2020/01/09

技能実習制度の問題

技能実習制度の問題点

技能実習制度の問題

外国人雇用の一環として行われている技能実習制度、しかし多くの問題点があります。

外国人技能実習制度の目的

外国人技能実習制度は、主に開発途上国の労働者を一定期間日本で受け入れ、技術や知識を学んでもらい、本国の発展に生かしてもらうことを目的としており、本来は国際協力・貢献のための制度です。しかし現在では、日本の労働者不足を補うための制度という側面が大きく働き方改革の外国人雇用の一端を担っている状態です。

外国人技能実習制度は、雇用契約は実習生を受け入れる企業と行いますが、雇用関係に関する多くのことを監理団体が管理しており、簡単に転職などすることができません。 実習生の受け入れ企業の経営者が有利な雇用関係となります。 外国人技能実習生に長時間労働を行わせたり、残業代を支払わなかったりなどの違法労働を行っても、実習生は受け入れざるを得ない状況となってしまいます。 こうした状況が出来てしまうと、外国人技能実習生を受け入れると、日本人を雇用するよりも安く済むというイメージができてしまいます。

外国人技能実習生の問題・トラブル

技能実習制度では実際にいくつかの問題も起こっています。

失踪

大きな問題は失踪です。悪質なブローカーによって失踪が斡旋されることもあります。もっと稼げる、もっといい環境で働ける、甘い言葉に技能実習生はついていき、失踪という結末を迎えます。技能実習生は原則3年間同じ受け入れ企業に勤めるため転職という選択肢がありません。そのため、辛い現実に当たると母国に帰るか失踪してしまいます。失踪者の主な理由が低賃金です。思った金額と違った、労働の対価としての金額に不満がある等の不満が積もると失踪を選ぶ技能実習生が出てきます。

近隣住民とのトラブル

技能実習生は外国人であり、日本の生活習慣に慣れていません。ゴミ出しのルールがわからず近隣住民とのトラブルになるなどのことが多々あります。また仲間を集めて騒いだり、ゴミを投げ捨てるなどのトラブルも起こります。

事故に遭う、起こす

技能実習生が労働時間外に交通事故に遭ったり起こしたりし、実習を中断せざる負えないケースもあります。

問題の要因

外国人技能実習生関連の事件・事故が頻発するもっとも大きな原因は、実習生自身が当初考えていたよりも稼げないからです。
これは、技能実習生に対して不当な賃金設定をしている企業に問題があるケースが多いですが、雇用側と実習生側の認識の違いという面もあります。 また、受け入れる側の企業が労働法令を遵守しようとすると、実習生に基準となる労働時間以上の残業を強いることができず、実習生によっては稼ぎたくても稼げないという状況が発生することになります。
実習生はより高い収入を求めて資格外活動をしてしまったり、犯罪に手を染めてしまったりという事が発生します。

雇用側の制度の悪用

外国人技能実習制度は、農業や畜産などの業種にも適用されております。多くの場合、労働基準法に基づき労働契約を結ぶ際に労働時間や一日の休憩時間、休日などを規定しますが、農業、畜産と言った自然を相手にする業種は、この労働時間にそぐわないということで、適用除外業種となっております。 このため、一日8時間以上働かせた場合でも、時間外賃金を支払わなくても、農業に関しては労働基準法違反とはなりません。
この事実を逆手にとり、農業分野では、外国人技能実習生への残業代未払いの長時間労働が大きな社会問題となりました。 ある地域では、外国人労働者を長時間酷使して、雇用主である農家はいい暮らしをするといった現在の奴隷制度などと言われて、大きな批判を浴びたこともありました

トラブルを防ぐためには

労働環境を整える

上限を無視し長時間労働などは日本人と同等に違法になります。技能実習生だからといって、例外になるわけではありません。労働環境を整えることで、失踪などのトラブルを未然に防ぐことができます。

信頼関係を築きしっかりと対応を行う

他の従業員と同様に技能実習生と接することで信頼関係が築け、何かあった際一人で抱え込まず相談してくれるようになります。技能実習生の不安や悩みを察知し、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

日本全体の労働環境は、今後景気が回復していくにつれて徐々に改善される方向に向かう可能性が高いですが、外国人労働者をめぐるさまざまな問題は、さらに複雑化していくことが予想されます。 日本人にとってもけっして無関係な問題ではないので、どういった議論がされているのかをしっかりと注視する必要があります。