2020/11/20

働き方改革で健康診断にも変化 労働安全衛生法とは

働き方改革で健康診断にも変化 労働安全衛生法とは

健康診断は実施義務がある

健康診断の目的は、企業が雇用責任として従業員の健康を管理するためです。また、従業員が健康診断を受けることは、労働安全衛生法によって定められています。受けさせないと、違法行為となってしまいます。違法行為とみなされた場合、労働基準監督署から指導が入り、さらに無視を続けるなどすると、50万円以下の罰金を支払わなければなければなりません。
正社員はもちろん、契約期間が1年以上、かつ週所定労働時間の4分の3以上労働する契約社員やパート労働者も該当します。それは、個人事業でも中小企業や大企業でも違いはありません。

健康診断を拒否する社員への対応

業務が忙しいなど、従業員が健康診断の受診を拒否する場合があります。その際の対応として労働者の行きやすい病院を指定する、有給休暇、半休の取得を推奨する、業務量を調整するなどの対応を行い健康診断を行わせる必要があります。
労働安全衛生法は、労働者の受診義務違反に対する罰則は設けていませんが、企業は労働者に対して健康診断の受診を職務上の命令として命じることが出来、受診拒否する社員に対しては、懲戒処分をもって対処することもできます。

働き方改革による改定ポイント

労働安全衛生法は働き方改革法案に紐付く形で、2019年4月に改定されました。

産業医による産業保健機能の強化

産業医とは、事業場に配属されている労働者の健康管理などについて専門的な立場で指導ができる医師のことです。産業保健機能とは、事業場の産業医や保健師などのスタッフが職場以外の専門家の支援を受けながら行う、企業の保健的活動を指します。改正された法律では、産業医が専門的な立場から労働者の健康確保を行えるよう、事業者に対して以下の情報提供を求めることができます。産業医は事業者側の意見をヒアリングするとともに、事業者に対して労働者の健康管理におけるアドバイスや勧告を行うことができます。事業者は、これに基づいた改善策を講じる必要があり、従わない場合はその理由を記録して3年間保管するとともに、衛生委員会に報告しなければなりません。

  • 健康診断実施後、1ヵ月当たり80時間を超えた長時間労働者に対する面接、指導実施後、またはストレスチェックの結果に基づく面接指導実施後、これらの措置の内容
  • 1ヵ月当たり80時間超えて残業をした労働者の氏名・労働時間
  • 労働者の健康管理をするうえで必要とする労働者の業務に関する情報

労働時間の状況の把握と面接指導強化

これまで、長時間労働者で面接が必要と判断される労働者の定義は、1ヵ月当たり100時間を超えて時間外・休日労働をし、かつ疲労の蓄積が認められる者で本人からの申し出がある場合という基準でした。しかし、2019年4月以降は、80時間を超えて時間外・休日労働をし、かつ疲労の蓄積が認められる者で本人からの申し出がある場合という基準に変更されています。
事業者はタイムカードやパソコンの使用時間など客観的な方法で労働者の労働時間を把握し、1ヵ月あたり80時間を超えて時間外労働や休日労働をしている労働者本人および産業医にその旨を通知しなければなりません。

健康経営とは

そんな中、健康を働き方改革に取り込もうとする動きもあります。健康経営とは健康経営研究会によると企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できるとの基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを指します。 従業員の健康を経営資源と捉え、企業主導で従業員の健康維持に取り組むことにより、従業員の活力及び生産性の向上の実現、業績アップが期待できます。また、従業員が健康であれば、会社負担分の医療費の削減ができるといったメリットもあります。

まとめ

働き方改革を進める上でも従業員の健康管理は重要となります。特に2019年の法改正で長時間労働に関する項目がより厳しくなりました。
また健康経営といった新しい働き方改革のやり方も広まっており、健康管理の向上による集中力の向上やモチベーションアップを図る企業も増えてきております。健全な環境を保つために見直してみてはいかがでしょうか。?