2020/01/20

働き方改革と育休

働き方改革と育休

働き方改革と育休

小泉環境大臣が、初めて環境大臣という要職に就く議員が育休を取得したことで大きな話題となっていますが、育休とはそもそもどのような制度なのか、なぜ取得が進まないかを解説します。

育休とは

育休とは育児休暇や育児休業のことを指し、子を養育する労働者が法律や就業規則に基づいて取得できる制度になります。

育児休暇と育児休業の違い

育児休暇と育児休業を区別せずに使っている方も多いと思いますが、この2つには、法律で定められているかいないかという違いがあります。

育児休業

育児休業とは、育児・介護休業法によって定められた休業制度のことです。法律で定められているので、1歳未満の子どもを育てているなど、条件を満たすことで取得でき、働く人が持つ権利の一つともいえます。条件を満たせば、正社員だけでなく、雇用期間が定められている方も取得することができます。

育児休暇

育児休暇とは、育児のために休暇を取得すれば、それだけで育児休暇といえるため、広い意味で使われています。例えば、有給休暇を使用して、数日~1週間ほどの休暇を取得するのも育児休暇といえます。規定によって、子どもが3歳になるまで休暇が取得できる会社もあります。

男性の育休

厚生労働省によると、男性の育児休業取得率は2016年度で3%。少しずつ増加しているとはいえ、女性の育休取得率82%と比べるとまだまだです。多くの人が男性の育児休業取得を進めたいのに、なかなか増えないのが現状です。

原因は職場の理解と生活面

職場の理解が足りないが取得できない主な理由となっており、現に子育ては母親の仕事という風潮はいまだに強いです。一方で、育児休業中の家計が不安、復職後の役職が下がりそう、復職後の給与が下がりそうという現実的な課題もあります。

育児休業中の就労

育児休業は「休業」ですので、原則として仕事をすることはできません。しかし例外として、育児休業中の就労について、労使の話し合いにより、子の養育をする必要のない期間に、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます。と厚生労働省の育児休業中の就労についてのガイドラインに記載されています。また、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されます。
恒常的・定期的な就労は「復帰」とみなされ、育児休業給付金は支給されませんが、突発的に発生した事態に対応するため、そのつど事業主と合意のうえ、ほかの者では手当てできない臨時の業務を行う場合(テレワークにより行うものも含む)は、月80時間以下であれば給付金が支給されます。

育休中に利用できる制度

社会保険料の免除

育児休業中は、社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が免除されます。事業主経由で育児休業等取得者申出書を年金機構へ提出する必要があるので、休みに入る前に勤務先の担当者に相談しましょう。

所得税と雇用保険料の免除

育休中に受け取る給料が0円であれば、所得税や雇用保険料も自動的に0円になります。育児休業給付金や出産育児一時金などの給付金は、非課税となります。

住民税の減免措置

所得税と違って、住民税は昨年1年間の給料に応じて課税されているため、育休期間中でも支払う必要があるので注意しましょう。育休前の最後の給料や賞与から一括で引かれる場合や、6月頃に自宅に届く住民税支払い通知書に従って自分で支払う場合があります。
また、自治体によっては前年に比べて収入が大きく減った方に対して、住民税の減免措置を行っているところがあります。申請すれば住民税が減額または免除される可能性がありますので、市区町村の減免制度について、確認してみると良いでしょう。

配偶者控除

育休中は、自分の収入が減ったことを正しく申告することで、配偶者の所得税や住民税が安くなることがあります。なぜなら、1月1日から12月31日までの年収が103万円以下の場合は配偶者控除が、年収201万円以下の場合には、配偶者特別控除が利用できるからです。
この控除を受けるためには、配偶者の勤め先で行われる年末調整時に扶養控除に関する申告書を提出するか、確定申告時に自分で申告をする必要があります。このとき正しく申告するためにも、給与明細などの給料が分かる書類はしっかりと保管しておきましょう。

まとめ

子育てと仕事を両立させるためには、周囲の理解が大切です。復帰後に気持ち良く働ける職場、安心して子どもを預けられる保育所の整備などが必要不可欠になってきます。育児休業への理解が深まり、より良い職場環境づくりのできる企業が増えると少子化の歯止めにもつながります。