2019/02/15

改革は不可能?でも生活に必須? ブラック業界

改革は不可能?でも生活に必須? ブラック業界

ブラック企業

全然無くならないブラック企業

電通の事件以降あれだけ働き方改革が叫ばれてもなおそれを無視し続ける企業は一定数存在します。

しかし働き方改革の取り組みはどの企業でも行わなくてはなりません。しかしすべての企業とは言いませんがブラック業界と言われる業界や企業では形だけで解消したり、そもそも対応する気がなかったりと働き方改革とは程遠い状況です。

ブラック業界とは

ブラック業界とは、労働環境が劣悪なブラック企業が生じやすい業界の事です。それぞれの会社独自の方針でブラック企業が生じていますが、業界によってはどうしてもブラック企業が発生しやすい業界があります。

業界そのものの利益率が低くて、結果的に人件費を抑えなくてはならなかったり、クライアントとのやり取りで、どうしても納期を守らなくてはならなかったり、ブラック企業が出てきやすくなる温床になっております。

ブラック業界であるかよりブラック企業かどうかが重要

とは言え、厳密に判断すべきは、その企業がブラック企業か否かです。単にブラック業界だからという理由で求職者が敬遠ばかりしていれば、極端な話、その業界の労働力が減り、的確なサービスを受けられなくなります。現に保育士の不足により、待機児童問題が生じています。

ブラック業界に過敏になりすぎず、あくまでもブラック企業が多い傾向があると慎重になり、更には、各企業がどうかの判断を見極めることが求職者にとって重要なことです。

就職してはいけない業界?!ブラック業界一覧

特徴として小売、飲食など生活に関わっている業界が多いことです。低価格で様々なサービスが要求されるため、必然的にブラック体質になりやすい傾向があります。また介護業界、医療も需要の急増に伴い人手不足が深刻化しており、人手不足からくる長時間労働が常態化しております。

もちろんすべてがすべてというわけではありませんが、企業の調査をしっかり行い、自分に適していないと思ったら避けた方がいいでしょう。

飲食業界

ニュースでも過労死や労働問題が度々取り上げられます。お客様商売のため、元々の休日も少なく、また、利益率も低いため、そのしわ寄せが従業員に及び、従業員が酷使されるケースが多いです。

労働時間の長さと、休日の少なさは他の業界と比較しても顕著で、それとは反対に給与の少なさも問題となっています。利益率の低さから真っ当に残業代を支払える企業も少なく、働いている割には給与が合わないといった問題があります。

ブラックバイト

介護業界

介護業界は前述した通り離職率が高く、かつ助成金目当てで運営している施設では長時間労働・人手不足が蔓延しているせいで劣悪なイメージが定着してしまっています。低賃金に対して仕事内容はかなりの重労働です。そのせいで職員がストレスを溜めて人間関係がギスギスし、結果職員の離職につながるということも多いです。

労働環境の劣悪さは、全国規模で問題視されています。国に頼って改善を待っていても、なかなか厳しいものがあります。ただ一応介護業界は働いた年数がちゃんとキャリアとして認められる業界です。

IT業界

IT業界はブラック企業も多い、ブラック業界と言えます。特に、スピード感も早く、常に新しい技術が求められます。また、企業自体も若く、労働環境が整っていない不安定な企業も多いと言えます。

IT業界に代表されるエンジニア職では、開発の納期があり、納期を守るために、遅くまで働きます。終電近くまで働くという方も多いようです。 また、納期直前になると、会社に寝泊まりすることも少なくなく、クライアントや上流工程の企業から突然仕様変更を指示され、更には、システムの問題が発生し・・・いつまでも帰れない「デスマーチ」に突入することもあります。
その過酷な環境から「3K(きつい・厳しい・帰れない)」「IT土方」などとも揶揄されています。またほとんどの現場は成果主義のため、昇給が難しくなっています。

また固定残業代で残業代を抑えている企業も多く、また、技術職ということで、裁量労働制を取り入れている企業もあります。しかし、それらの適用の仕方によっては違法性もあり、会社が悪質な場合、労働基準監督署など外部に相談することも考えて下さい。

不動産業界

不動産業界は、営業職の傾向が強く、それに伴い、上下関係やノルマなどの問題が生じます。よくあることがパワハラ問題で、売上が作れないことから、精神的に追い込まれてしまう人も多いようです。
また、歩合制が多く、売上が行かなければ、最低賃金すらままならない企業も見受けられます。

一方、無理なノルマや理不尽な要求によって、悪質なパワハラなどが頻繁に行なわれているようであれば、外部に相談することも考えて下さい

小売業界

小売業界の中で、特にブラック業界と考えられるのが、コンビニ関連です。便利さが求められるコンビニでは、様々なサービスが提供され始め、そこで働く従業員に負荷が及んでいます。
業務の多さに対して、賃金が低く、また小売業界では、基本的に営業時間はお客様対応を行ない、空いた時間や営業終了後に事務作業などを行うため労働時間が長くなります。それでも賃金は変わらない企業がほとんどです。

アニメ業界

アニメ業界のブラックっぷりは他の業界と比べ郡を抜いて劣悪な環境にあると言えます。

アニメ業界は、制作進行としてなら、車の免許さえあれば他に要求される資格は特にないので誰でも入れます。若手の平均年収は110万円程と異様に少なく歩合制なので残業代も出ません、「君の名は」の制作でもアニメ用のカット1枚200円程にしかならず、1日の平均睡眠時間0~4時間、月600時間以上勤務など過酷かつ劣悪な環境が常態化しています。

「好きな仕事をしたい」という若者の心理につけ込み、劣悪な労働を甘受させる典型的な「やりがい搾取」により人材の確保と現場の回転を行っています。業界へいられなくするという脅しを使ったパワハラで人手を離れないようにする、タコ部屋に押し込めるなどブラック通り超えてもはや現代の奴隷制度です。


起きてからじゃ遅い ブラック業界の事件・事故

ワンオペで強盗増加?負担と危険の販売、飲食業

店舗を1人だけで回さなければいけない状態をワンオペと呼びます。深夜時間帯に多く、また最近の人手不足の影響でシフトの都合がつかないと昼間でもワンオペ状態となることにもなり、従業員の負担が大きくなります。
とある牛丼チェーンではこれが恒常化し休憩なしの24時間連続勤務など、ネットでの告発が相次ぎました。
またワンオペを狙った強盗が多発し問題になりました。

事故の原因はブラック企業?運輸業の過酷

2016年の軽井沢のバスの事故をはじめ、全国的に相次いでるバスやトラックの事故、背景としてバス会社はライバル企業の増加で無理な値下げと増発を強いられ、運送業はamazonをはじめとしたインターネットショッピングの発達による需要増により過労運転が常態化してしまっているのが原因です。

運輸業は長距離運転が多く過労になりやすい上バスに至っては価格競争で賃金はよくありません。価格競争で真っ先に削られてしまうのは人件費ですからこういった背景も劣悪な環境を作る原因となっております。
この事態を深刻に受け止めた一部大手は改善に取り組んでおり、ヤマト運輸はamazonの当日配送の取扱をやめ、賃金などを見直すなどの改善の動きがありますが、需要に対し人手が足りず問題は山積みです。

働き方改革も悪用される?

ブラック企業は自らの利益しか考えていないため、働き方改革も抜け穴などを見つけ悪用される危険性があります。抑止策はあるものの、いたちごっこになる可能性が高いです。

働き方改革で残業減少が手放しで喜べない

働き方改革では、休日労働を含む残業時間が「1か月100時間、2~6ヵ月平均80時間」に制限され、これを超えると企業は処罰の対象となります。 しかしこの長時間労働の是正が、ただの残業代カットになっている企業が多くあります。具体的には個人にノートパソコンを付与して仕事を持ち帰らせることによって残業代をカットするという持ち帰り残業というものです。やっていることは無賃労働と同じです。

給与の改善が全くされてない企業に多く、基本給が低く、残業しないと生活できないほど安月給だったりと残業時間の規制だけでは問題が多く残ったままです。
また形だけ残業を減らす、違法なサービス残業で乗り切っている企業が多数存在していてどうしようもない事態も発生しております。

なんでうちの会社に高プロが?制度悪用の懸念

高度プロフェッショナル制度の適用要件は年収1075万円以上の専門職でそう簡単には適用できないのですが、ブラック企業によって「専門職」が偽装され、違法に高プロを適用される労働者が出てくるのではという懸念があります。 また、この1075万円という基準そのものが下がる可能性も高く。経団連は過去に「当該年における年収の額が400万円又は全労働者の平均給与所得以上」の労働者に対して労働時間規制の適用除外を求めてきています。

ブラック企業を選別?四季報で離職率をチェック

四季報は企業の離職率・三年後新卒定着率を記載しています。「無回答」の企業は要注意だと考えておきましょう。ブラック業界でも優良企業の場合離職率が圧倒的に低いのが特徴です。
しかし四季報をもっても正確な離職率を把握するのは難しく、入社前にちゃんとしたデータを知りたい場合は採用担当者に直接聞いてみましょう。断られたら、入社希望者に見せられないくらい離職率が高いということです。

ブラック企業からの転職

ブラック企業に入ってしまった場合待遇が良くなることは一切期待できないため、即座に転職することをお勧めします。
また退職による損害賠償の請求や退職の拒否に応じる必要は一切ありません。

退職は労働者の自由

辞めたら損害賠償を請求すると言われた、辞めたくて、退職願いを出したのに、何度も呼び出されて延々と説得され、辞められないなど退職関連のトラブルが急増していますが、雇用期間に期限の定めのない労働契約、いわゆる正社員の場合、各当事者は2週間の予告期間をおけば「いつでも」(またいかなる理由があっても)解約できるとされ、退職の自由は法律で認められてます。
法律の手順を守って退職する限り、万一損害賠償請求がされたとしても、それは使用者側の損害賠償請求行為の方が不当ですから、そのような請求が認められるものではありません。逆に訴えればほぼ確実に勝てます。

また退職の意志がある証拠を残す方法として退職届を「配達証明付き内容証明郵便」で会社に送るという方法があります。内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局が公的に証明するもので、裁判などに発展した際に有効に活用できます。

また最近は退職代行というサービスもあり、弁護士資格の持っている業者が悪質な企業に対し退職手続きを行うという事を5万円から行っているため、あまりに悪質な引き止めなどがある場合は利用するのもいいかもしれません。

提示された労働条件が違う場合

会社に入社してみたら、雇用契約の内容と業務の実態が大きく異なる場合、労働基準法15条2項の「前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」とあり、すぐに退職することが可能です。これは正社員に限らず、アルバイトやパート、派遣社員でも同じです。

働く意思があるのに、会社から退職を迫られる

今度は逆に会社から退職を迫られる場合ですが、労働基準法上厳しい制限があります。そのため、会社は社員に自分から退職させるために、退職を強要することがあります。

しかし、退職の強要は民法709条の不正行為になっております。そのため、もし退職の強要によって退職してしまったら、会社に対して、損害賠償請求と退職の取り消しを求めることができます。

企業の調査はしっかりと行う

当然ですが企業や業界の下調べはあらかじめしっかり行う必要があります。今の環境に不満を持ち転職をするというのも有効な手段でもありますがよく調べずにまた同じような環境に陥ってしまっては意味がありません。業種、企業の調査はしっかり行いましょう。中には業界丸々ブラックな環境という事もありますので注意が必要です。

人材紹介サービスの使用

結局どの職業につけばいいのか、自分では判断しづらいという場合は、人材紹介サービスなどを使用し相談しながら決める方がいいかもしれません。 基本無料のサービスで相談内容、スキル次第でより希望に近い企業、職種を紹介してもらえます。

そもそもなぜブラック企業が増えたか

単純に言ってしまうと長年の不景気が原因でこのような事になりました。 現在のように景気がよくなり人手不足になると、ブラック企業は減ります。勤めた企業がブラック企業なら、さっさと辞めて別の企業に移ることができるようになるからです。

しかし小泉純一郎や竹中平蔵が推し進めた構造改革路線、民主党政権が進めた超円高によるデフレ政策によって、ブラック企業が大量に生み出されました。

しかも不景気に慣れきってしまったこともあり、安くて高品質な物、無料でのサービスという文化を有難がる国民性になってしまい今日までブラック企業を生き長らえさせる原因ともなっています。
景気が原因とはいえ消費者がブラック企業を増長させました。

使い捨て

ブラック企業はこれからどうなる

働き方改革による意識の高まりのためブラック企業は避けられる傾向が出てきており、また人手不足も伴って減少すると見られていましたが、製造、販売、介護業界などでは人手不足を補うため外国人労働者や技能実習生の制度を利用して今までより安く労働力を確保して乗り切ろうとしております。また違法なサービス残業などで形だけの残業の削減は未だに横行しており、根本的な解決は難しい状況です。実習生の失踪等も相次いでおり未だ深刻な問題となっております。

まとめ

働き方改革による意識の高まりのためブラック企業は避けられる傾向が出てきており大手もコンプライアンス遵守を大きく打ち出しております。業界も改善の努力は行っております。業界がブラックでもみんながみんなブラックというわけでは無く、改善に取り組んでいるところもあるため一概に決めつける事はありません。

もちろん、ブラック業界であっても業種によってはそれをやりがいにする人もいるでしょう。そして、中には労働者を物のように扱う、ブラック企業が確かに存在します。求職者は事前に調査をしっかりと行いましょう。