2018/11/30

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度とは

残業代ゼロ法案?

働き方改革関連の話題で結構話題に上がった高度プロフェッショナル制度(高プロ)。実態としてはどうなのでしょうか。
高度プロフェッショナル制度とは 職務の範囲が明確で一定の年収のある従業員が、高度の専門的知識を必要とする等の業務を行う場合に、所定の要件を満たすことで、労働基準法における労働時間・休日に関する規定や深夜業の割増賃金に関する規定が適用されなくなる制度となっております。

現行の似た制度として、「裁量労働制」があります。共通点は、

  • ①労働時間が必ずしも成果と結びつかない職務であること
  • ②時間にとらわれない働き方ができること、
  • ③実力主義や成果型賃金と結び付けられやすい

ことの3点があげられます。相違点は、裁量労働制では残業時間がみなし労働時間を超えた場合に残業代や深夜・休日労働の割増賃金の支払いが必要です。
高度プロフェッショナル制度ではそれらの割増賃金は完全に支払いの義務がなくなります。この制度を悪用されたり、その適用範囲が拡大されるのではないかという声が以前からありました。
現に拡大の声もあるのは事実です。

高度プロフェッショナル制度適用時のポイント

まず高プロを適用する際は労働基準監督署の届け出と定期的な立ち入り検査をする必要があります。また本人の同意が必要となるため導入のハードルは現状高く設定されております。

対象職種・業務

労働政策審議会での議論では、株式や外国為替といった金融商品の開発、ディーリングやアナリスト、コンサルタント、研究開発職などが想定されています。対象の職種は高度専門職とカテゴライズされており高度プロフェッショナル制度を適用するための要件が厚生労働省で規定されます。

評価の基準

高度プロフェッショナル制度は正式名称を「特定高度専門業務・成果型労働制」と言い、成果に対する評価と賃金を結びつける運用が考えられます。しかしながら、高度プロフェッショナル制度の対象となる職務・業務の中には、研究開発職といった成果が数値化しづらい、また目に見える成果が出るまでに長期間を要するものも含まれます。そのため、一定の評価期間の中で得られる成果だけではなく、その過程を考慮する等、プロセス評価や多面評価などを併用した評価制度を検討し労使間で納得感のある運用が必要となります。

健康管理の強化

健康確保の観点から、企業は「健康管理時間」として客観的な方法で対象者の労働時間を把握した上で、長時間労働を防止するための措置を講ずることとされています。さらに、対象者の健康管理時間が一定時間を超えた場合は医師による面接指導を実施することが義務付けられており、違反した場合は罰則の対象となります。

健康確保措置として

  1. 勤務間インターバル制度と深夜労働の回数制限制度の導入
  2. 労働時間を1ヵ月又は3ヵ月の期間で一定時間内とする
  3. 1年に1回以上継続した2週間の休日を与える
  4. 時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する

この中から一つ実施する制度となっております。

今後の動向

適用範囲の拡大

現在年収1075万円以上の業種が対象となっていますが将来的に引き下げられる可能性があります。当初提案では700万、400万などの意見があったため動向によっては運用範囲を拡大されることもあり得ます。
また制度自体も今後緩和されることが予想されるため、動向の注視が必要です。