2020/01/17

外国人技能実習生の受け入れできる職種

技能実習生受け入れの流れ

外国人技能実習生の受け入れできる職種

実習生はどの様な職種に就くことができるのでしょうか、また職種によって受け入れ可能な期間が異なる場合もあり確認が必要です。

移行対象職種とは

技能実習制度は主に3段階を想定し、入国1年目は技術を覚え、3年目までに技能を習熟、5年目には完璧にしているような形です。これを在留資格で区別しており、技能実習生は全員技能実習1号の在留資格を得ます。1年目に基礎的な技術を得たかどうかをテストしますが、このとき合格すると、技能実習2号に移行し、在留期間が更新します。そして、実技試験で合格すれば技能実習3号に移行され、5年間日本にいられます。このように技能実習2号、3号と移行できる職種を、移行対象職種と言います。
技能実習2号への移行対象はすべての職種となっており、3年間はどの職種に携わる人でも実績を残せれば、日本に滞在できます。技能実習3号に関しては一部の職種で移行が認められておらず、最大3年しかいられない技能実習生もいるなど不公平感があるシステムです。移行する際の審査があり、それらをちゃんとこなせるのか、しっかりとチェックされます。技能実習2号の1年目、2年目でもチェックを受けるため、明らかに技術がない人は帰国を余儀なくされる厳しいものです。

技能実習生の職種変更

人によっては途中で、事情が変わったり目指しているものに変化が見られたりすることがありますが、職種の途中変更はできません。その理由として、技能実習生を受け入れる際に実習指導計画の認定を受けなければならず、技能実習を行ったらそれを帳簿にまとめ、保管する義務があります。緻密な計画を立てることになるため、あっさり変更させるようなことは不可能です。
一方で、その職種、作業に関連することを実習に加えることは可能です。また安全作業、周辺作業も計画の中に入れなければならず、細かくそのあたりを定めることになります。1度決めた職種は二度と変更できないため、例えば、現状この職種が足りないので技能実習生を入れたとしても、入ってみたら別の職種の方が足りなかったという場合に、企業側はすぐに対応できません。

技能実習生を受け入れられる職種

農業関係

農業関係は2つの職種があり、主に田畑を耕して栽培を行う耕種農業、動物を育てて畜産物を得る畜産農業の2つです。この中で、耕種農業に該当する作業が、ビニールハウスなどを使って栽培する施設園芸、畑作・野菜、果樹の3作業で、畜産農業は養豚、養鶏、酪農の3作業となります。

漁業関係

漁業関係に関しても2つの職種となっており、漁船漁業と養殖業に分かれます。養殖業に関してはホタテガイ・マガキ養殖作業の1作業のみですが、漁船漁業に関しては8つの作業があります。かつお一本釣り漁業や延縄漁業、イカ釣り漁業の他、まき網、曳網、刺し網、定置網、かに・えびかごのラインナップです。単に漁業でワンセットなのではなく、細かな作業、漁によって細分化されています。

建設関係

関係別に分けて最も多い職種が建設関係の22職種です。建築大工やタイル張り、左官に配管、内装仕上げ、サッシ、防水など多種にわたります。建設関係は全体的に人手不足である一方、発展途上国では非常に需要がある分野だけに、建設団体の陳情もしやすいこともあって、職種は多いです。ただ、作業数に関しては1職種1作業が大半を占めており、作業数そのものはトータルで33作業にとどまっています。

食品製造関係

食品製造関係は、こちらも細分化されており、11職種となります。主に加工業が中心で、水産加工は加熱性と非加熱性がそれぞれ職種として存在します。鳥の処理加工、牛豚食肉処理加工といったものやパンや惣菜の製造、医療・福祉施設給食製造も技能実習制度で認められている状況です。建設関係同様、1職種1作業が多く、水産加工において作業が細分化されているだけで、トータルで16作業です。

繊維・衣服関係

13職種が存在します。日本の昔からの産業である紡績や織布の運転、染色を始め、婦人子供服、紳士服、下着類の各種製造や寝具やカーペット、自動車の座席シートなども対象です。作業数は22作業を数え、紡績運転と織布運転で7つの作業があります。

機械・金属関係

全体で15職種存在し、鋳造や機械加工、工場板金、メッキなどの定番のものから、電子機器組み立てや電気機器組み立て、プリント配線板など、日本の工業を根本から支えるような職種まで勢ぞろいです。作業数は29作業です。

まとめ

技能実習制度によって、産業は成り立っているとは言われますが、基本的に景気に左右されやすく、現状は景気がいいために増えているものの、今後どうなるかはわかりません。ただ農業のように、生産者の高齢化が加速する職種では増え続けることが予想されたり、不法就労者を排除する動きが強まる建設関係ではちゃんと在留資格を持つ外国人を働かせるようにしたりするため、構造的に一気に減少する可能性は低いでしょう。
受け入れ企業は技能実習生の枠の上限を拡大するなど、様々な改善も行われており、悪質な企業を減らしつつ、ちゃんと制度を利用する企業を優遇する動きもあります。