2019/02/15

仕事と育児を両立 時短勤務とは

仕事と育児を両立 時短勤務とは

時短勤務制度とは

すべての会社で必須義務の制度

仕事と育児を両立させるうえで使える制度が「時短勤務制度」です。 「短時間勤務制度」略して「時短勤務」は「改正育児・介護休業法」という法律で定められ、すべての会社で「短時間勤務制度」と「所定外時間外労働の免除」が必須義務となっています。

育児短時間勤務の条件

3歳までの子を養育する労働者が、1日の所定労働時間を原則6時間とすることができます。該当条件としては。

  1. 3歳に満たない子を養育する労働者であること
  2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  3. 日々雇用される労働者でないこと
  4. 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
  5. 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと

原則、子どもが3歳に達するまでが対象ですが、小学校就学の時期まで対象とすることが努力義務とされています。

労使協定による適用除外の労働者

労使協定によって、事業主は以下の労働者を短時間勤務の適用除外者とすることができます。

  1. 継続した雇用期間が1年未満
  2. 週の所定労働日数が2日以下
  3. 業務の性質、または実施体制に照らして制度の適用が困難な業務に就いている

この労使協定は、事業所の過半数組合、過半数組合がなければ過半数代表者と事業主との間で書面による協定を締結する必要があります。 なお、厚生労働省の育児・介護休業法に関する指針では、労使間の工夫などによって適用の対象外とせずに、可能な限り適用の対象とすることが求められています。

短時間勤務の適用除外者への代替措置の設置義務

育児・介護休業法の第23条第2項では、短時間勤務制度を利用できない従業員に対し、短時間勤務に代わる措置を事業主に義務づけています。 代替措置として法律の中に挙げられているのは育児休業等に準じた措置、また、フレックスタイム制や出勤時刻をずらす時差出勤などの制度です。 短時間勤務制度を利用できない人にも、代替措置によって働き方の選択肢を増やすことは従業員の定着率向上にもつながるでしょう。

制度利用に関連した不利益な取扱いの禁止

指針では、育児休業をはじめ、子どもの介護休暇や所定労働時間の短縮措置などの申出や制度を利用した労働者に対する不利益取扱いを禁止しています。 不利益取扱いとみなされるのは、制度の申し出や利用などを理由にその労働者を解雇したり、降格したりすること、労働時間の短縮分を超えて減額を行った場合などです。

短縮された時間分について賃金の保障

改正育児・介護休業法では、短時間勤務の措置については事業主の義務としています。 しかし、法律の中に「短縮された時間の賃金まで保障するように」といった定めはありません。

そのため、法律上は働いていない時間分の賃金を支払う必要はありません。 会社に法律を上回る規定があれば別ですが、働いた時間数に応じて給与を支払うといった形になることが多いので、時短社員の給料は減少してしまいます。 1日の所定外労働時間をフルタイムの8時間から6時間に短縮した場合、基本給を4分の3にすることは法律上、問題ありません。

なお、企業が時短社員の給与を減額するのは経費削減のメリットだけなく、同僚など他の従業員との不公平感を和らげ、労働意欲の低下などを防ぐうえでも役立つといわれています。

担当者にとってトラブル防止も重要 実質労働時間に応じて給料が減額されるといっても、労働者にとって給料の減額は大きな問題で、労使間の問題に発展しやすいといえます。
そのため、短時間勤務制度について就業規則などに明文化して周知するとともに、本人が納得できるように減額の根拠などをきちんと説明することを心がけましょう。

時短勤務の疑問点

夫婦での利用は可能か

夫婦で制度を利用することは可能です。改正育児・介護休業法の適用除外の要件には、配偶者が育児できる場合や短時間勤務などの措置を受けているなどの要件は含まれていません。

育児短時間勤務の期間延長は可能か

育児短時間勤務は、養育している子供が3歳になるまで利用できます。 1回の申出は「1か月以上1年以内」の範囲として3歳に達するまでの期間であれば延長可能としていることが多いです。 また、子供が小学校の入学前まで、あるいは小学校卒業までといった形で適用期間自体を延長している企業もあります。

ハラスメント防止対策

就労規則における取扱い

短時間勤務制度を単に運用すればよい訳ではなく、就業規則等に規定したうえで従業員に周知し、社内の制度として適切に制度化されていることが必要になります。 また、人事や労務の担当者は制度の対象となる労働者の条件などをしっかり理解し、従業員の相談や問い合わせに適切に対応できるようにしましょう。

育児・介護休業法では、ハラスメント防止措置に関する事業主の義務を定めています 事業主は、制度を利用したい旨を申し出た労働者、あるいは育児休業や短時間勤務などの制度を利用した人に対するハラスメントの防止に向けて必要な措置を講じなければなりません。

また、ハラスメント防止対策が必要な労働者とは、性別を問わず事業主が雇用している非正規雇用労働者も含めたすべての労働者です。

時短勤務の活用

周囲の協力でワークライフバランスを維持

時短業務と言っても育児と仕事を両立することは非常に難しいため、周囲の協力は必須となります。希望を明確にし上司と相談し、いつ、どんな形で産休・育休からの復帰を希望しているのか、産休に入る前に一緒に時短勤務についても相談し、周囲の理解と協力を得ることも重要です。

限りある時間で最大の成果を

時短勤務にすることで、延長保育をしなくても保育園の迎えに間に合う、家事・育児に使える時間が増えるなどのメリットがあります。 とはいえ仕事に関しては時間内にしっかり行う必要があります。短時間で、しかも残業ができない中で成果を出していくためには、以前と同じ仕事の やり方では難しいことも。仕事は目の前のものをひたすらこなすのではなく、納期と重要度を確認して優先順位を意識して取り組むことが必要です。 また効率よく仕事を進めることが出来る環境づくりも重要となっていきます。

女性の社会進出に理解のある社会をめざして

時短勤務による育児の両立も女性の社会進出の一例ではありますが、昨今夫婦共働きなど女性が社会に進出する機会が以前より増えました。しかし育児や介護との両立の理解が進まないなどまだ問題が多く残されております。
企業には女性の社会進出に向けた環境づくりに対しての社会的責務が求められております。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、自らの意思によって働きたいと希望する女性が職業に就くにあたり、より自由に活躍することができるような取り組みを行い、豊かな社会を実現するために制定された法律で、平成27年8月28日に成立しました。この法律は「女性が仕事で活躍する」といった内容を事業主に対して義務化するというもので、 具体的には、女性の活躍推進に向けた数値目標を含む行動計画の策定及び公表、女性の職業選択に役立つ情報の公表が、国や地方公共団体、民間企業等の事業主に義務付けるものです。

えるぼし認定制度

えるぼしとは、女性の活躍推進の状況などが優良な企業に与えられる認定制度です。女性活躍推進法で定められた一定の基準を満たした企業のうち、より優良とみなされた場合に与えられます。えるぼし認定マークは自社商品や広告、求人活動などにも利用できます。そのため、社内外に広く女性が活躍している企業であることをアピールでき、イメージアップや認知度向上、それに伴って求人応募数の増加等につなげることができます。

えるぼしに認定されると、認定段階に応じて色分けされた認定マークを、様々な自社商材に利用できるようになります。 女性が活躍している企業、ワークライフバランスを推進している企業であることをアピールできます。この制度により女性の社会進出と企業価値の向上を行うことが出来ます。

ダイバーシティの推進

ダイバーシティとは、年齢や性別、能力などを問わず、多種多用な人材をより積極性を持って活用していこうという思想のことです。そもそも、社会的少数者の就業率アップを後押しするための考え方でしたが、日本では女性の活躍を推進するための取り組みを指すケースが多くみられます。 ダイバーシティを推進することで、女性労働者が置かれた状況を理解し、その特質を生かした雇用を行うことで、多用化しているビジネスモデルに対応できるだけの能力を企業にもたらすことが有効視されています。
多様性を会社側が受け入れ、新たな働き方を提案することで、就業やスキルアップを諦めていた女性が生き生きと働き続けることができる環境が生まれ、多様な働き方で就労する女性が増加するという効果があります。これらの推進と理解を企業が行うことによってより働きやすい環境を作り出すことが出来ます。