2019/02/15

働き方改革で注目! コンプライアンスとは

働き方改革で注目! コンプライアンスとは

ワークライフバランス

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは直訳すると「法令遵守」という意味となります。法令だけではなく、社会的規範などの遵守も求められています。法令遵守が出来ているか就業規則や社内規程等がしっかり出来ていいるのか企業倫理や社会的規範を遵守しているかが問われます。

重視されるコンプライアンス

コンプライアンスの概念自体は以前から存在はしておりましたが、電通の不正な労務管理による過労死問題や 東芝の粉飾決済など昨今の企業ぐるみの不正行為や労働問題が多くなったことから見直しが叫ばれております。特に働き方改革において、労務問題による違反は労働者に大きく影響するため重要な問題となります。

企業の不祥事を防ぐ

2000年代に入ってから大企業の不祥事が続いたことを契機にコンプライアンス体制の整備が求められるようになりました。 大きな法令違反を犯した企業は、そのことにより社会的信用を失い、倒産することも少なくありません。コンプライアンスを徹底することで、事業活動に伴う様々なリスクを回避することができます。また、問題が生じた場合でも、想定されるケースを分析しておくことで、損失を最小限に抑えることができます。

また近年ではバイトテロと言ったSNSを通して従業員による不適切な行為なども問題視されており、このような予期せぬ不祥事を防ぐためにも教育の徹底や社員にも社会的規範の意識をもたせることが重要視されております。

企業価値の向上

コンプライアンス体制の強化することで、企業としての価値を向上させることにもつながります。企業コンプライアンス体制をホームページなどで公表することにより、消費者をはじめとした利害関係者から、リスクの少ない企業として信用を得ることが出来、また社会的貢献として積極的な環境活動や災害支援などの社会貢献活動を行うことにより、社会から評価を得ることができます。

コンプライアンス関連語

CSR(企業の社会的責任)とは

一般的には、法令遵守にとどまらず、社会や環境などへも配慮し、株主、顧客、従業員、取引先などの利害関係者に対して説明責任を果たすことで、企業価値の向上を目指す考え方のことを言います。

コンプライアンスはCSRの基礎となるもので、企業コンプライアンスも社会的責任を重視する傾向にあるため、同義に近いものになってきていると言えます。

コーポレートガバナンス

企業統治という意味で、一般的には、企業の利害関係者が経営者の利己的な判断を監視、牽制しながら経営をコントロールする仕組みのことを言います。

労務コンプライアンス

労務に関するコンプライアンスの制定は「使用者と労働者の関係」の問題で、働かせ方、日常の労務指揮の一環として、時間外・休日労働命令や教育指導のあり方について法令遵守が行われているかを指します。(長時間労働やパワーハラスメントが大きく問題視されています)

違反するとどうなる?

法令違反は当然、刑事罰の対象にもなる可能性も高い問題です。しかし、現在のようにコンプライアンスの概念が拡大すると、経営活動や商品・サービスに関して消費者や社会に対する倫理的な問題が生じただけでメディアやSNSで拡散され、企業活動に大きな影を落とすリスクが生まれます。

もしコンプライアンス違反の問題が大きければ、消費者はもとより業界や社会の中で築き上げてきた社会的信用が一瞬にして失われます。 場合によっては、消費者による不買行動や取引先からの取引停止が発生する可能性もあります。

たとえ企業にとっては軽微であっても場合によっては会社の存続危機に発展してしまうほど重大です

ブラック企業

ブラック企業や働き方改革が大きな社会問題となっている現在、連日のように劣悪な労働環境に関するニュースが報道されています。とくに違法残業の問題は労働者にとって残業代の未払いだけでなくときに生命の危険まで脅かされる重大なテーマです。

長時間労働によって労働基準法で定められた労働時間をはるかに超えて残業を続けた電通社員が過労死自殺したニュースは世間に波紋を呼びました。 また、最低賃金法違反で代表が逮捕されるというケースもあります。従業員に支払うべき給与が未払いの状態が続いたため管轄の労働基準監督署による度重なる出頭要請にも関わらず代表が応じなかったこと、さらに逃亡の恐れや証拠隠滅の可能性があったことが背景にあります。

労働基準法では法定労働時間を1日あたり8時間まで、1週間で40時間までと定めています。ただ、企業運営の上でどうしても残業が発生し、もし法定労働時間を超える労働や休日労働をさせたい場合、企業は労働組合との間で書面による取り決めが義務づけられています。この時間外労働時間のルールを根拠となる労働基準法第36条にちなんで36協定と呼びます。

たとえ36協定で法定労働時間を超える残業の取り決めがあっても、締結した労働時間を超えて働かせることはコンプライアンス違反となります。

違反になる風習

当然ですがサービス残業を強制することも労働基準法違反となります。

また毎朝、定時前に出社して朝の掃除をさせることや、残業時間30分以下は切り捨てたり、定時より30分経過してからでないと残業時間に含めないなどの社内ルールなど、会社独自の労働時間に関する風習は、労働基準法の労働時間の取り扱いの点から誤っているものばかりです。

このように日本の企業は日常の業務の中に法律的な観点からコンプライアンス違反となる風習が多く潜んでいます。 「昔からの会社のルールだから」「上司からの命令だから」などコンプライアンスに対してあいまいなブラック企業はいまだに存在しています。

コンプライアンスへの対応

会議

行動規範の策定

企業コンプライアンスを推進していくためには、具体的な行動規範の策定が必要です。自社の経営理念との整合性や、重要性を考慮したうえで、具体的な取り組み内容を決定していきます。
東京商工会議所が公開している企業行動規範を参考にすると、CSRなどの考え方も取り入れ、次の大枠が示されています。

  1. 法令の遵守
  2. 人権の尊重
  3. 環境への対応
  4. 従業員の就業環境整備
  5. 顧客・消費者からの信頼獲得
  6. 取引先との相互発展
  7. 地域との共存
  8. 出資者・資金提供者の理解と支持
  9. 政治・行政との健全な関係
  10. 反社会的勢力への対処

就業規則や各規程の整備

法令の遵守を徹底していくにあたっては、就業規則などで規定されている事項が社内において適切にルール化されていることが必要です。 各業務に関するルールなどを明文化して、社員間で認識の違いがないようにする必要があります。

また、これらの就業規則や各規程については、各社員に配布、あるいはいつでもアクセスできるように共有ネットワーク内に保存するなどによって周知徹底を図り、社内の秩序を保っていくことが重要です。

担当部門の設置

企業コンプライアンスを推進していくためには、その推進体制の整備も必要になります。コンプライアンス担当部門はコンプライアンスを推進するための経営トップ直属の部門です。経営トップの直属とすることで、問題があった場合の報告も含めて、権限を持って迅速に対応することができます。 社内のコンプライアンス推進状況を定期的に確認し、マニュアルなどの改正についても責任を持ちます。

また企業コンプライアンス体制を強化していくうえで、最も効率的なのは、弁護士や社労士などの専門家を活用することです。遵守すべき法令は多岐に渡る為、専門家に頼るのが必須と言えます。

まとめ

コンプライアンスは、法令だけではなく、社会的に求められる倫理規範や道徳規範なども遵守するものであり、企業が事業を継続していくうえでは必須のものになっており、 法令違反によるリスクを回避、損失を軽減させるとともに、企業価値を向上させる役割を持っています。

コンプライアンスをしっかり守ることによって、社会的な貢献ができる会社であることをアピール出来ます。