2019/08/27

働き方改革と健康経営の事例

働き方改革と健康経営の事例

健康経営の企業取組事例

労働人口減少が著しいと叫ばれる今日の日本では、働き方改革のように従業員のパフォーマンスを高め、より長く働ける環境を整えることが企業の課題になっています。 そうした従業員満足度を高めることが重視される中、健康経営という言葉も注目を集めています。
2016年から経済産業省も「健康経営優良法人」のような認定制度を設け、国を挙げて健康経営に力を入れています。

健康経営銘柄とは?

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所によって運営される、健康経営に取り組む上場企業の中から、原則1業種1社を健康経営銘柄として認定し表彰する制度です。
健康経営銘柄を取得した企業は、各社が行った健康経営の経営理念・方針、組織体制、制度・施策実行、評価・改善というフレームワークに則り、選定企業紹介レポートという形で公表されています。

人間ドック受診制度の導入

建設会社の事例では、30歳以上の従業員に年1回の法定健診に加えて人間ドック受診を義務化し、受診休暇制度や費用補助を実施。
30歳未満の従業員には年2回の健診受診を義務化することにより、従業員の健康管理意識の改善・向上につなげています。
こうした施策をより効果的に進めるため、人間ドック予約や定期健診の有所見者への精密検査の受診勧奨は専門業者に委託するなど、PDCAによる体制改善を進めています。

全員面談のデータ活用したセルフケア

産業医・保健スタッフが毎年全従業員を対象とした個別面談を行い、抽出した課題を土台に施策を実施。面談結果や健診データなどを一元管理する統合システム導入によってセルフ・ケア度の可視化・定量化を進めるとともに、施策改良につなげています。さらに、ライフログデータを記録できるスマホアプリを活用し、個人の生活習慣や価値観に合わせた的確なセルフ・ケア指導にも役立てています。
サテライトオフィスの整備や設備見直しをはじめとする生産性向上への取り組みの結果、2017年度の売上高は前年度比5%増、総実労働時間は同74時間減少となり、着実な成果に結びついています。

測定会

ヘルスリテラシーの低い従業員のために、内臓脂肪や骨密度を測定してその場でデータを確認できる体感型測定会を開催しています。
その場でデータがわかるだけでなく、専門スタッフによるアドバイスも実施しています。保健指導の対象者や健康診断後のフォローとして行い、従業員の健康状態の指標が主要企業10%以内に入ることを目指しています。
また従業員の健康増進をするために、朝食や運動習慣など従業員が健康的な生活を包括的にサポートしています。

健康経営を行なっている企業の共通点

健康経営の施策に成功している企業に共通して見られるのは、長時間労働の改善をまず行なっている点になります。
長時間労働、残業による食生活の乱れから体調不良や肥満を引き起こしていることを突き止め、部署ごとの状況などを可視化することで長時間労働を改善し、有休取得率の向上、欠勤、休職する従業員の減少に効果を出した事例があります。

長時間労働の削減はともすれば従業員の残業代などの減少で収入に影響しますが、健康経営に成功している企業では、労働時間が短くなることで削減された人件費を賞与支給時に従業員にそっくり還元したり、従業員一人一人の健康に対する取り組みにポイント制を導入して、一定以上のポイントを取得することで資格手当を支給したり、定年後の再雇用時に優遇するなどの取組みを実施しています。
従業員にもはっきりとわかる利益がある形で還元することで、長時間労働の削減が人件費のカットを目的としたものではないことを示し、従業員の健康や就業に対するモチベーションを高めることがポイントとなります。

まとめ

健康経営とひとまとめに言っても、事業所や企業ごとで実施している施策やその効果は様々です。
企業によって事情は異なるため、全く同じ施策が有効であるとは限りませんが、健康経営に取り組む上で、検討するのもいいかもしれません。