2020/11/16

有休義務化から約1年 有給休暇のルールと課題

有休義務化から約1年 有給休暇のルール

有給取得義務化

働き方改革関連法の成立により、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から年次有給休暇の5日以上の取得が義務化されることになりました。中小企業も例外ではなく、またパート・アルバイト、非正規雇用にも適用されます。この有給取得義務化の施行から1年以上経過しました。

有給休暇取得の義務化によって出てきた課題

有給休暇取得の義務化は、日本全体の有休消化率が50%を下回っていたという現状を打破し、2020年中には、有給休暇取得率70%を目指す目標に向かって施行されました。一方で課題も出てきております。

管理が難しくなっている

義務化以前は、労働者が有給休暇を取得できなかったとしても会社には罰則はありませんでした。
しかし、義務化に伴って労働者が年5日以上の有給休暇取得をできていないことで会社が罰則を受けることとなり、人事担当者は労働者に有給休暇を取得してもらうための方法をこれまで以上に考えなくてはならない状況となりました。
有給休暇が付与されるタイミングは、各労働者の雇用日によって異なっており、労務担当者はそれぞれの有給休暇取得状況を個別で管理する必要があります。このため、人数の多い組織になるほど管理が煩雑になってしまいます。

駆け込み有休取得

年度末や期末などの時点でまだまだ有給休暇が取得できていない従業員がいる場合、会社として早急に有給休暇取得を促す必要があります。そうしないと、3月末などに、駆け込みで有給休暇を取得しようとする労働者が多く発生する可能性があります。例えば、同時期に休暇を取る人が発生し、業務が滞る、有給休暇を取得するために、夜遅くまで残業して時間を捻出する、有給休暇を取得中にも関わらず、PCを持ち帰って自宅で仕事をする、勤務表上は有給休暇のはずなのに出社して通常通り仕事をするという自体が発生する可能性もあります。

駆け込み有休取得を防ぐための対策

有給休暇管理簿の導入

労働者各自の有給休暇消化日数を人事労務担当者が把握するためには、有給休暇管理簿の導入が必須です。 まだ労働者の有給休暇管理に注力できていない企業は、すぐに有給休暇管理簿に各自の有給休暇消化状況を記録しましょう。 また、有給休暇残日数を給与明細に明示することも基本の防止策のひとつになります。

半日単位で有給を取ることを呼びかける

年次有給休暇の取得義務を果たしていない複数の労働者がいる場合、1日単位の有給休暇が集中しないよう、半日単位でこまめに有給休暇をとって回す方法もあります。ただし、時間単位の有給休暇は、取得義務の対象外です。

有給休暇取得状況チェック日

有給休暇取得チェック日とは、例えば年度の中間や年度末を迎える数ヶ月前に、有給休暇管理簿に基づき、労働者各人の年次有給休暇取得日数を確認する日です。 こまめにチェックし呼びかけを行うことで、駆け込み有給休暇取得が発生するリスクを下げられます。

有給休暇計画付与

有給休暇の計画的付与とは、年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定を結ぶことで会社が休暇取得日を計画的に割り振れる制度のことです。
会社全体を有給休暇の休業とする日、事業場単位で休業とする日、部・グループ単位で休業とする日を設定することで会社の特性に応じ計画的に有給義務化に対応することが出来ます。

システム化によりスムーズな体制づくり

全従業員でスケジュールや業務の手順、状況を共有することによって、休んでも弊害が出ない体制を実現することが出来ます。業務書類も一括管理することにより管理職の有休義務化対応も実現することが出来ます。

まとめ

有給休暇取得義務によって、有給休暇が取得しやすくなったというのは大きな変化です。 一方で課題はあるので、罰則を受けることなく、一人ひとりが快適かつ計画的に休暇を取れるようにするための仕組みづくりをしていきましょう。