本的に使わない

全社的にビジネスチャットをコミュニケーションツールとして導入したら、メールは基本的に使わないようにしましょう。メールでの連絡が残っていると、なかなかビジネスチャットへの切り替えが進まず中途半端な状態になり、情報の共有漏れが発生するリスクも発生します。

何のために導入するのかを明確に規定

ビジネスチャットを導入する理由について明確にしましょう。会議の回数削減なのか情報共有漏れの防止なのかなどを明確にしておくと、そのゴールに対して何ができていて何ができていないのかがはっきりし、さらに良い運用へ改善するための意見もあがるようになります。

管理職が率先して使用するように明文化

ビジネスチャットをいきなり全社運用するのはリスクがあるという場合は、試験的に一部の部署でテスト運用をしましょう。

ビジネスチャットの導入に関して管理職など一部の社員は抵抗を覚えることが多いので導入の際はそれらの社員にも受け入れられるような体制を作っておくことが重要です。

ビジネスチャットの選び方

導入コスト

無料プランのあるサービスも多くありますが、有料プランよりも利用できる機能が少ないなどのデメリットがあります。セキュリティ性・利便性に優れ、導入効果が期待できるサービスでも、自社のコストを超えてしまうと導入が難しくなります。

機能の充実

無料プランより有料プランの方が機能が多い傾向にありますが、運用時に必要な機能が搭載されているかを確認したうえで、両プランの機能比較をする必要があります。

柔軟性と拡張性

業務形態が複雑な企業であれば様々な業務フローに対応できる柔軟性、長期的な利用を考えている企業であれば必要な機能をカスタマイズできる拡張性が必要とされます。 悩まないためにも、何のために導入するのか、今後どのように利用していきたいか、どのような効果を期待しているかを明確にしたうえで検討した方が良いでしょう。