2020/11/30

労基署に入られるとどうなる?立ち入り調査とは

労基署に入られるとどうなる?立ち入り調査とは

労基署に入られるとどうなる?立ち入り調査とは

労働基準監督署とは

ブラック企業問題の話題でよく出てくる労働基準監督署。実際どのような組織で企業に対しどのようなことを行うのか知っている人はあまりいないと思います。特に実際に立ち入られ調査を受けた場合はどのようなことになるでしょうか?

立ち入り調査はどのように始まるのか

労基署の調査委は大きく分けて2つあります。

定期調査

労基署が無作為または一定の基準に基づいてピックアップした会社に調査を行うというものです。

申告調査

残業代の未払い、不当解雇やパワハラなどで会社に是正を求めたい旨の申告が労働者からあり、労基署が必要と認めたときは調査が行われます。 申告調査のほうが、具体的な事件を前提にしているため厳しくなる傾向にあります。また誰が申告してきたということは、絶対に明かさないとのことです。

調査のタイミング

定期調査の場合は、通常はあらかじめ日時の指定があり、監督官が会社に来るのではなく、会社の担当者が指示された資料を持って労働基準監督署に出向く形になることもあります。

突然やってくる場合

申告調査の場合は、あらかじめ日時が指定されることも皆無では無いですが、少なからずの場合、証拠隠滅を防ぐなどの目的で監督官が突然会社にやって来ることになります。
監督官は会社に到着すると、残業代の未払いが問題になっている場合は、賃金台帳やタイムカードの提出を求めます。パソコンのログの開示を求められることもあります。監督官が直接労働者に質問をする聞き取り調査も行われます。

調査後はどうなる?

労基署の立ち入り調査により、逮捕や書類送検がされたり刑事罰を受けたりするということは少なく、よほど悪質な場合や、繰り返し調査を受けても改善が見られないというような場合に限られ、多くの場合は、是正勧告書と指導書のどちらか、または双方が発行されることになります

是正勧告書

是正勧告書は、調査の結果、明らかな法違反が見つかった場合に発行されます。未払い残業代の事案においては、未払い残業が確実に発生しているならば是正勧告書、未払い残業の発生の疑いがあるといいことならば指導書が発行されることになります。

指導書

指導書は、法違反があったとまでは断言できないが、その可能性がある場合や、法違反ではないが不適切な労務管理が行われていた場合に発行されます。未払い残業代の時効は2年ですが、悪質性が高い場合でなければ、丸2年さかのぼっての未払い残業代の精算を是正勧告書や指導書で求められる可能性は低いです。一般的には2か月分から6か月分程度の精算求められることが多いようです。

是正勧告書、指導書の対応

是正勧告書や指導書が発行される際、監督官から日付を指定の上、是正勧告書や指導書に対し、会社がどのような改善を行ったのかの報告書の提出を指示されます。 これを無視した場合は、再指導や警告を挟んだ上でになりますが、最終的には書類送検や逮捕につながっていきますので、通常、会社は監督官の指示に沿って是正報告書を提出します。
残業代未払いの場合は、社内調査や労働者へのヒアリングを行い未払い残業時間数と残業代の額を算出し、○月○日に不足額を支払いましたというような過去の残業代の精算結果、今後は残業を許可制とし、許可なく定時後に会社に残っている者には管理職が帰宅を命じることにしましたというような再発防止策の報告が求められ、監督官の納得を得られれば、労基署の調査対応は終了ということになります。

まとめ

労基署は突然やってくることはないものの申告があった場合は突然やってくることがあります。近年はパワハラ、セクハラ等の問題や残業代の未払い等で申告件数が増加傾向にあり、普段から適切な環境にしておくことが重要となります。