業務の可視化の事例

業務の可視化の事例

働き方改革関連法案

業務の可視化

業務の可視化とは「いつ、誰が、どこで、どんな作業を、どれくらい行っているか」を可視化し、業務内容から業務の無駄を省き効率化を図ることで効果が表れます。業務を効率良くするためにこの業務の可視化が欠かせません。

業務を可視化し、問題点を洗い出すことにより、業務上の問題点への対策、無駄の簡略化、可視化が容易になります。仕事にメリハリを付けることにより短時間でより多くの成果をあげることができます。

可視化のポイント

業務の可視化で大切なことは、業務に関わる従業員や責任者など立場関わらず可視化していくことです。業務改善にあたって専任担当者が就く場合が多いかと思います。しかし担当者が独自の業務プロセスを定義するのは非常に危険です。少しでも業務可視化が正確にされていないと、業務改善が正しく進みません。
そこで可視化する業務プロセスに関わる従業員や責任者を巻き込みながら定義していきます。そうすることで正確な業務可視化ができる他業務改善の過程を全ての社員が知ることが出来、業務改善の効果を高める事ができます。

業務の可視化の事例

紙からシステムで管理

家電製品開発会社の事例では、多くの資料が紙で管理されており、あの資料が見つからないという問題が発生していました。
そこで情報共有ツールを導入し、議事録、日報、プロダクトの図面やデザインといった画像データ、そして名刺までを一元管理する仕組みを作りました。 また、デジタルツールに疎い方も含む幅広い世代で運用するため、どの資料を読めばいいのかが一瞬で分かるように、タイトル付けにルールを設ける事などのルール作りを徹底しました。
この徹底したルール作りによって、ミーティングの際に、キーワードやタグ検索すれば、全員が必要な情報をすぐに確認できる状態となり、会議の円滑化や会議から紙の資料が無くなるなどの効果がありました。

社外メンバーとの業務における生産性を向上

色々な人から何度も同じ質問をされ、その度に同じ説明を繰り返すことで、仕事の生産性を下げてしまっているということも多々あります。

とある会員制結婚式プランニング会社ではドキュメント共有ツールやチャットツールの活用により、情報共有を効率化することに成功しました。
この会社では外部のプランナーが多くかかわる事、案件を担当していただく頻度が月1くらいとなり、前回のことを忘れてしまっているケースもあり、同じことを何度も説明することになってしまい、そこに多くの時間を割いている状況となっておりました。

そこで社内で活用していた情報共有ツールを外部のプランナーや協力会社でも使うことにしました。 事前に共有することにより、説明に使っていた時間を削減し、円滑な業務を実現しました。
また、議事録などの資料をテンプレートに沿って記載するというルールを作り、使用のハードルを下げることにより、定着させることに成功しました。

予定の可視化で円滑な業務を実現

ツールを使い各従業員のタスクを可視化し、業務の円滑化を図る事が出来ます。
進捗に応じてステータスや担当者を更新していき。チーム毎に、現在抱えているタスクやプロジェクト全体の状況などがリアルタイムで追える状況を作ることにより、 例えば業務の割り振りの際、Aさんに業務が偏っているからBさんに割り振ろうといった判断をしやすくなり、リソースが適切に分配されているかを確認することができます。
各従業員のタスク加味し割り振ることにより生産性の向上が可能になり、また進捗の悪いタスクの調査、解決につなげることが出来ます。

業務の可視化のためのツール

業務の可視化はシステムやツールを導入し、運用を定着させる事によって、効果的に行う事ができます。

SmartRPA

予定登録、作業、報告、集計、分析を自動化し、SFA、CRM、プロジェクト管理機能と組み合わせる事で、営業から販売後のサポートまでを最短かつ最高品質で提供することを可能とした、統合自動化ツールです。 業務に関するあらゆる情報を管理下に置き、最適化に最も適したツールです。

RPAによるサマリ、予定管理の自動化。CRMを用いた顧客情報の共有の他に予定の管理、業務進捗を管理させることにより、マネジメントツールとして発展させた形で提案します。
顧客情報、業務情報の社内での可視化することにより情報の集積と行動の効率化を図ることができます。

また、分析したデータを元に業務の改善箇所を絞り、そこに重点をおいて施策を実行することができるため、業務をより効率的に行うことが可能です。 集めたデータを元に業務の更なる効率化や各部署ごとに連動する事により可視化のメリットを最大限生かす事ができます。

まとめ

業務の可視化によって無駄な業務を削減し、また業務上のプロセスを簡素化する事によってより効率的に業務を行う事ができます。ただ単に可視化するのではなく、ルールに基づきどうすればいいのか提案できる、実現できる環境を作る。可視化した情報から分析を行い有効に活用するなど可視化だけでなくそこから先の事を考える事も重要になっていきます。

業務の可視化のポイント

業務の可視化のポイント

可視化の必要性

働き方改革を行う際、各社員の動向、業務内容を把握する必要があります。 業務状況を把握することによって、無駄な業務や各社員の業務効率などを洗い出し、 課題を具体化させ効果的な施策を検討することが重要となります。

可視化による無駄なリソースの削減

可視化は現状の把握を行う上で必須でもあります。

業務を可視化することによって、今まで行っていた仕事の中での優先順位や無駄な業務を洗い出すことが出来ます。
そこから出てきた業務内容を見直すことによって、業務内容を改善し、より効率的に業務を行う事ができます。
また他の業務を第三者が見ることによって、業務の改善を提案するなどの環境が出来、一人一人が進んで業務の改善に取り組む環境を作ることが出来ます。

現状の把握と改善

働き方を改善する中で、高いパフォーマンスを出す社員と、そうでない社員との差が出てきますが、可視化することによって高いパフォーマンスを出す社員と、そうでない社員の働き方を比較し、それぞれの対策や傾向を元に業務を改善する事が出来ます。極力パフォーマンス差をなくすことによって質の高い仕事を実現することが出来ます。

可視化のポイント

業務の可視化で大切なことは、業務に関わる従業員や責任者など立場関わらず可視化していくことです。業務改善にあたって専任担当者が就く場合が多いかと思います。しかし担当者が独自の業務プロセスを定義するのは非常に危険です。少しでも業務可視化が正確にされていないと、業務改善が正しく進みません。
そこで可視化する業務プロセスに関わる従業員や責任者を巻き込みながら定義していきます。そうすることで正確な業務可視化ができる他業務改善の過程を全ての社員が知ることが出来、業務改善の効果を高める事ができます。

可視化する3つの要素

業務の可視化において何を可視化するかわからない場合、ルール、遂行状況、実績の3つを可視化する事から始めるのがいいかもしれません。その過程において、業務の可視化において、業務プロセスを定義する、定義した業務プロセスのとおりに業務を行う、結果を分析するという3つのサイクルを繰り返す事により、業務の効率化が実現できます。

ルール

業務のルールを明らかにし、業務に携わる人全員でそのルール(手順)を共有すること。業務の標準化を行う事で、成果物は何か、誰が何をどんな順番で行うのかを明らかにし、共有を行う事で業務の円滑化につながります。 そして、そのような業務ルールを、業務マニュアル、業務プロセス図という見える形に仕上げる事により、業務手順の可視化が実現されます。

進行状況

業務マニュアルに基づいて、実際にどのように業務が進められているのか、その状況を把握できるようにする状態にし遅れにすぐ気付くことができる、ヌケ・モレにすぐ気付くことができる、スタッフの負荷状況がすぐにわかる、というようなことができる状態にあることです。

進行状況の可視化を実現するには、まず「業務ルールの可視化」が実現されていなければなりません。また、業務遂行状況を把握するためには、何らかの方法で管理する仕組みを用意する必要があります。

業務遂行状況を可視化し、遅れの検知、ヌケ・モレの防止を実現することで、業務の品質・効率を向上させることができます。その結果、顧客満足度の向上や、コストダウンを実現できる可能性が広がります。

実績の可視化

終了した業務について、その実績を把握できるようにすること。きちんと振り返ることができる状態にし、業務の改善点を見つけ出す事でさらなる効率化を実現できます。 実績の可視化により、その業務のKPIを計測したり、ボトルネックを発見することができます。
自動的に業務の件数や、業務の処理時間などを記録し、グラフ化するなどの機能を持つシステムを活用すると、より楽により確実に可視化することができます。

可視化のためのツール

CRMなどの顧客管理ツール

このような業務状況の把握を自動的かつ円滑化する際にCRMなどのツールは最適です。
顧客情報の共有、顧客とのやり取りを社内で見える状態にすることによって、個々の課題の設定や、状況の共有を行い、より円滑な営業を行うことができます。

各個人の業務状況の把握し、状況に応じて対応、また解析することにより効率化や生産性の向上に繋がります。 社員同士の状況の把握をシステムにより可視化しより良い職場環境を作り上げることが出来ます。

分析したデータを元に業務の改善箇所を絞り、そこに重点をおいて施策を実行することができるため、業務をより効率的に行うことが可能です。 集めたデータを元に業務の更なる効率化や各部署ごとに連動する事により可視化のメリットを最大限生かす事ができます。

まとめ

業務の可視化によって無駄な業務を削減し、また業務上のプロセスを簡素化する事によってより効率的に業務を行う事ができます。ただ単に可視化するのではなく、ルールに基づきどうすればいいのか提案できる、実現できる環境を作る。可視化した情報から分析を行い有効に活用するなど可視化だけでなくそこから先の事を考える事も重要になっていきます。

固定残業代(みなし残業)の仕組み

固定残業代(みなし残業)の仕組み

固定残業代とは

固定残業代とは、毎月の残業時間にかかわらず、定額の残業代を支払う制度です

例えば、法定労働時間を超えた時間外労働が10時間あった場合、会社は10時間分の残業代を支払わなければなりませんが、固定残業代制度の場合、10時間の時間外労働がなかったとしても、毎月支払う賃金に10時間分の残業代を含めて支払います。

企業によって、みなし残業代、固定残業手当、みなし残業手当など様々な名称がつけられています。

固定残業代はあくまで見込み額を支給するものですので、実際の残業時間に応じて計算した残業代が固定残業代の額を超えた場合は、企業はその超過額を支払う必要があります。

しかし、固定残業代が認められるには厳しい条件があり、以下の項目を満たしていなければなりません。

周知の義務

まず、固定残業代で給与換算していることを会社は従業員に知らせる必要があります。これは、口頭で説明するだけではなく、就業規則などの書面できちんと周知させる必要があります。

今までの基本給は変えず、その一部を固定残業代にする企業がほとんどです。例えば、今までの基本給が25万円だったとします。それを基本給20万円にして、5万円を固定残業代にするので、実質貰える金額は変わらない。という説明を従業員に行い了承させる必要があります。

固定残業代と残業時間を明確に記載する必要

具体的に固定残業代の金額と残業時間を明記する必要があります。例えば「月給22万円(40時間分の固定残業代6万円を含む)」というような形です。

みなし時間と実労働時間の関係性

みなし時間が実労働時間より多い場合

あらかじめみなし時間として定められた時間に満たなかった場合、固定残業代として定められた金額は全額支払う必要性があります。ですので、残業時間が少ない月があったからと言って、固定残業代を減らすことはできません。

みなし時間が実労働時間より少ない場合

みなし時間を実際の残業時間が超えた場合、追加で残業代を支払う必要性があります。つまり、固定残業代を払っているからと言って、いくらでも残業していいことはなく、みなし残業時間を超えたのであれば、別途残業代を支払う義務が生じます。

固定残業時間の上限

あらかじめ決めておく固定残業時間には、特別に上限が設けられているわけではありません。つまり、固定残業時間に対し固定残業代が最低賃金を上回っていればその月の残業時間については問題ありません。

しかし、1年を通してみると36協定の関係で上限は45時間までに設定されていないと、労働基準法違反の疑いもあります。

働き方改革 参考記事

固定残業代のメリット

時間外労働の抑制につながる

固定残業代制度は、長時間残業の抑制につながることもあります。

「30時間分の固定残業代」がある場合、10時間の残業でも30時間の残業でも、手当額は同じです。そうであれば「無駄に残業時間を長引かせず、テキパキ仕事をして早く帰ろう」と思う従業員も少なくないはずです。結果、従業員の仕事の能率が上がり、時間外労働の減少、労働生産性の向上にもつながっていくと考えられます。

人件費の把握がしやすくなる

仮の残業時間を想定して浮動的な計算をするよりも、固定残業代をあらかじめ給与に組み込んで考えた方が、人件費の計算がしやすくなります。

労働者の収入に安定が見込める

固定残業代が正常に機能していれば、残業が少ない月でも安定した収入が見込めるし、残業が多く固定残業代制で設定された時間を超えた月は、上乗せで残業代をもらうことができるという大きなメリットがあります。

固定残業代が違法になるケース

固定残業代制は労働者と会社側どちらにもメリットの有る制度です。しかし、固定残業代制を悪用する企業が増え、固定残業代という言葉自体悪いイメージになってしまいました。

定残業代の金額・時間の記載が不明確

固定残業代制度を運用する場合には、「通常の賃金と固定残業代」「通常の労働時間と固定残業時間」を明確に区分し、労働契約書などに記載する必要があります。

例えば「基本給16万円※固定残業代5万円を含む」を「基本給22万(一部、固定残業代を含む)」など、固定残業代を基本給に含めて表記を行った求人は無効になります。

また、就業規則や労働契約書の表記が、「年俸には固定残業代を含む」「業務手当は固定残業代の性質がある」といった曖昧な文言である場合、固定残業代の割増賃金としての性質が認められない可能性があります。

超過分の残業代を支払わない

固定残業代を支払っていても、対応残業時間を超えて残業をさせた場合は、超えた分の残業手当の支払いを行う必要があります。

40時間分の固定残業代が設定されている会社で、45時間の時間外労働をしたら、5時間分は別途時間外手当を支払わなければなりません。この5時間分を支払わないと、残業代未払いの扱いとなってしまいます。

「固定残業代制度だから、いくら働かせても追加の残業代を支払う必要はない」というのは完全に違法です。

労働時間管理がされていない

固定残業代制度を導入している会社でも、従業員の労働時間管理は必要です。固定残業時間を超過した残業については別途手当を支払う必要がありますし、労働者の安全衛生の観点からも労働時間管理は必ずする必要があります。

平成29年7月、固定残業代運用下でも労働時間の適切な把握が必要である通達がなされてます。

固定残業代を設定した結果、最低賃金を下回った

現在の給与総額を変えずその中に固定残業代を設定する場合は、給与単価が低下します。その結果、最低賃金を下回ってしまうことがあります。最低賃金額は都道府県によって異なるため、事業所が複数ある会社の場合は県ごとの最低賃金チェックをする必要があります。

周知義務を果たしていない

固定残業代制度を導入した場合、個別の雇用契約書や就業規則に内容を明示する必要があります。

就業規則により固定残業代制度を明示する場合、就業規則自体が変更され所轄労働基準監督署への届出がなされていても、従業員への周知が行われていなければ、その就業規則は効力が認められません。

働き方改革 参考記事

まとめ

固定残業代を採用・運用する場合は、通常の賃金部分と固定残業代部分を明確に分ける必要があり、また固定残業代を導入している場合でも、固定残業時間を超えた残業に対しては、別途割増賃金を支払わなければなりません。

固定残業代は、適正な運用を行わないと効力が否定され、残業代の未払い分の請求など大きな損害を受けることがあります。

36協定とは

36協定とは

時間外労働をしても違法にならないための協定

36協定とは、1日8時間・週40時間の「法定労働時間」を超えた労働(残業)をするために、会社と従業員との間で締結される協定です。従業員一人一人と協定を結ぶのではなく、労働組合や労働者の代表と会社の間で締結します。

多くの会社では当たり前のように残業がありますが、36協定が締結されていなければ残業することはできません。

36協定が締結されているかどうかは、就業規則や雇用契約書を見れば確認できます。それらに36協定が盛り込まれていなければ、従業員に残業の命令を出すことが出来ません。

36協定のルール

36協定で定められている、時間外労働には限度時間が定められています。

これは、「上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定することが適当である。」として、厚生労働省が労働基準法を基に上限を決めた時間であり、原則として月45時間かつ年360時間とされています。

特別条項付き36協定

特別条件付36協定とは、臨時的な場合、36協定の限度時間を更に延長して、残業させることができるとする協定です。特別条項付き36協定を取り入れるには、以下の内容を満たしている必要があります。

  • 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
  • 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情をできるだけ具体的に定めること。
  • 特別の事情は、「一時的・突発的」「全体として1年の半分を超えないことが見込まれること」
  • 一定時間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続を、協議、通告、その他具体的に定めること。
  • 限度時間を超える回数を定める。(年何回など)
  • 限度時間を超える一定の時間を定める。
  • 限度時間を超える一定の時間は、なるべく短くするように努める。
  • 限度時間を超える時間の割増賃金率を決める。
  • 増賃金率は、法定割増賃金率を超える率とするよう努めること。

特別条件付き36協定も、労働者の代表と使用者で話し合って、決めなくてはなりません。しかし、協定の手続を履践すれば会社の都合で上限時間を超えて労働させることのできるようになっています。

しかし特別条項を抜け穴として長時間残業が常態化している事に対して、当然問題視もされており、ここに月100時間を超えるような残業時間を記載している企業には、労基署による監査が入りやすくなります。

また働き方改革法案による法改正により、特別条項を結んだ際の上限は月100時間未満、年720時間未満、月45時間を上回る回数は年6回まで、連続する2カ月から6カ月平均で月80時間以内となり、適用条件も厳格化されます。

36協定の有効期限

36協定の有効期限は最長で1年となっております。36協定は自動更新条項を付けることはできませんので、毎年、新しい36協定を労働基準監督署に提出する必要があります。

36協定を提出しなかったり、更新期限が切れたまま従業員に残業をさせてしまうと、従業員に時間外労働をさせるのは罰則の対象になり、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金になります。

働き方改革 参考記事

36協定の上限時間がない業種

一部業種では独自の規定が設けられており、36協定が適用されないことがあります。

土木、建築の現場作業、大規模な機械・設備の工事などを行う職種

建設関連業は、36協定による残業時間の上限が適用されません。そのため、週15時間・月45時間を超えて残業しても、違法ではありません。

ただし、もし長時間労働が原因となって精神疾患などが発生した場合、労災認定されます。

運輸関連業

トラック、タクシー、バスのドライバーの場合は、独自の規定が存在します。

これらのドライバーの1日の労働時間は、運転、整備、荷扱いなどの作業時間と、荷待ち・客待ちなどの手持ち時間を合わせた労働時間が13時間以内で、休憩時間を継続して8時間以上取らなければならない、という規定があります。

季節などによって業務量が大きく変化するような業種

郵政事業の年末年始における業務などの一部業種は36協定における上限時間がありません。

ただし1年間における残業時間の上限は設定されています。

36協定違反事例

36協定で決めた時間を超えて働かせてしまうと、労働基準法に違反します。場合によっては、刑事事件として立件され書類送検される可能性もあります。

特別条項付き36協定を不当に結ぶ

特別条項付き36協定を結べば、ある程度まで労働時間を延ばすことが出来ます。しかし、特別条項付き36協定は、労使で決めなくてはいけません。

実際には労使間で協議していないのに、会社側が一方的に協定を作成して届け出てしまうというケースも存在します

2012年には居酒屋チェーンのワタミが労働基準法で定められた労使間の手続きを踏まずに従業員に長時間労働を行わせ過労死させる事件が起きております。
また労働組合のない中小企業の場合会社が協定届をねつ造し本人に無断で代表にして署名押印というケースも多くあり、大きな問題となりました。

特別な事情がないのに、上限を超えて残業している

特別条項付き36協定は、あくまで臨時的・一時的・突発的な特別の事情が発生した場合にのみ、36協定の上限時間を延長させることができるという協定です。

特別な事情がなく、日常的に月45時間といった上限を超えた残業が発生している場合、特別条項付き36協定があっても違法です。

サービス残業をさせる

36協定の上限を超えて働かせると違法となるならば、残業時間をカウントせず残業をしなかったことにしようとする事をサービス残業といいます。「45時間以上残業したら自己責任だから、それ以上はタイムカードを押せない」というのが典型例です。

最近はそこまであからさまな会社は減ってきたかもしれませんが、現在もサービス残業を強いられたという話はチラホラと聞きます。しかし、そもそもサービス残業は残業代の支払いを不当に免れる行為として違法です。

別の労働形態を結ぶ

他にも特殊な労働形態を取り入れたように装って残業を誤魔化すというケースもあるかもしれません。例えば、労働時間に制約のない労働形態なので残業も関係ないといったケースが考えられます。

残業によって著しい不利益を被った

労働時間の条件が満たされていても、あなたが著しい不利益を被ってしまうような残業は、違法となる可能性が高いです。

  • 体調不良(持病などを含む)
  • 家族の危篤
  • 妊娠している
  • 家族に対する育児、介護が必要

このような場合、自分や家族の身体・生命に関わるため、残業の強制は認められません。

36協定違反の罰則

36協定で決めた時間を超えて働かせてしまうと、労働基準法違反として、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます

働き方改革 参考記事

まとめ

特別条項を利用するにあたっては、決して無制限に36協定の上限時間を延長できるわけではなく、年に6回までであるとか、過労死ラインを超えないようにしなければならないという点に気を付けなければなりません。

そもそも、1日の労働時間8時間を超えて残業をするということ自体が、労働基準法上は稀であるという扱いのため、特別条項は、イレギュラーの中でさらにイレギュラーな制度ということになりますので、可能であれば特別条項は使わないという考え方が本来あるべき姿と言えます。

有休義務化で何が変わる?意外と知らない有給休暇のルール

有休義務化で何が変わる?
意外と知らない有給休暇のルール

有休義務化

有給取得義務化

働き方改革関連法の成立により、2019年4月から年次有給休暇の5日以上の取得が義務化されることになりました。中小企業も例外ではなく、またパート・アルバイト、非正規雇用にも適用されます。

高プロにばかり注目が集まっていましたが、有給義務化の方が企業や労働者にとっては重要度が極めて高い法律ではないでしょうか。

有給取得義務化が行われる背景

もともと労働基準法では、一定の要件を満たす労働者に対して毎年一定日数の年次有給休暇を与えることが定められています。しかし、職場への配慮やためらい、忙しい、取らせてもらえないからといった理由から取得する人が少ないという現状がありました。

こうした状況を改善するために定められたのが、今回の有給休暇の取得義務化です。有給休暇の取得を会社側から働きかけることで、労働者が有給休暇を取得しやすいようになるのがねらいです。

有休取得の記録義務化

労働者ごとに有給の付与日、取得日、基準日の記録を作成し、3年間保存しなければなりません。

取得させなかった場合の罰則

最低年5日の年休を取得させなかった場合、労働者一人当たりにつき最大30万円の罰金に処せられます。人単位でカウントするため、事業所の平均取得日数が5日を超えても、1名でも5日未満の労働者がいれば法律違反となります。

企業が時季を指定しなかった場合はもちろん、時季を指定したにもかかわらず労働者が出勤した場合も処罰される可能性もあります。

有休取得の目的を聞くのはNG

有給休暇を取得する際、申請用紙に利用目的を記入するという会社があります。また、忙しい部署では、上司が有休の目的を聞いてくる場合もあります。

しかし、有給休暇を何に使うかについては誰もが干渉するべきことではありませんし、利用目的を聞いたうえでその取得を承認するようなやり方は法律違反です。これについては最高裁判所の判例でも明確に示されています。

悪質な不利益変更に要注意

休日を有休扱いに?

しかし悪質なブラック企業などでは罰則を逃れるために就業規則を変更して有給義務化をクリアしようとしている場所も多く出てきており、今後トラブルの増加が懸念されます。

これまでは「休日」としていた日や、夏季休暇や年末・年始休暇など、これまでも労働契約上「休暇」としていた日を就業規則を変更して取りやめその日を有休として指定しまう方法です。

これを就業規則を変更して、休日のうち5日を労働日に変え、その日を有休として指定することにより理屈上はクリアになります。
しかし、労働者の休みは増えず、休める権利である有休5日分がなくなります。

これは労働契約の不利益変更になりますので、たとえ就業規則の変更によるものだとしても、労働契約法によって、こうした変更をする必要性や合理性が求められます。

ブラック企業

就業規則は合理的な理由がないと変えられない

 

そもそも、この法律で5日の有休を取らせる事を義務付けたのは、有給休暇の取得を一部義務化することで労働者の休みを増やすためです。
にもかかわらず、従来からの休日や休暇とすり替えてしまうのは法の潜脱行為で、変更に合理的な理由がなく、無効となる可能性が高いです。

また、このような変更をしようとしている企業は、もしこの変更が無効となれば、有休を取得させていなかったことになり、刑事罰を受ける可能性があります。刑事罰は労働者1名につき1罪が成立するため、ケースによってはかなり重めの罰になります。

参考記事

形だけ休みにされる危険性

今でもたまに聞く話ではありますが、有休を取ったことにして実際は仕事をしていたという事態が横行するということが懸念されています。しかし有休取得の記録義務化がされてます為立ち入り調査で記録と照らし合わせて不自然だった場合発覚する可能性が高いです。

仕事が忙しくて休めそうにない

人手不足の業界や中小企業では有休消化に関し否定的な意見が多く、業務の混乱や停滞が懸念されます。かと言って形だけ休んで実際は仕事をしていた場合も罰則の対象になります。

スケジュールを立てて有休を取得

労働基準法で定められている「年次有給休暇の計画的付与制度」を活用するのもいいかもしれません。例えば、企業が決定した日に企業や事業所全体で一斉休みにする事や、班やグループを形成し、グループごとに休みを交代制で休む等予め有給を使う日を5日指定する事により、業務を円滑に進めつつ休めるやり方です。有給休暇の取得日があらかじめ割り振られるため、従業員も気兼ねなく休むことが出来ます。

休んでも弊害が出ない体制

有給休暇の取得をためらう人の多くは「他の従業員に迷惑がかかるから」「後で忙しくなるから」と回答しています。 このようなことを防ぐには、誰かが休んだとしても問題なく仕事が回るように、「休む人がいる前提」の体制づくりが重要になります。

普段から各自の仕事内容・進捗状況の共有を行い、業務のマニュアル化などをしておき、主となる担当者が休んだとしてもある程度は業務の対応が可能にする。一つのタスクに必ず2人以上の担当者を割り振る。などしておけば、お互いがカバーでき休暇も取りやすい状況が作れるでしょう。

システム化によりスムーズな体制づくり

全従業員でスケジュールや業務の手順、状況を共有することによって、休んでも弊害が出ない体制を実現することが出来ます。業務書類も一括管理することにより管理職の有休義務化対応も実現することが出来ます。

参考

まとめ

有給義務化は、4月から施行となります。 また、法改正がなされたからといった理由だけでなく、従業員がより働きやすい環境を作るといった点でも、有給休暇の取得率を上げていくことはとても重要な課題となります。

またそれに合わせ、誰かが休んでも弊害が出ない職場環境の構築を急ぐ必要があります。

同一労働同一賃金のメリット

同一労働同一賃金のメリット

好循環を生みなす流れを作れる

個人の経済に好循環が生まれることが期待できる

非正規労働者であることで、希望と異なる報酬しか受け取ることができず、自分がイメージするライフスタイルを送れないことがあります。
今回の法制定で、一人ひとりが適正な報酬を受けることができれば、個人の経済状況が上向き、生活に余裕ができることも考えられます。経済にも好影響を与えるとして期待されています。

自分に合った働き方・生き方が選べる

雇用形態や勤続年数によってではなく、スキルや経験、成果によって報酬が決まるようになれば、より柔軟なワークスタイルの選択肢が広がります。「正規労働者だから・非正規労働者だから」という議論ではなく、多くの人がライフステージにあわせて仕事を選択できるようになります。
キャリアの途中でも、育児・介護などや通学などでプライベートの期間を設ける、派遣社員として専門スキルを積み独立するなど、個人の希望する働き方ができるでしょう。

非正規社員のパフォーマンスが向上する

仕事に対するモチベーションは人それぞれですが、やはり賃金はモチベーション維持のために最も重要な要素のひとつです。賃金が上がれば非正規社員のモチベーションが上がり、彼らのパフォーマンスの向上が期待できます。ひいては、企業の業績アップにつながるかもしれません。

非正規雇用ではなくなる可能性も

格差が是正されることによりパフォーマンスの高い非正規社員が正社員として雇用されるケースもあります。また正規、非正規という概念を無くし全社員正規雇用扱いにする企業も存在します。

優秀な人材の定着率が向上する

さまざまな働き方が可能になり、適正に報酬を受けることができれば、社員の満足度も上がり、よりよい環境を求めて退職する人も少なくなり、優秀な人材が豊富に定着することにもつながります。

どのような形で法制化するのか

正規雇用者と非正規雇用者間の処遇格差について、「同一労働同一賃金」という言葉そのものを制度化するというわけではありません。 同一労働同一賃金の多くが、「合理的理由の無い処遇差別の禁止」という形で条文化されています。賃金だけに限定してしまうと、労働の対価としての給与以外の手当や経費などについての処遇格差は制度外の問題とされてしまうのです。
賃金以外の給付についても処遇格差が生じないようにするために広く処遇を意味する形で「合理的理由の無い処遇差別の禁止」という文言が使用されているのです。

賃金差の合理的理由を社員に説明する責任が生まれる

同一労働同一賃金の導入に伴って法改正が進むと、なぜ賃金に差があるのかを立証する責任が企業に生まれます。合理的理由が説明できない場合には企業が賠償責任を負う可能性もあります。労働者側も労働条件等にしっかり目を通す必要があります。

同一労働同一賃金のポイント

同一労働同一賃金の事例

同一労働同一賃金では賞与も対象に

働き方改革の大きな柱の1本である「正規・非正規間の格差是正」を目指した「同一労働同一賃金」制度があります。さまざまなメディアで取り上げられているように、「同一の労働に従事する労働者には同一の給与を支給する」という考え方のもと、EU諸国に普及している考え方をベースに、現政権で法制定に向けて議論が進んでいます。
同一労働同一賃金ガイドライン案では、企業・働く人双方に影響が少なくない「給与」に関しての項目もあり、基本給以外の「各種手当」、福利厚生や賞与などの考え方も含まれています。
また、通勤手当などは、制度設定の目的が「通勤にかかる費用負担」なので、雇用形態で差をつける合理的な理由はありません。そのため、同一労働同一賃金では、非正規雇用であっても正社員と同じように通勤手当を支払う必要があります。

イケアジャパンの事例

大手家具メーカーであるイケアジャパンは、労働者を雇用形態関係なく『コワーカー』と呼び、同じ業務である場合は同じ賃金が適応される制度を導入しています。また同一の福利厚生を適用、労働時間の選択が可能となっております。

雇用区分の廃止によるメリット

雇用区分を廃止し、全社員を同一の身分にしたことにより、 給与水準が大幅にアップしたことにより、税法上の扶養控除がなくなってもそれをカバーできるだけの収入が見込まれることから、より長時間働きたい、新しいことにチャレンジしたいというコワーカーが増加し、 また、地域ごとに異なっていた賃金を全国一律にしたことで、地方への転勤希望がでるなど、働く場所の選択肢の拡大にもつながりました。
有期契約から無期契約に切り替わったことにより、コワーカーの間に安心感や安堵感が広がり、長期でのキャリアやライフプランを考えることができるようになり離職率も低下傾向になりました。

日本郵政の場合

日本郵政グループは正社員の一部の住居手当を廃止することを検討。  そのほかに正社員の遠隔地手当や寒冷地手当も削減。一方、繁忙期の年末年始手当のうち、年始勤務手当は非正規社員にも支給し、年末手当は廃止としました。 人件費の高騰を避けるため正社員の待遇を非正規社員に近づける事で同一労働同一賃金を実現しました。

非正規社員の賃金をあげた場合、総人件費が高くなります。会社の財源も限られているので、このように賃金自体が相対的に下がる可能性もあります。

同一労働同一賃金は、本来の目的通りに実現すれば非正規社員の賃金向上と格差の是正につながるかもしれません。
一方で、実現に至るまでには多くの課題があるため今後の動向にも注目する必要があります。

同一労働同一賃金の事例

同一労働同一賃金のポイント

同一労働同一賃金制度とは

同一労働同一賃金制度は、同一の労働に従事する労働者には同一の給与を支給するというもので、EU諸国に普及している考え方です。 非正規雇用労働者は、正規雇用労働者との間に不合理な待遇差があるなかで雇用契約を交わしています。
正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消し、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられるようにするため、同一労働同一賃金の実現が求められています。 「正規だから」「非正規だから」といった基準ではなく、「この業務をこなしたから」「この会社で働く人材だから」といった基準で、均等・均衡な待遇を求められます。

正社員と非正規社員の格差

短時間勤務や週に数日だけ仕事をするなどライフスタイルに合わせた働き方をするため、自分から希望して非正規社員になる人もいますが、それでも正社員と仕事は同じなのに給料が安いといった不満の声は少なくありません。 そのため、不本意ながら非正規社員を続けている労働者の場合は、賃金格差に関する不満は一層、深刻なものとなり、モチベーションの低下につながります。非世紀雇用者の数は年々増加しており、格差の是正が急務となっております。

同一労働同一賃金ガイドライン案

同一労働同一賃金を実現するために、ガイドライン案では、各企業において以下のような取り組みが必要になるとまとめています。

正規社員、非正規社員それぞれの賃金決定の基準やルールを明確にし、「職務と能力など」と「待遇」との関係を含む処遇体系を労使で話し合い、非正規社員を含めて労使間で共有する

それぞれの企業が、自社の職務内容や社員一人ひとりの能力・スキルなどを明確にして、処遇体系全体に関して労使間で確認し、全社員の処遇に関する基準を共有することが求められます。 賃金決定の基準やルールの違いなどがある場合には、公平な理由などを明らかにしておくことが必要です。

賃金以外の、福利厚生や能力開発などの処遇の均等を図り、生産性の向上を目指す

合理的でない待遇の格差は賃金だけではありません。有給や交通費、社内食堂などのファシリティーといった福利厚生、キャリア形成・能力開発などのスキルアップの機会において、格差がある項目は多岐にわたります。福利厚生は、たとえば子育てサポートや資格の取得支援、サークル活動の支援、有給休暇制度や財産形成貯蓄なども含まれます。 能力開発に関しては、非正規の社員にも機会を与えることで、個人のスキルアップ、生産性が向上することで、結果、弾力のある組織にもつながります。

派遣労働者に対する均等・均衡処遇

派遣労働者が、派遣先の労働者と比較して職務内容、職内容や配置の変更範囲、また、その他の事情が同じ場合、派遣元事業者は均等・均衡な待遇を図る必要があります。具体的には、派遣先の労働者と同じ賃金を支給し、福利厚生施設の利用や教育訓練の機会を与える必要があります。 均等・均衡待遇を図る上での待遇差について、社員サイドの納得度の高さが重要なポイントです。雇用形態に関わらず均等の処遇が確保され、誰もが自由にワークスタイルを選ぶことができる就労環境を目指すとしています。

正社員と非正社員の仕事区分を明確にする

同一労働同一賃金は、職務内容が同じであれば同じ賃金を支給しなければなりませんが、違いがある場合には違いに応じた賃金の支給をするという考え方です。そのため、正社員と非正社員の職務内容を明確に区分し、違いを明らかにすることにより、比較が行いやすくなります。
同一労働同一賃金ガイドライン案では、今後、各企業が職務や能力等の内容の明確化と、それに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度を、労使の話し合いにより、可能な限り速やかに構築していくことが、同一労働同一賃金の実現には望ましいとあります。 仕事を明確に区分することで、非正規社員が正規社員との違いを理解できれば納得度が高くなり、待遇格差によるトラブルの防止にもつながります。

業績や成果に応じて支給する

日本でも、成果主義を導入している企業はありますが、基本給のすべてを業績や成果で決めるのではなく、さまざまな要素を組み合わせて決定する企業がほとんどです。 複数の基準を組み合わせて給与を決定する場合、それぞれの評価項目ごとに、正規雇用労働者と非正規雇用労働者が同一かどうかを判断する必要があります。

これまで、パートタイム労働者と派遣労働者においては、賃金、福利厚生、教育訓練などの待遇内容に関して説明責任が課されていました。改正後は、有期雇用労働者にも本人の待遇内容および待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務が創設されます。  また、 非正規労働者が正社員との待遇差に不満がある場合、改正によって、待遇差の内容や理由について説明を受けられるようになり、パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、事業主に正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明を求めた場合に、説明義務が創設されました。この説明を求めたことによる不利益になることは禁止されます。

システムによる評価システムの可視化

今後、格差縮小を目指し施策を行う必要があります。システムを用いて可視化することにより公平な評価を行うこと、また可視化することによって正規社員、非正規社員共に納得させることができます。

残業時間の上限規制のポイント

残業時間の上限規制のポイント

労働基準法改正

労働基準法が改正され、4月より時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。ただし、中小企業については、2020年からの適用になります。また、建設の事業、自動車運転業務、医師については、当分の間(5年間)適用を猶予されます。新技術・新商品等の研究開発業務については、適用除外となっています。

時間外労働できる上限時間が、1ヵ月45時間、1年360時間になります。今までも1ヵ月45時間以内、1年360時間以内と、労基署等から指導を受けた事業所も多いと思いますが、今までは「限度基準告示」で定められたものでした。
それが今回、法改正によって、「告示」から「罰則付きの法律」に格上げされました。ですので、1ヵ月45時間、1年360時間を超える協定を結ぶことは、法違反ということになりました。 また、今までは年6回については、特別条項を結ぶことで1ヵ月及び1年間について上限のない協定を結ぶことができました。実質、青天井でした。しかし、今回の法改正によって、たとえ特別条項を結んだとしても、1ヵ月の上限は100時間未満、1年の上限は720時間となりました。
また特別条項による1ヵ月100時間未満の時間外・休日労働ですが、たとえ単月で100時間未満であったとしても、2~6ヵ月のそれぞれの平均がすべて80時間以下でなければなりません。

36協定

36協定は、正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」といい、労働基準法第36条に該当することから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。業務の繁忙期や緊急対応などによって、法定労働時間を超えた労働や法定休日に労働する場合も考えられるため、あらかじめ企業と労働者(労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者)が書面で36協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届出を行います。これによって、法定労働時間を超える残業が認められるようになるため、36協定の届出をせずに時間外労働をさせることは労働基準法違反となります。

36協定経過措置

改正法の施行に当たっては、 経過措置が設けられています。この経過措置によって、施行前と後に跨がる期間の36協定を締結していた場合には、その初日から1年間に限っては、その協定は有効となります。

残業代、有給消化のポイント

割増賃金

時間外労働関連で、中小企業がおさえておくべきポイントとして挙げられるのが、「月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)」になります。大企業ではすでに2010年より適用されていますが、2023年4月1日からはこれまで猶予されていた中小企業も例外なく対象とされます。 時間外労働の上限規制と共に、月60時間超の割増賃金率増への対応を考える上では、企業において「そもそも残業が生じない体制」の整備を検討する必要があります。

一定日数の年次有給休暇の確実な取得

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないことになります。

取引先との環境の改善

自動車運転従事者の時間外労働の原因として「人手不足」をあげるものが多く、また12月に深夜業が多く、また、ストレス発生原因として、バスは長時間労働、タクシーは売上・業績等、トラックは精神的な緊張ストレスが最多となっています。トラックでは、企業における取引慣行として荷主から要請される事項として、「荷主の都合による入出庫の手待ち時間」「契約外の作業」を挙げるものが多かったとされています。 長時間労働の是正には取引環境の改善も非常に重要です。労働時間等設定改善法では、事業主の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わないよう配慮するよう努めることと規定されました。
様々な取引上の制約が存在する場合があることから、長時間労働の是正は事業者側のみの努力での解決が難しく、取引関係の在り方も含めて改善や長時間労働の抑制に向けた取組の実施が必要となります。業種・業態の特性に応じて発注条件等の適正化を促進する等、取引関係者の発注の仕方等に問題がないのか、といった見直しも検討する必要があります。

残業時間の上限規制のデメリット

残業時間の上限規制のデメリット

業種によっては導入が難しい

長時間労働が常態化している医師や建設、運輸は5年間、適用が猶予されており、運輸は猶予期間後も年960時間の規制となります。医師の場合は医療サービスの質の維持や応召義務、医師偏在との兼ね合いなど特殊な事情を多く抱えており、具体的な規制の枠組みは未定となっています。
特に医療関係は医療現場に混乱が生じる可能性があるものの医師の長時間労働は深刻さを増しており、取り組みが難しくなっております。

残業規制のデメリット

運用に問題があると成功しない

  • 持ち帰り残業が発生する可能性
  • サービス残業の横行
  • 急な対応に対処できない
  • 他社との連携に支障が出る
  • 業績が落ちる

企業、労働者共に残業前提で業務が成り立っている状態は企業として相当不健全な状態とも言えます。 また労働者から見てサービス残業など残業代を出さない違法行為が横行するなどのリスクも懸念されています。

今後企業が求められる対応

業務の全体的な見直しを

企業の内部でするべきこととしては、社員への教育と、業務のスリム化、労働時間の把握、人員の見直しなど、生産性の改善策の実施が必要となります。 今後法律で制限されることを考慮し早急に対策を行う必要があります。 残業を減らす方法として、業務フローの見直しとシステム化、正社員や給与を増やす、上司が率先して帰るなどあります。業務の状況に問題がある場合はシステム化が有効的です。