2020/02/03

生産性向上の事例

生産性向上の事例

生産性向上の事例

労働力不足が加速する中、企業では少ない労働量でも成果を生み出せるよう、生産性向上に向けた取り組みの必要性が高まっています。企業ができる生産性を上げるための施策にはどんなものがあるのでしょうか。

生産性向上に向けて、企業ができる施策

業務の可視化や自動化などがあり、これらを適切に運用する事によって生産性の向上につながります。

個人の業務の可視化

個人が抱えている業務を可視化することから始めましょう。業務の優先順位を確認し、取捨選択を行うことも大切です。また身の回りの整理整頓など、集中できる環境づくりも大事な要素になります。

スケジュールの可視化

1日単位もしくは、1週間単位で業務を洗い出し、目標時間を設定することも生産性向上に有効です。実際に掛かった時間を計測することで無駄を見つけることができる他、業務の抜け漏れを防ぐこともできます。
また長時間の残業は作業効率を落とし生産性の低下につながるため、所定労働時間内での業務を意識した目標設定を促しましょう。

業務の自動化

製造促進のための設備投資のほか、勤怠管理やプロジェクト管理を担うシステムなどによる自動化も生産性向上に有効です。

生産性向上施策を実施する際の注意点

全体像を見える化する

生産性向上施策に取り組む前に業務全体を把握し、課題や問題点を見える化することが必要です。共通する項目はまとめて、会社全体で取り組むもの、チームで取り組むもの、個人で取り組むものなど役割分担や優先順位を決めて行い、効率的に施策を進めましょう。

関係者と共通認識を持つ

関係者には、目的を理解し当事者意識を持って取り組んでもらうことが大切です。全社施策として経営者が主体になり、生産性向上の取り組みに対してKPIを設定して定期的に評価するなど、意識強化を行うことで取り組みを根付かせましょう。

時間と根気が必要であることを理解する

生産性向上に取り組む際、関係者との協力体制の構築や制度・研修の導入、マニュアル化など一時的に業務が増えるほか、すぐに効果が出ないことも想定されます。生産性向上にはある程度の時間を要することも理解し、根気強く続けていきましょう。

生産性向上に成功した企業の事例

現場で知恵を出し合い効率化

カイゼンとは、おもに製造業の生産現場で行われている作業の見直し活動のことを指します。作業効率の向上や安全性の確保などに関して、経営陣から指示されるのではなく、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決をはかっていく点に特徴があります。トヨタのカイゼンに代表されるように、現場主体の業務効率化としては、製造ラインにおけるものだけではなく、ホワイトカラー的なデスクワークでの効率化も含め、多くの企業で取り組まれています。

分散している業務を本社に集約

石油ファンヒーターを主力商品に製造販売する新潟県のダイニチ工業では、従来、商品を購入したお客様へのアフターサービスを県内外の各営業所で担当していました。しかし、少人数で構成される営業所では事務担当の社員が問い合わせ対応に追われることが多く、結果として残業時間の増加や、休暇も取得しづらい状態となっていました。
そこで、各営業所の業務を新潟本社のコールセンターへ集約。 コールセンターから各営業所にお客様対応を割り振る仕組みへと変更しました。 また、コールセンターで応対可能な問い合わせについては電話で対応を完結することで、各営業所の問い合わせ業務を軽減し、残業時間が大幅に短縮された上、休暇が取得しやすい環境を整えることができました。 この事例では、各地に分散し非効率になっていた業務を中央に集約することにより、効率性が向上し、それまでと同水準のサービスを生産性を維持したままで実現したことが示されています。

会議の効率を上げて労働時間削減

和歌山県で電子基板などを製造する大洋工業。 同社は企業理念に「会社は、いつの日も楽しく健康的に働ける場所でなければならない」という一文を掲げるほど労働環境の改善に熱心な企業で、特に労働時間の削減の取り組みを積極的に進めていました。 生産性を下げずに職場環境をより良くするため、改善の目が向けられたのは、会議の実施方法でした。
一般に会議といえば、とくに議論にかけられる時間も明確にされず、答えも出ないままダラダラと長引くことが多くあります。 そこで、同社では特別な会議を除いて「17時以降の会議開催を禁止」「開催時間は45分まで」を開催ルールとして定めました。さらに、会議は立ったまま実施する「起立会議」とし、少しでも早く終わらせられるような工夫も施しました。 これらの改革を経て、同社では3年間で月の平均所定外労働時間を約10時間削減させることに成功しました。日々の業務のなかには、効率化できる時間が多く存在し、日常業務を改めて洗い出すことで、生産性を落とすことなく効率を高めるきっかけになると考えられます。

作業工程のチェックリスト化

福井県で靴のインターネット販売を行うザカモアでは、受注業務に関する新人教育はOJTによる教育が中心で、新人が業務を習得し一人で作業できるようになるまでには、実に1年近くの期間がかかっていました。 そこで受注工程で行われる業務を抽出し、作業順に並べたチェックリストを作成し、作業内容をマニュアル化しました。 また、受注業務を進めながら手順をチェックする際にマウスとペンを持ち替える手間が増えるため、チェックリストは紙ではなく、全社員に配布したiPadで確認できるようにし、効率よく業務を進められる環境整備に努めました。
マニュアル作成にはある程度の時間を要したものの、約1年かかっていた新人の教育期間は大幅に軽減し、早い場合では1週間で戦力として活躍できるような改善を果たしました。 新人教育はその人材が戦力として独り立ちできるまでに長い期間がかかるだけでなく、教育を実施する先輩社員にも作業的・時間的な負荷がかかり、組織全体で生産性が落ちやすくなるポイントです。教育方法の効率化も、生産性向上に向けた効果的な方法の一つです。

まとめ

人手不足の深刻化やグローバル化する中で、従業員1人1人の生産性向上が求められています。しっかりと分析を行なった上で最適な施策を行う事により、生産性向上に繋げる事が出来ます。