2018/12/27

女性活用の事例

女性活用の事例

女性が活躍しやすい会社

女性の働きにくさを考えた時、大きな問題になるのが、妊娠~出産~育児の時期です。子どもができるまでは、時間的に男性と働く条件に差がないことが多いでしょう。 しかし、出産を期にどうしても時間的な制約ができてしまいます。

しかし、そのような時間的制約を持たざるを得ない女性社員が自身の能力を最大限発揮できる職場環境にしなければなりません。 これまで、一部の大企業では、福利厚生として子育て支援制度が充実しているケースがありました。 しかし今後は、301名以上の従業員がいる企業ならば必ず (300名以下の規模の企業でも努力目標として) 女性の活躍推進に具体的に取り組むことが求められています。 これは法で決められた企業の義務ではありますが、女性の活躍を促すことで、全体的に生産性向上を促すものとなることも期待されているためです。 社員間で業務を共有したり引き継いだりしやすい仕組み、在宅勤務など場所を問わずに働きやすい環境作りなどが、これからの企業には求められています。

女性活躍推進に取り組む企業

セブン&アイ・ホールディングスの事例

2006年に経営トップが女性役員比率を20〜25%にすると発表、2020年までに女性管理職比率30%を目指しております。 また、2012年に「ダイバーシティ推進プロジェクト」を設置。同グループの店舗に来店する顧客の多くが女性であることから、女性の視点や感覚を活かした商品・サービスの開発や売場づくりを中心に行い、女性の活躍推進に焦点を当てました。取り組みのステップとして、2012年度に推進体制を構築、2013年には、女性自身の意識改革のための取り組みや制度運用の見直しを実施、2014年度には管理職の意識改革に取り組みました。また、2015年度からは仕事と介護の両立支援に向けた取り組みも進め、現在は2020年を期限としたダイバーシティ推進目標実現のために取り組んでいます。

全日空の事例

2014年2月に「ポジティブ・アクション宣言」を行い、女性管理職などの数値目標を社内外に公表しました。
ANAは、社員数の半数以上を女性が占めることから、女性がその多様な視点や感性、価値観を活かしてより一層活躍し続けることを経営課題とし、女性の役員数や管理職比率などの数値目標を設定しました。 具体的には、

  • 女性役員2名以上登用
  • 女性管理職比率15%
  • 総合事務職・客室乗務職掌における女性管理職比率30%を設定

また、ダイバーシティ推進にも積極的に取り組み、「ダイバーシティ&インクルージョン推進室」を設置。 「ダイバーシティ&インクルージョン推進室」では、個々のライフスタイルや価値観を大切にしながら、ワークとライフの相乗効果を生み出せる「ワーク・ライフ・バランス」を推進しています。

大成建設株式会社の事例

大成建設株式会社のでは、6種類の取組を行い、総合的に女性が活躍できるような職場づくりを心がけました。 特に男性が多いと言われている建設業界では画期的な取り組みとなり、徐々に社員の意識改革や制度の活用の幅が広がっています。

  • ホームページなどの求人誌で女性社員を紹介
  • 女子トイレや更衣室の整備、女性向けの安全防具の導入、短時間勤務や女性労働者の海外派遣の導入
  • 棋院無知変更制度やキャリア選択制度、両立支援セミナーの実施で継続就業を支援
  • 女性の管理職数3倍増の目標を掲げ、評価制度や育成研修の実施
  • ジョブリターン制度の導入
  • 職場風土への改革の為の意識調査や個別ヒアリングの実施・ハンドブックの配布

女性活躍に成功している企業の事例から見えてきた共通のポイント

女性社員の状況や想いを正しく理解する

女性活躍推進に成功している企業では、女性社員の状況や想いを正しく理解すること、ニーズを汲み取ることに注力しています。 逆に、女性活躍推進がうまくいっていない企業では育児中の女性社員に配慮するあまり、責任のある仕事は時間制約のない社員が行う体制になっている。など女性社員への配慮の仕方が違っている、配慮が行き過ぎているというケースが多くみられます。 実際に女性社員の話をしっかりとヒアリングすることで、本当に配慮してほしいポイントを理解することが重要です。

働き方の選択肢を増やす

働く時間や場所などのに対して選択肢を用意し状況に応じて選べるようにすることが重要です。 女性社員の働き方の希望はライフイベントや本人の志向により様々です。 育児中であっても、「時短勤務で残業をせずに、子どもとの時間を優先したい人」、「さらなる成長を目指し時間をうまくやりくりして管理職で働き続けたい人」など。 選択肢がある分、働き続ける選択をする女性が増えます。

育児中の女性だけではなく全社員を対象にする

企業の女性活躍で見落とされがちなポイントとして、育児中の女性だけではなく全社員を対象にするという点があげられます。 制度を作る際には、育児中の女性だけではなく、介護中や副業をしている男性なども含めた全社員を対象とした制度にするべきです。 育児中の女性だけが利用できる制度にすることで男女格差につながり、男性は長時間働くことが当たり前の風土ができ、夜の時間帯の会議が多くなるなど結果的に女性活躍を阻害してしまう結果になるケースも発生しています。 育児中の女性だけが利用できる制度では、フルタイム勤務の女性や男性からの不満につながりかねません。 皆が平等に利用できる制度にしたところ、会社全体の離職率が下がったという企業もあり全社員を対象にすることでのプラスの面が大きいようです。

女性活躍というトレンドに乗っかるだけではなく、男女全社員の働き方、会社の仕組み自体を変革していかなければ根本的な解決にはなりません。 企業の文化や働き方が変われば、女性社員のみならず、全社員の在り方・成果も変わってくるはずです。