2018/12/26

女性活用に関する補助金

女性活用に関する補助金

女性活躍推進法

女性活躍推進法は、女性が社会で活躍して行くにあたって必要な環境を整理するために制定され、平成28年4月より施行されました。この法律により、従業員301人以上の企業は自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、 その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表 自社の女性の活躍に関する情報の公表 を行うことが義務付けられました。ただし、従業員が300人以下の中小企業に関しては努力義務となっております。

女性活躍加速化助成金

女性活躍加速化助成金とは、女性活躍推進法に基づいて、女性活躍を推進する中小事業主を支援するために設定された助成金です。 自社の女性活躍に関わる行動計画の策定において「数値目標」とその達成に向けた「取組目標」を明記し、計画に沿って取り組みを実施して取組目標を達成した事業主及び数値目標を達成した事業主に対して支給されます。 女性活躍加速化助成金は書類の提出と審査、制度の導入があるため、誰でも助成金を受け取れるわけではありませんが、助成金は借入金と違って一度支給されれば返済の義務がありません。 また、行動計画や目標の達成状況が「女性の活躍推進企業データベース」で公表され、自社の魅力を外部へアピールできることもこの助成金のポイントです。

助成金の支給要件と支給額

女性活躍加速化助成金には、目標達成の段階に応じて、加速化Aコースと加速化Nコースという2つのコースがあります。 加速化Aコースは、数値目標の達成に向けた取組目標を計画期間内に達成した場合に、1企業につき1回限り、雇用する労働者が300人以下の中小事業主を対象に28万5千円が支給されます。
目標を達成したばかりでなく、6%以上の生産性の伸長という要件をも満たした企業には割増され、36万円が支給されます。 他方の加速化Nコースは、数値目標の達成に向けた取組目標を達成した上で、それから3年以内に数値目標を達成した場合に、雇用する労働者が300人以下の中小事業主を対象に28万5千円が支給され、こちらのコースも、生産性要件を満たした企業には36万円が支給されます。 また、数値目標の達成に加えて、取組の結果として女性管理職比率が15%以上に上昇した企業に対しては、従業員数が300人以下であれば47万5千円が、301人以上であれば28万5千円が支給されます。 さらに生産性要件をクリアしている場合、支給額はそれぞれ60万円、36万円になります。 事業主は行動計画を労働局へ届け出た後、取組目標ないし数値目標を達成した時点で支給を申請することができ、助成金が得られます。 また、雇用する労働者が300人以下の事業主については両方のコースに申請することができ、2回で最大96万円の助成金が得られます。 加速化Aコースまたは加速化Nコースを達成した日の翌日から起算して2ヶ月以内に、管轄の労働局雇用均等室に申請書を提出する必要があります。 申請可能な期間をよく確認しましょう。
例えば女性の積極採用を課題とする企業であれば、どのような数値目標と取組目標がありうるのでしょうか。 仮にこの企業が数値目標を、「ある採用区分に関して、男女全体の応募者に占める女性の採用者の割合を3%から10%に引き上げる」と設定したとします。 その際、取組目標としては「女性に少ない職種に多くの女性応募者が集まるよう、女子大学等と連携した就活セミナーの実施」や、「男女関係なく選考できるガイドラインの策定や採用担当者向けの研修の実施」といったものが考えられます。

助成金の支給対象外

取組目標を達成しても、支給の対象外となるケースがあります。 支給要領は年ごとに変更になるため、対象外となるケースをしっかり把握した上で、取組目標等に取り掛かりましょう。また、事業主として男女雇用機会均等法や育児介護休業法、パートタイム労働法に違反するような行いをしていた場合には、助成金を受給することが出来ません。

女性活躍推進の優良企業特典

えるぼし認定

女性活躍推進法に基づいて行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取り組みの状況が良好な企業は、厚生労働大臣から「えるぼし」認定を受けることができます。
えるぼしは1つ星から3つ星まであり、3つ星が最も優良な企業とされ、えるぼしが授与された企業は、日本政策金融金庫からの低金利の融資、公共調達での加点評価という優遇措置を受けることができます。 えるぼし認定を受ける条件は、

  • 男女別の採用時における競争倍率が同程度であること
  • 平均勤続年数が男女間で同程度であること
  • 約10年前に採用された新卒採用者で、現在も継続して働いている労働者の割合が、男女間で同程度であること
  • 労働時間等の働き方:法定時間外労働と法定休日労働時間の合計時間数の平均が、すべての月で45時間未満であること
  • 管理職に占める女性割合が産業ごとの平均値以上であること
  • 直近3年における課長より一つ下の職階の労働者のうち、課長級に昇進した労働者の割合が、男女間で同程度であること
  • 多様なキャリアコース:女性の非正社員から正社員への転換や、女性の正社員の再雇用などのキャリアコースが整備されていること

上記の項目をひとつ以上クリアすることが、条件となっています。
えるぼし認定を受けると、以下のようなメリットがあります。

  • 国が行う公共調達の際に加点評価され、有利になる
  • えるぼしマークを自社商品などに印刷することができる
  • 女性の活躍が進んでいる企業として認められ、企業イメージがアップし、優秀な人材を採用しやすくなる

他にも地方自治体によって補助金や助成金が用意されています。 また、これらの助成金制度の目的が「女性の活躍推進」であるため、そもそも女性社員がほとんどの企業や、すでに女性が活躍できる場が設けられている企業は対象外となるため、気をつける必要があります。 必要であれば労働局に確認をされることを推奨します。