2019/09/06

2020年からの働き方改革法案

2020年からの働き方改革法案

猶予期間終了による2020年問題

2019年から大企業を中心に適用が始まった働き方改革法案ですが、2020年4月からは適用範囲が中小企業に拡大され、さらに徹底されることになっています。
猶予期間があったにも関わらず、殆ど準備をしていない企業が出てくることが多かれ少なかれ予想されます。

中小企業の特例がなくなる

中小企業の猶予期間が終了し、一部適用除外されていた法案が適用されることになります。

例えば、2019年からすでに大企業には適用されていた月60時間を超える時間外労働における割増賃金率50%以上について、中小企業への猶予措置が廃止され、すべての企業が対象となります。また時間外労働の上限について月45時間・年360時間を原則とし、臨時的・特別な事情があるという場合でも年720時間・休日労働含む単月100時間が限度となります。

働き方改革の手始めは、適切な勤怠管理

とはいえ、働き方改革に向けて何から始めれば良いのか、わからない方も多いかと思います。しかしもう先延ばしはできません。
まず、従業員の働き方を正しく把握することから始めましょう。具体的には、正しい形で勤怠を管理し、実態を知ることです。勤怠データから、職場の問題点や課題が明らかになります。例えば、長時間労働が恒常化する人や部署が特定されることで、より効果的な取組みの検討ができるようになります。

2020年から始まる施策

小企業の猶予期間が終了し本格化する取り組みが以下になります。

残業時間の罰則付き上限規制

労働者の過労死等を防ぐため、残業時間を原則月45時間かつ年360時間以内、繁忙期であっても月100時間未満、年720時間以内にするなどの上限が設けられ、これを超えると刑事罰の適用もあります。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、同じ仕事に就いている限り、正規雇用労働者であるか、非正規雇用労働者であるかを問わず、同一の賃金を支給するという考え方です。 正規・非正規の不合理な格差をなくすため、判例で認められてきた「同一労働・同一賃金の原則」が法文化されます。

様々な事情により、非正規雇用を選択する労働者が増加している中、政府はいわゆる働き方改革のひとつとして、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消し、多様な働き方を選択できる社会にすることを目指します。

2020年以降の施策

割増賃金率の中小企業猶予措置廃止

中小企業には適用が猶予されていた、月の残業時間が60時間を超えた場合、割増賃金の割増率を50%以上にしなければならないという制度が2023年4月に全ての規模の企業に適用されるようになります。

同一労働同一賃金の中小企業猶予措置廃止

同一労働同一賃金の中小企業猶予措置は2021年までとなっており、2021年4月に全ての規模の企業に適用されるようになります。

時間外労働の削減が急務

まず、早急に取り組まなければならないのは、時間外労働の削減です。

法律で定められた上限を超える残業は絶対的に禁止となります。そのため現状、基準を超える残業が発生している企業においては、業務の効率化や負荷の偏りの見直しなどを行い、まずは、残業時間の絶対量の削減に注力すべきです。

また労働時間の把握義務についても、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
管理監督者や裁量労働制の労働者を含め、残業代の計算のためではなく、健康管理や過重労働防止の観点から、労働時間管理が義務化されます。

それぞれの会社に合ったやり方で、管理監督者や裁量労働制で働く従業員も含めた労働時間の管理体制にする必要がありますが、規模が大きく、対象者にも様々な類型がある企業は、早急な対応が必要です。

同一労働同一賃金の対応

同一労働同一賃金の考え方は、正社員と非正社員の職務内容が同じであれば同じ賃金を支給し、 違いがある場合にはその違いに応じた賃金の支給をしなければならないというものです。
まずは、正社員と非正社員の職務内容を明確にする必要があります。
待遇の違いについて明確になっていないのであれば、すべて可視化するなどして、全体で共有し把握する必要があります。

まとめ

2020年から働き方改革法案の実施が本格化しより厳しく企業に求められることになります。企業の人事全てに影響する法改正ですので、早めに準備して労働者の合意も取り付けた上で、適切な制度改正を行いましょう。