2019/11/27

運送業と働き方改革

運送業と働き方改革

運送業と働き方改革

トラックドライバーは、平均的な職業と比較しても長時間労働、低賃金の傾向があり、業務の改善が求められております。どのような取り組みが行われているのでしょうか

運送業と働き方改革

運送業は一般企業とは異なり、時間外労働の上限規制も適用時期も異なり、独自の働き方改革実現に向けたアクションプランを策定し取り組んでおります。運送業の働き方改革は建築業と同じく特殊特殊な事情があります。

改正労働基準法適用の例外

運送業は改正労働基準法に独自のアクションプランで取り組むことが明らかにされているだけでなく、時間外労働の上限規制も適用時期も、一般企業を対象にしたものとは異なっています。これは、時間外・休日労働が月100時間を超える労働者が多い運送業の特殊性と実態を考慮し、労働環境改善に時間がかかると判断されたためです。
厚生労働省の立ち入り調査によれば、トラック・バス・タクシーなどの運送事業所の8割以上で、労働基準法関係の法令違反が発覚したといわれています。激化する競争のなか、荷主のムリな要求を飲まざるを得ない運送業で、そのしわ寄せが労働者である運転手に転嫁されている状況となっております。
運送業の長時間労働を是正し、労働者の処遇を改善していくには、まず荷主の理解も含めた運送業全体の状況を改善していく必要があります

運送業に適用される働き方改革関連法案とは?

2019年4月1日に施行される改正労働基準法の一般則とは別枠で、2024年4月1日から適用となる、運送業に向けた働き方改革関連法案が制定されました。具体的には、一般則施行から5年間の猶予期間が設けられたほか、36協定による例外措置が、月平均80時間となる年間960時間とされました。
一般則よりも年間240時間多い上限とされたのは、運送業の特殊性が考慮されたものですが、宅配業を含めて年間720時間の上限適用検討に含みを持たせているのも特徴です。また直ちに取り組む施策として、2018年7月1日より国土交通省が行政処分の基準を引き上げました。
ドライバーの拘束時間・休日労働上限や、社会保険未加入などの法令遵守違反が認められた際の行政処分基準を厳格化した一方、ホワイト経営認証制度の創設が進められ、優良事業者がドライバーを確保しやすい環境構築も行われております。

働き方改革実現に向けたアクションプラン

2024年4月1日までに、年間時間外労働960時間超の事業所ゼロを目指すべく、働き方改革実現に向けたアクションプランを全日本トラック協会が策定し、実現のための要望を提言を行なっております。

  • 労働生産性の向上
  • 運送事業者の経営改善
  • 適正取引の推進
  • 多様な人材の確保・育成

まとめ

運送業と同様、改正労働基準法適用に、5年間の猶予措置が設けられている産業には建設業が挙げられます。しかし、5年後の労働時間上限規制が960時間にとどまる運送業は、ドライバーの長時間労働是正が容易ではないことがわかります。運送企業の努力だけでは業界全体の状況を改善できず、荷主企業の理解と協力が欠かせません。
運送業の働き方改革が進まず、業界に参入する労働者人口が減少し続けてしまえば、荷主企業にとってもタイムリーな物流が妨げられる要因となります。こうした状況を荷主企業と運送企業で共有し、今すぐにでも対話を進めていく必要があるでしょう。