建設業の働き方改革事例

建設業の働き方改革事例

建設業の現状と課題

建設業は復興・五輪需要で働き手の確保が困難な中、工期が短い工事もあり、労働時間短縮、休日取得日数の増加、人材確保が主な課題です。

働き方改革に取り組む建設企業の事例

さまざまな懸念があるなかでも、建設業界は長時間労働の是正を進め、働き方改革を推進していかなければなりません。なぜなら、5年間の猶予があっても建設業働き方改革加速化プログラムは、2024年に必ず施行されるからであり、将来的な人材確保のために構造的な改革を断行しなければならないからです。
そんな中建設業働き方改革加速化プログラムの施行を見据え、すでに働き方改革に着手している建設企業もあります。

鹿島建設株式会社中部支店

長時間労働が当たり前とされてきた職場環境を改善すべく、労使で働き方改革に取り組んでいます。 具体的には事業所4週6閉所の推進、労働効率向上による残業時間の削減、働き方計画表による業務と労働時間の可視化に着手。年次有給休暇の計画的付与、育児・介護休業制度の整備とともに取り組みを開始しました。
特に10%削減という、具体的な数値目標を設定した残業時間の削減計画では、毎日従業員のログイン画面に現時点での残業時間、昨年平均の残業時間を表示させ、自主的な業務改善への取り組みを促しました。働き方計画表も併用した業務内容の改善を続けた結果、全社員の平均で10%の産業削減という目標も達成しました。

矢作建設工業株式会社

ワークライフバランスの確立を目指し、年次有給休暇の取得促進、福利厚生サービスに力を入れた働き方改革に取り組んでいます。 新入社員でも年間10日の有給休暇が付与される同社では、年間5日以上の有給取得を義務化。リフレッシュ休暇やゴールデンウィークなどの特別休暇とあわせ、積極的な休暇取得を奨励、アウトソーシングされる福利厚生サービスとともにワークライフバランスの確立に取り組んでいます。
ノー残業デーや勤務間インターバル制度で労働時間削減にも取り組んでおり、打刻時間と申告時間の剥離が生じている社員には、都度ヒアリングして修正しています。適切な労務管理の実現するには、正確な勤務実態を把握する必要があるため、今後の働き方改革に向けての課題となっているようです。

株式会社楓工務店

伝達効率の改善例としてこの企業では、社内外問わず日に100件もの電話があり、その他にも口頭での連絡や付箋での伝言もあり、伝達ミスや把握漏れを起こさないかが課題となっていました。
そこでChatworkを導入、連絡事項はすべてChatworkのみでやり取りできるようになり、タスク機能で連絡と指示が確実に伝わるようになりました。今すぐ対応が必要でない連絡事項はまとめてタスク化し、電話をかける必要が減ったのです。
さらに社外との連絡も基本的にはChatworkを用いることで、注文や発注確認、現場への指示も、優先順位をつけて連絡できるようになりました。 建材屋とは発注ミスが減り、現場には相談箇所を写真で共有することで電話をせずとも要件を確認できるようになり、効率化に成功しました。

働き方改革をすするためには

現場レベルですすめられる働き方改革については、ITを積極的に取り入れ効率化や省力化を行っていく、スマホのアプリで工程管理を行っている現場も増えてきています。 独自にシステムを開発し、現場の効率化を図ろうとしている企業も多いです。こういった取り組みが評価されることで全体で働き方改革を推進できる可能性があります。

まとめ

建設業界が抱える構造的な課題や、ほかの産業に比べた長い労働時間などの要因により、建設業の長時間労働是正が簡単なものではなく、猶予期間が設けられていても実現が容易ではありません。
構造的な課題の解決に向けた取り組みは始まったばかりであり、現時点でできることに着手し、少しずつでも働き方改革の実現に向けて進めて行くことが重要となります。

残業削減のデメリット

残業削減のデメリット

残業削減のデメリット

働き方改革関連法案では、時間外労働の上限が月間100時間、年間720時間に設定され、月間45時間を超える月は年間6ヵ月まで、かつ複数月間平均80時間を上限としています。つまり、実質的に残業時間の明確な上限が制定され、企業によっては残業時間削減への取り組みが余儀なくされるということになります。
もちろん、労働者にとって過酷な環境を作らず、働きやすくワークライフバランスを整えることは企業の責務ではありますが、現状の仕事量から考えて社員の残業に頼らざるを得ない状況は存在します。
しかし、国会で法案が成立した以上、残業時間の上限規制は待ったなしで施行され、大企業は残り1ヵ月余り、中小企業では残り約1年間の準備期間でこれに対応しなければいけません。 しかし、残業時間削減だけでは働き方関連法案へ適切に対応し、かつ継続的な成長体質を作り上げることは不可能です。


なぜ、残業時間削減だけではダメなのか?

厚生労働省が昨年12月に発表した労働経済動向調査によると、働き方改革で企業が実施した取り組みで最も多かったのが残業時間削減の推進と、長時間労働削減のための労働時間管理の強化でした。実際に働き方改革関連法案の施行を目前に、残業時間削減を声高に叫んでいる企業は多いでしょう。しかしながら、その残業時間削減が掛け声だけで終わっている企業もまた多く存在します。

業務の見直しができていない

残業時間削減に取り組んでも、業務の見直しができていないことが多く、一般的に労働時間が多いとされている企業では、働き方改革関連法案の施行にともない、残業時間を削減する必要があります。しかしながら、残業時間を削減するだけで、仕事量まで削減しているわけではありません。
仕事量を減らすのではなく、現在の業務を見直すことで労働負担を軽減し、残業時間削減に取り組むことが大切なのですが、多くの場合では残業時間削減だけに注力してしまっています。

結局時間外労働を強いられることに

自分の評価がかかっているとなれば部下に残業禁止を徹底する管理職は多いですが、業務量はまったく減っていないため、社員は休日返上で出勤していたり、休憩時間を削ってまで働きます。最悪の場合、管理職自身がそれを強要しているケースもあるでしょう。 結局のところ時間外労働を強いられている状況になり、環境改善へは向かいません。

社員の意識改革

日本では長らく残業至上主義が蔓延していました。今でこそこうしうた風潮は少なくなりましたが、残業が評価される企業はまだまだ多い傾向にあります。
こうした中で残業時間だけを削減しても、仕事量とのバランスが取り除けず、どこかに歪が生じることは明白です。従って、日本企業の多くは残業時間削減よりもまず社員の意識改革に取り組まなければなりません。

まとめ

働き方改革=残業時間削減ではありません。残業時間削減は当面の課題ではありますが、それだけに取り組むことは根本的な解決にならず、逆にリスクを生むことになります。まず労働生産性が向上するための取り組みは何か、同じ時間で多くの仕事量をこなす方法を考え流べきです

働き方改革の現状と傾向

働き方改革の現状と傾向

働き方改革

働き方改革、どこまで取り組む?どのように取り組む?

働き方改革がスタートし、早くも半年以上が経過しましたが、各企業の動向、傾向はどのような形になっているか、またどれほど浸透しているか、今後に向けた動きについて上げてみます。


浸透率は4割ほど?

働き方改革に取り組んでいる企業の割合は、それほど高くなく、調査結果によれば、働き方改革に取り組んでいると回答した企業の割合は、全体の43%でした。さらに、100名以下の企業では27%に留まるなど、企業の規模が小さいほど導入に踏み切れない現状が浮き彫りになっています。

メリットばかりではない働き方改革

長時間労働の見直しにより、部署の雰囲気および自身の仕事に対する姿勢がより効率的になった。周りの残業状況を気にせずに退勤しやすくなったという意見があった。一方、
まるで公務員のように必ず定時上がりをする社員の分まで仕事をしなければいけなくなった。残業時間もさらに増えている、残業が出来なくなり、家での仕事が増えた、 という意見が管理職を中心に出ており、働き方の変化は、メリットばかりではなく、残業時期案がさらに増える、あるいは残業禁止で、仕事持ち帰りといった新たな課題が出てきてしまっている現状があります。

制度や仕組みが現場の実態に合っていない?

営業職で外回りが終わる時刻が定時近くになってしまうため、ノー残業デーや早上がりなどがしにくい、上層部が躍起になって改善を進めようとしているが、業務量が変わらず人不足のため全く改善されない、残業を無くすということだけを強調するだけで、業務分担の見直しや効率化のための仕組み作りなどを実施していないなど、
改革を行なっていたとしても、制度や仕組みが現場の実態に合っていないケースもあり。企業の判断だけではなく、現場がうまく回るような最良の仕組みづくりが必要となります。

働き方改革の課題への解決策

働き方改革関連法施行を受けての対処療法的な対応ではなく、働き方改革全体の趣旨を理解した上での長期的な改革計画を立てることが重要です。先を見据えて、それぞれの企業の事情を反映した上で進めていく必要があります。
そのためには管理職、従業員へのヒアリングを行い、方針をしっかりと定めなければなりません。
働き方改革をどのように受け入れ、推し進めていくかは、これからの数年間、企業にとって大きな課題となり、しっかりとした解決策を見つけていくことが求められます。

例えば、単に残業を禁止するのではなく、残業を行わずに済むよう効率よく業務を行える環境づくりを行う、一部ルーチンワークを自動化し業務内容を削減するなど適切に対処を行うことが求められます。

まとめ

働き方改革」は労働人口の減少、少子高齢化、社会保障費の膨張など、深刻な社会問題を解決するための一手段です。同時に、企業の業績を向上させる手段でもあり、その会社にあった対策を行い、適切に運用を行う必要があります。
もう既に法案として施行しているため、現状を調査しそれぞれ適切な対応を行いましょう。

働き方改革の現状と事例

働き方改革の現状 事例

働き方改革の事例と現状

働き方改革における職場環境の改善はただ単に勤務時間を減らすということではなく、誰もが働きやすく、効率的で生産性の高い職場環境を構築することを指します。事例を幾つか取り上げ、実際に行われた取り組みをご紹介いたします。


働き方改革の効果対策後残業時間変化

マイナビの調査では2018年の残業時間は2014年から5年連続で減少し、調査開始時の2012年から18時間の減少の平均28時間となっておりました。ワークライフバランスの実現は大手企業が率先して行っている他、人材不足が叫ばれる業種に関しても人材確保に向けた健全な労働環境づくりに取り組んでいます。
2019年以降は残業時間規制により大企業をはじめ大幅に減少していることが予想されます。 これまでの長時間労働が当たり前だった職場において社員の働き方を変えるために、企業は長期的な取り組みが求められています。

業務の自動化でルーチンワークを削減

AIを用いた働き方改革の事例

企業規模が大きい上場企業では、人工知能などを用いた自動化などが積極的に行われており、 IBMのワトソンはライトプランであれば無料で利用することが出来、導入のハードルが年々低くなっているのが特徴です。 将来的に些細なタスクはすべて自動化されることが想定されます。

みずほ銀行では人工知能を用いた信頼度スコアの調査などを行なっており、あと1、2年ほどで人工知能はこのような業務で主流となっていると思われます。

スケジューラーでタスク管理を行った事例

スケジューラで社内の様子を可視化し、全員の動向がわかるようにすることで効率化を実現させます。 導入ハードルも比較的低く、業務状況を把握することにより、どのような仕事の振り分けを行うか、業務上のすれ違いがなくなるなどの メリットがあります。
IT系の企業では大半がスケジューラーを導入しており、効率化と従業員の連携の強化を行なっております。

柔軟な働き方に対応、勤務制度の見直し

フレックスタイム制度の事例

1か月以内の期間で総労働時間を規定し、その枠内で始業・終業時間を自由に決定できる仕組みです。 以前から導入している企業が多かったですが、働き方改革に向け導入企業が増えております。 1日のうちで必ず勤務するコアタイムを指定し、それ以外の時間は始業・就業を自由に規定することができます。 就業規則でフレックスタイム制について規定をし、労使協定を締結しなければいけません(届出は不要)。

フレックスタイム制は従業員個々の自主性にゆだねる部分が大きく、メリットとして

  • 勤務時間をずらすことで、通勤ラッシュを避けることができる
  • 個人が効率的に時間配分を行なうことで、残業の軽減につながる
  • 働き方に自由性があるため、優秀な人材の採用や定着の向上につながる
  • 今夏については、節電対策のひとつとして利用できる
デメリットとして、
  • 取引会社や他部門との連携を行なうときに、時間の設定が難しくなるため、現実には導入できる職種が限られやすい
  • 自己管理ができない従業員が多い場合は、フレックスタイム制度は時間に対してルーズさが許されるものと勘違いされやすい

フレックスタイム制を導入する際には導入目的を明確にし、以下のようなポイントを抑えつつ、従業員と管理者が正しく制度を理解・運用することが大切です。

働き方改革実現のためには?

しっかりと定着させる

このような働き方改革の成功事例は社員の働き方改革に対する理解と徹底が必要になっていきます。いくらルール作り、制度をしっかりしても定着せず利用されなければ意味がありません。

制度を支える仕組みを充実させて定着させる

働き方改革における施策を浸透させるために、制度そのものと制度を支える仕組みを活用することによって社内に定着させることが出来ます。またツール、システムの導入によって働き方改革を行う場合はツールの使い方、運用の方針を決め、教育する必要もあります。ツールは導入して終わりではなく運用や利用状況を随時確認することによって効率化と定着を図れます。

目標を設定する

具体的な数値を決め、具体的な目標を課する事によって、明確に何をすればいいのかが具体的になり、社員一人ひとりに明確な目標意識が根付くことによってより定着しやすくなります。また目標は最初のうちはハードルを低く設定し徐々に高くすることによって段階的に働き方改革に基づいた働き方にすることによって自然と定着するようになります。

システム化で定着を促す

可視化と共有で効率化 意識作りに効果があり、社内のシステム化も働き方改革を後押しする一因となっております。SFA、CRMなどに代表されるスケジュール、営業管理ツールは働き方改革における効率化、見える化に大きく貢献しております。

スケジュールの共有と可視化によって、急な欠員や引き継ぎ、業務の変更の際にスムーズに対応することができる他、管理者が従業員の動きを把握することが出来、今後の業務の方針を定めやすくなります。
初期投資は大きいですが、長期的な効果とコストパフォーマンスは高いと言えます。

まとめ

働き方改革実現に向けては、この事例を参考に自社に合わせてやってみる他、 「現状の把握と目標設定」→「目標を達成できる手段を選択」→「検証と改善」の3ステップで進めていくことによって、 どのような取り組みが合っているのか、効果的に実現可能か検証して行うことにより、 効果を高めたり会社に合わせた導入を行うことができます。
企業、従業員が積極的に意見し参加することによって、その企業にあった双方にメリットのある働き方改革が実現できます。

働き方改革の現状と問題点

働き方改革の現状と問題点

働き方改革の現状と問題点

働き方改革において生産性向上ばかりを求められ現場が混乱したという方も多いのではないでしょうか。 職場環境や成果は急に変えられるわけではなく、背景と課題を理解し職場環境を改善することで、効果が現れます。 働き方改革を実行できない、効果が現れない会社の問題点を紹介します。


なぜ現場が混乱?

働き方改革で問題視されたのが、企業による急な働き方改革の施策による対応ができず現場が混乱する、逆に負担が増大してしまう事例です。 効率化と生産性を目指すはずが間違った施策により逆に負担が増大してしまうことで働き方改革に不満を持つ人が少なくありません。
目的や目標、現場の状況などを把握せずに行うことで逆効果となってしまいます。

安易な施策が逆効果に

残業時間の削減を行う際に単純に残業の禁止を行なったり、効率化のために行なった施策やツールが実際の現場にそぐわなかったりと様々な要因があります。共通しているのが、その場しのぎの対処療法として施策を行なったり、現場の状況を把握できず、とりあえず導入して失敗しているという点です。働き方改革に関しては現場従業員とのヒアリングや長期的な視点での計画を立て行うことでこのような事を防ぐことができます。

管理職にしわ寄せ

従業員の状況把握の負担が増大してしまうケースが多々あります。労働者一人ひとりの能力を把握し、管理していくことは難しいでしょう。 どんなに生産性向上を目指そうと心掛けていても、管理する側に向けてのフォローもなく働き方改革に取り組めない現状があります。

働き方改革なぜうまくいかない

働き方改革は私たちの生活の質を向上させることにもつながるため、本来ならば両手をあげて歓迎すべきもののはず。しかし、実際にふたを開けてみると、その改革は思うように進んでいないという現実があります。その原因は企業や労働者の状況によって異なるため一概にいうことはできませんが、大まかに以下の2つに集約されると考えられています。

意識不足

労働の質を向上させることのメリットは、最近でこそ注目されるようになってきたものの、働き方改革で経営的なメリットがあるのかと疑問を抱いている人も少なくありません。労働環境の見直しをコンプライアンスとして掲げているような大企業はともかく、中小企業の中には従業員の長時間労働によってなんとか業務をこなしているという企業も少なからずあり、単純に労働の質を向上させようといったところで現実的にそこまで手が回らないといったケースもあります。
また、経営者だけでなく社員側にまわりが残業をしているから帰りにくい、残業してでも仕事を最優先するべきといった意識があり、こうした無言の圧力が労働環境改善の妨げとなっている場合もあります。

評価の仕組み

経営者や社員の意識に加えて、人事評価の仕組みが追いついていないというのも問題のひとつで、日本の企業の中には労働の質より量を評価する意識も少なくなく、それによって人事評価が行われている現状もあります。仕事をしっかりとこなして毎日定時で帰っていても、必ずしも効率的な働き方が評価されるわけではなく、逆に毎日残業をして仕事をこなす人のほうが受け取る給料が高くなることがあるようでは、労働者側も働く意欲を失ってしまいます。

まとめ

働き方改革が進まない現状には前項で述べたような課題があることをしっかりと意識し、その課題をクリアできるような社内体制、人事評価の仕組みを構築することが必要です。トップが自ら仕事の量よりも質を重視することを表明したり、効率的な働き方が評価につながるような仕組みを整え、 また、こうした仕組みは一度構築しただけで満足するのではなく、仕組みが機能しているかを定期的にチェックし、改善していく必要があります。働き方改革は、経営者や社員の働き方に対する意識を変える改革でもあるため、新しい考え方が浸透するには時間がかかります。実際に改革が進んでいるかをチェックし、意識や考え方にズレが生じることのないような体制を作っていくことが重要です。

働き方改革の目的

働き方改革の目的

働き方改革の目的

働き方改革を行う目的は、一人ひとりの意思や能力、個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求していくことで、労働者にとっての働きやすさを実現していくと同時に、減少する労働人口を抑えるため一人一人の生産性を高め、ライフワークバランスの向上の実現を目指すことを目的としています。


なぜ働き方改革なのか

以前から「日本人は働き過ぎ」と言われてきましたが、なかなか改革が進みませんでした。
しかし、ここにきて労働環境が一気に変わろうとしています。何故、労働環境が変わろうとしているのでしょうか。そもそも、働き方改革は何故始まったのでしょうか。

労働人口の減少

日本の総人口は今後も減少が予想されており、2050年には国内人口が1億人を下回ると言われています。 人口の減少にともない、労働人口も当然急速な勢いで減っていきます。 それに伴い、働き手であるが若者を中心に減っていくので、生活にも影響が出てくることが挙げられると思います。 さらに、働き手が減少することで国の生産力も落ち「世界から見た日本の経済力」という観点でも非常に悪い状況になります。他国が経済的に伸長する中、日本だけが取り残されていってしまうかもしれません。
働き方改革とはこのような背景から、総人口が減り、少ない労働人口の中でも効率的に日本の経済を回す方法として法制化と環境整備が進められております。

長時間労働と過労死問題

かつての日本には、労働者が企業のためにすべてを犠牲にして労働することが美徳とされてきた企業文化があります。その最たる例が依然として改善されない長時間労働の常態化ですが、日本における長時間就労者の割合は世界的に見ても特に際立っていることが分かります。
長時間労働 に起因する 過労死 は、近年、件数としては減少傾向にあります。しかし、その数は依然として少なくありません。働き方改革を通じて、企業における長時間労働の是正、働く人が健康で活躍できる就労環境の整備が目指されています。

生産性の向上

労働生産性とは、労働者1人あたりが生み出す成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果の指標です。労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを表す数値である労働生産性は、国の経済成長に寄与すると言われています。働き手の減少が不可避とされる中、労働者1人あたりの生産性を高めることで、少ない人員でも成果を出していく必要があります。

働き方改革関連法の課題と問題点

働き方改革関連法が施行されると企業に対応義務が発生します。では単純に法律を守ればよいかというと、現場では様々な課題や問題点が出てきます。

長時間労働を是正するにあたっての課題と問題点

もし、何の対策も無しに時間外労働の上限規制を適用したとしたらどうなるでしょうか。普段から長時間労働が常態化している企業であれば、これまでの仕事がまわらなくなってしまうでしょう。
そのため、仕事量を減らすか、人員増強するかを迫られます。これでは、途端に経営が苦しくなってしまいます。長時間労働を是正していくためには、労働生産性の向上を意識することが必要です。

労働生産性とは、時間当たり、どの程度の成果を生み出したのかを表す指標のことです。労働生産性の向上には、仕事の仕組みを最適化する必要があります。つまり、仕事をどのように進めて、どのような結果を生むことが最適であるかを常に考えながら仕事をするということです。
そのためには、本当に必要な業務であるか、今の方法が最適なのかを柔軟に考え直すことが重要です。無駄を省き、業務を効率良くすることで、長時間労働の是正が実現されます。

有給休暇の取得の義務化の課題と問題点

従業員が年間5日以上有給休暇を取得できるようにしなかった場合は、会社の責任となり罰則が科せられます。 しかし、無策に有給休暇の取得を推進すれば、正常な人員配置を維持できなくなり業務に支障をきたす恐れがあります。そこで、一般的な対応として有効なのが、有給休暇の計画的付与や有給奨励日の設定です。
特定の時期に有給休暇を取得することを予定することが労働生産性向上への取り組みを加速させます。労働者にとっても、先の長時間労働の是正をすることができれば、この有給休暇も取得しやすくなります。

まとめ

企業が労働生産性の向上を意識した働き方改革へ取り組むことで、労働者にとって働きやすい環境が実現し、企業にとっても事業活動に必要な労働コストが最小化されることで生じる収益性の向上が実現します。働き方改革は企業と労働者双方に利益を生み出す取り組みである必要があります。 今後の事業の成長や発展に向けた道筋を見つけることを目的として働き方改革に取り組むことが求められます。

2020年に向けた働き方改革 中小企業

2020年に向けた働き方改革 中小企業

中小企業猶予期間

働き方改革の一部施策には中小企業に関して猶予期間が設けられております。
この猶予期間は2020年4月以降段階的に終了し、働き方改革に基づいた会社運営を行わなければなりません。

そもそも中小企業とは

働き方改革法における中小企業の定義は、下記にカテゴライズされます。
業界によって資本金・出資金の総額、常時使用する労働者数の要件が異なるためよく確認しましょう。

  • 資本金5000万、従業員数50人以下の小売業
  • 資本金5000万、従業員数100人以下のサービス業
  • 資本金1億、従業員数100人以下の卸売業
  • 資本金3億、従業員数300人以下のその他業種

働き方改革法の適用時期

中小企業の猶予期間の廃止時期は以下のとおりです。早めの準備を行い今の段階からしっかりと対応する必要があります。

  • 残業時間の上限規制:2020年4月
  • 同一賃金同一労働:2021年4月
  • 割増賃金の中小企業の猶予廃止:2023年4月

先延ばしは禁物 中小企業の働き方改革対応

働き方改革関連法案の猶予期間=焦って準備する必要はないというわけではありません。
例えば、恒常的に残業時間が長くなりがちな職場で時間外労働の上限規制にどう対応するか、パート・アルバイトを多く抱える現場で同一労働同一賃金をいかにして考えるべきか、このあたりの解決策の検討はすでに定着している働き方や考え方を大きく変える必要があり、簡単にはいかないからです。
単に就業規則や賃金規程などを整備するだけでは実運用がついていかず制度の導入に失敗してしまいます。まずは各制度について理解を深め、職場意識の改善を図り、その上で、時間をかけて会社に合った形での導入を検討していかなければなりません。

適切な勤怠管理

まだ働き方改革に向けた取り組みを行えておらず、どこから手を付ければいいかわからない場合は、労働時間の計測を行える環境をまず整備し、従業員の働き方を正しく把握することから始めましょう。
具体的には、正しい形で勤怠を管理し、実態を知ることです。勤怠データから、おのずと職場の問題点や課題が明らかになります。例えば、長時間労働が恒常化する人や部署が特定されることで、より効果的な取組みの検討がしやすくなります。

これからの働き方改革

これからまだまだ働き方改革関連法は出てくるかもしれません。というのも、働き方改革の目的は労働人口減少への対応のため、法律の施行によって何かしらが起これば新たな法律が適用されたり、成立する可能性があります。動向を見守りつつもしっかりと働き方改革を進めていきましょう。

まとめ

働き方改革について、まだ中小企業においてあまり進んでいない状況などが見て取れますが、順次猶予期間が終了し、刑事罰を伴う罰則のある法律が適用されることになります。
働き方や制度はすぐに変えられるものではありません、急いで準備を行い働き方改革に備えましょう。

2020年に向けての働き方改革 残業時間

2020年に向けての働き方改革 残業時間

労働時間に関する制度の見直し

従来抜け穴といわれていた特別条項付36協定締結の場合の残業時間数に制限を設ける、残業時間の上限規制が中小企業でも適用されます。
労働者の過労死等を防ぐため、残業時間を原則月45時間かつ年360時間以内、繁忙期であっても月100時間未満、年720時間以内にするなどの上限が設けられ、これを超えると刑事罰の適用もあります。

労働時間把握義務

労働時間の把握義務は、2019年4月1日から、産業医との連携や情報提供強化を背景に、労働安全衛生法の改正で事業主には労働者の労働時間把握義務が正式な法的義務として課せられました、これに関しては大企業も中小企業も共通です。残業時間の上限規制に対応する為には、各業務状況の正確な把握が重要となり、長時間労働を防ぐ意味でもこちらの徹底は必要不可欠となります。

改正36協定

これまでの36協定では、

  • 時間外労働の上限は、原則月45時間、年360時間
  • 突発的かつ一時的な特別の事情が予想される場合に限り、一年で6ヵ月を超えない期間内で、前述の原則を超える時間外労働時間を設定することができる(特別条項付36協定の締結)

となっています。
この場合、事業主には過労死ラインを意識するなどの安全配慮義務が課せられます。しかし、法律に時間などの具体的な定めがないため、上限なく残業時間数を設定することができてしまい問題視されていました。

今回の法改正で36協定の扱いが見直され、労働基準法には下記の内容が明記されました。

  • 従来通りの時間外労働の上限は、原則「月45時間、年 360時間
  • 突発的かつ一時的な特別の事情が予想されるケースに限り、下記の要件を満たす場合、 一年のうち6ヵ月を超えない期間内で時間外労働時間数の特別な設定が可能
  • 年間の時間外労働は月平均60時間 年720時間以内となること
  • 休日労働を含み、2ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、5ヵ月間、6ヵ月間のいずれかの月平均時間外労働時間が80時間を超えないこと
  • 休日労働を含んで、単月は100時間未満となること

上記に違反した場合には労基法違反として罰則の対象となります。
80時間、100時間は、過労死ラインといわれる健康障害のリスクが高まるとする時間外労働時間数に由来しています。

この改定36協定はすでに大企業では適用対象となっており、今回2020年4月以降、猶予期間が終了する中小企業にも適用範囲が拡大します。

罰則

時間外労働の上限を守らなかった企業は、罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあります。
罰則を受けた場合、懲役や罰金があるばかりでなく、程度によっては、厚生労働省によって企業名を公表されます。そうなってしまうと企業の取引などにも影響しかねません。

60時間超えの残業は中小企業も手当てが1.5倍

大企業において、2010年より60時間を超える残業時間に対しては1.5倍の残業手当が義務化されています。
中小企業への適用は見送られていましたが、働き方改革関連法案によって2023年4月より義務化されます。こちらは当分先とは言え合わせて準備した方が良さそうです。

残業時間の上限規制への対応

労働時間管理方法の見直し

毎月どのくらいの時間外労働を労働者が行っているかを企業が把握していなければ、法律上の上限規制に違反しているかどうかを確認することすらできません。 そのため、現時点においてタイムカード等の客観的記録に基づく労働時間管理を行っていないということであれば、早急に整備を行う必要があります。

また厚生労働省のガイドラインにおいては、パソコンの使用時間が労働時間に関する記録として重要視されています。また労基署が違法な時間外労働の有無を調査するにあたっては、タイムカードのみならず「パソコンの使用時間」の記録の提出を求めてくることがあります。
そのため、企業はタイムカードによる労働時間管理方法を採用している場合であっても、タイムカード上の労働者の入退室の記録と、パソコンの使用時間の記録とに齟齬がないかを把握できるような状態にしておく必要があります。

36協定の見直し

現時点において、改正法の上限規制に抵触する内容の36協定の届出をしている場合には、施行期日までにこれを見直す必要があります。
なお、36協定の見直しとともに、人員や人事配置についても見直しを行い、改正法上の上限規制の範囲内に収まることができるような体制を整備しましょう。

時間外労働の抑止方法

企業が、労働時間管理方法の見直し及び36協定の見直しを行っても、労働者の意識が変わらなければ、これまでと同じように長時間労働を行ってしまい、意図せず法律上の上限規制に違反する可能性があります。
そのような事態を防ぐための方法として、時間外労働を削減していく通知文を出し、長時間労働是正を社内に周知を徹底させます。

長時間労働の是正のための具体的な方法としては、時間外労働を行う場合のルールを厳格化することが考えられます。例えば、これまで時間外労働に関して事後届出制を採用していたのであれば、これを事前許可制に変更し、不必要な時間外労働を削減していくべきです。
このような対応策を講じても、労働者が長時間労働を行ってしまう場合、個別に残業禁止命令を出すことも検討すべきかもしれません。

残業時間の削減に成功した事例

徹底した労働時間の把握を行なったケース

海運会社の事例で5年間で残業時間を27.8時間減らし、残業時間の減少率は77.7%を達成したケースです。
具体的取り組みとしては、PCのログオン打刻時間の確認により、正しい労働時間を把握、月中での残業見通し把握、 所属部長に対し注意喚起を行い対策指示、対策状況の確認を行うという物でした。
また同時に有給休暇取得の推進にも努めており、2017年度は2012年度の7.4日から9.3日増加の16.7日を達成しています。

ノー残業デーを活用したケース

大手ドラッグストアではノー残業デーの実施や変形労働時間制度の活用を行い、2017年度の残業時間5.0時間、減少率は84.0% それと同時に年間の有給休暇取得日数も3.6日から7.7日と大幅にアップし、残業時間の削減に成功しております。

まとめ

中小企業の猶予期間終了に伴い残業削減の動きは本格化していきます。企業は上限規制に対応していくだけでなく、労働者のワーク・ライフ・バランスの改善のため、生産性向上の取り組みとあわせてさらなる労働環境の整備に取り組んでいくべきでです。

2020年からの働き方改革 同一労働同一賃金

2020年からの働き方改革 同一労働同一賃金

2020年4月から同一労働同一賃金が徹底化

正規雇用者と非正規雇用者の不合理な待遇差をなくす同一労働同一賃金が、大企業では2020年4月、中小企業では2021年4月から適用されます。
法改正後は、不合理に当たる待遇差の明確化や労働者の待遇に対する説明義務の強化などが徹底されるようになります。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは、同じ仕事に就いている限り、正規雇用労働者であるか、非正規雇用労働者であるかを問わず、同一の賃金を支給するという考え方です。
様々な事情により、非正規雇用を選択する労働者が増加している中、政府はいわゆる働き方改革のひとつとして、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消し、多様な働き方を選択できる社会にすることを目指しています。

今回の法改正について

同一労働同一賃金の徹底化が盛り込まれた働き方改革関連法は、2020年4月1日から施行されます。中小企業への適用は猶予期間が入り、2021年4月1日となります。
今回の法改正では、同じ企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間などで雇用形態による不合理な待遇差を設けることが禁止されます。具体的に何が不合理な待遇差に当たるのかについては、指針を示したガイドラインが策定されており、改正法の施行と同時に適用される予定です。

均等待遇規定

同じ働き方をしている場合に、賃金をはじめとして労働条件における処遇を同じにすることです。同じ働き方であるかどうかは、職務内容と職務内容・配置の変更の範囲によって判断されます。現在の仕事だけではなく、転勤や昇進などの人事異動が見込まれるかどうかでも判断される為注意が必要です。職務内容には、業務内容と有している責任の両方が含まれます。

均衡待遇規定

働き方が違うのであればその違いに応じてバランスを考えた待遇をしなければならないという規定で、したがって不合理な待遇差を禁止しています。このバランスは職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情の3点を考慮して決定されます。

派遣労働者の待遇

派遣労働者の待遇についても、派遣先の労働者との均等・均衡待遇、一定の要件を満たす労使協定による待遇の2つの方式のいずれかを確保することを派遣元企業の義務とする規定が設けられています。
併せて派遣先の企業に対しても、派遣労働者の待遇に関して派遣元企業への情報提供をしなければいけないというルールが設定されます。

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

非正規雇用労働者が自身の待遇について説明を求める権利が、法的に明確化されます。これまで、パートや派遣の労働者に関しては、雇い入れ時に待遇内容の説明を、さらに要求があった場合には待遇決定に際しての考慮事項についての説明を行うことが、企業側の義務として定められていました。
しかしながら、有期契約の労働者についてはその限りでなく、また、労働者の雇用形態にかかわらず、正社員との待遇差についての説明義務に関しては特に規定がありませんでした。
今回の法改正によって、これらの事柄についての説明を求める労働者側の権利と、それに対して事業主が答えなければいけないという義務が明確化します。

行政による事業主への助言・指導や行政ADRの規定整備

労使紛争について行政がどう関わるかの規定が改正されます。都道府県労働局において、無料かつ公開で労働者と使用者の間の紛争解決手続きを行うようになります。

企業の対応

正規労働者・非正規労働者間の賃金の違いを、多くの企業が正規雇用労働者と非正規雇用労働者とでは将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なるという主観的・抽象的な説明に終始しがちですが、これだけでは同一労働・同一賃金の説明としては不十分です。
職務内容、配置の変更範囲、その他の客観的・具体的な実態に照らして合理的に説明できるものでなければなりません。規程の整備や職務内容の見直し、社内の意識醸成等をしながら最新の情報をキャッチアップしていく必要があります。

ガイドラインなどを読み込み、具体的な事例を通して何が違法で合法となるのかを把握しておきましょう。

罰則は

罰則は設けられていません。
ただし、訴訟に発展し、違法性が裁判で認められると、差分の賃金や手当を払わなければならないこともあります。過去に企業側に差額の支払いが命じられています。

同一労働・同一賃金による各種手当の均等・均衡待遇の確保

賞与

賞与とは定期または臨時的に一時金として支払われるもので、会社が規程等で自由に定める事ができます。しかし、会社の業績等への貢献に対して支給しようとする場合、正規雇用労働者と同一労働・貢献である非正規雇用労働者には、同一の支給をしなければならないとされています。ガイドライン案によると、業績や目標数値に対して、正規雇用労働者に対してのみ未達の場合に処遇上のペナルティを課しているような場合、その見合いの範囲内であれば同一賃金の考え方は当てはまらないとされています。また、賞与の趣旨を職務内容や貢献等に関わらず正規雇用労働者全員に支給している場合、非正規雇用労働者に対しても同一賃金の考え方を持たなければなりません。

役職手当

役職の内容、責任範囲・程度に対して支給するのが一般的ですが、役職の内容、責任の範囲・程度が同一の場合、同一の役職手当を支給しなければなりません。

その他の手当

業務の危険度や作業環境に応じて支給される特殊作業手当や、精皆勤手当、時間外(深夜)割増率、特定の地域で働く補償として支給する地域手当なども正規と非正規労働者の間で同一労働・同一賃金の考え方があてはまります。ただし、それぞれの手当の性格や趣旨に照らして、同一として考えられるのかはしっかり見定める必要があります。各種手当について定義を曖昧にしておくと、合理的な説明に欠けてしまう恐れがありますので、定義を明確にしておく必要があります。

まとめ

働き方改革関連法の成立によって、同一労働同一賃金の実施がより厳しく企業に求められます。早めに準備して労働者の合意も取り付けた上で、適切な制度改正と対応を行いましょう。

2020年に向けての働き方改革 テレワーク

2020年に向けての働き方改革 テレワーク

テレワークが本格化?2020年の働き方改革

2020年に東京オリンピックが行われる関係で、オリンピック期間中の混雑緩和を目標に総務省を中心にテレワークの普及を目指す施策が行われております。
ただ来年に向けての予行練習をするだけではなく、イベントをきっかけに、柔軟な働き方の実現や企業のコスト削減など多くのメリットがあるテレワークを広く普及させるのが目的となっており。政府は、2012年に11.5%だった企業のテレワーク導入率を、2020年には12年度比で3倍にすることを目標に掲げています。

今一つ普及しないテレワーク

2018年の総務省通信利用動向調査によると、2017年時点でテレワーク導入企業は2割弱。さらに、その導入企業においてもテレワークを利用する従業員の割合は5%未満が最多と、あまり普及していない状況です。
過去にも普及の機会はあったと思われますが、仕組み作りや、導入時の整備などでなかなか進まないのが現状です。

テレワーク普及を妨げる要因

テレワークを行う際、勤務時間の管理や残業手当等の扱い、勤務評価基準などいままでのルールと異なる基準を用いらなければならない、新たな仕組みを作らなければならないという点であまり導入が進んでおりません。しかし、幅広い働き方の選択肢として、必要とされているのも事実です。
仕組みづくりや評価基準などの整備、ツールの導入など準備にかかるコストは安くはありません。しかし、導入してしっかり運用できればかかったコスト以上の成果を生み出す事も十分可能です。

テレワーク・デイズとは

そんな中政府が取り組んでいる、テレワーク・デイズとは来年のオリンピックの開会式からパラリンピック閉会式までと同じ期間が設定されていて、特別協力団体としてご参加いただける企業・団体にはテレワーク・デイズの期間に最低1週間、東京都内では2週間、100人以上にテレワークを実施するという取り組みです。
テレワーク・デイズは全国で展開しており、そのようなイベントを通すことによってテレワークの良さや課題が見えてくるはずです。

テレワークのメリット

社員の業務生産性が向上する

会社から距離を置くことにより、雑談や、不必要な会議、夜の接待などからも遠ざかることになり、妨害のない環境で必要な業務に集中して取り組むことができ、1日の業務量が向上します。

企業コストの削減効果

会社に必要な人員のほとんどがテレワーク社員となれば、それまでにかかっていた机やイスなどの備品、また光熱費を初めとした固定費部分が削減できます。中でもオフィスに関わる家賃や土地代は多くの削減が見込まれ、アメリカのあるソフトウェア開発企業では、従業員1人当たり年間10,000ドル(約110万円)の節約に成功したという報告もあります。

従業員コストの削減効果

企業全体に係るコストだけではなく、テレワークを導入することによって、交通費をはじめとした経費類が削減され、従業員1人に関わるコストも低減が見込まれます。

通勤時間の削減

通期時間の長さが従業員の健康に及ぼす影響には多数の報告があり、ストレスの増加、体重の増加、孤独感の醸成など、特にメンタルヘルスに対しての関連性が指摘されています。こうした従業員のストレス要因がテレワークによって低減できる可能性があります。

地方社員の採用

都心以外の従業員の採用など地域を選ばない採用活動や業務を行うことが出来ます。またふるさとテレワークなど地方創生などでもテレワークを用いた取り組みが行われており、今後地方を用いたテレワークの取り組みが進むと思われます。

従業員の健康状態の増強

通勤時間が短くなるということは、その分、従業員にとっては自分の時間が増えることになり、趣味に費やす時間や、家族と過ごす時間が増えるなど、メンタルヘルスにもプラスの効果が見込まれます。また、勤務地が固定されていたために、地元かかりつけの病院に行きにくいといいった通院に関する不満も解消され、健康状態の向上にも効果が期待されます。


このように単純に通勤の手間がはぶけるだけでなく、モチベーションの維持や長期的な経費の削減につながります。

まとめ

テレワークは導入の難しさから話題に上がっても中々導入が進みませんでした。しかし東京オリンピックをきっかけに、テレワークを推進する取り組みが活発になってきております。
テレワーククの導入に至っては導入したツールやシステム、サービスの活用が大きな鍵となります。また、数多くの支援ツールやサービスが提供されております。 他の企業のツールやサービスの導入事例などを参考に自社にあったツールの導入を進めてみてはいかがでしょうか?