2019/10/31

残業削減のデメリット

残業削減のデメリット

残業削減のデメリット

働き方改革関連法案では、時間外労働の上限が月間100時間、年間720時間に設定され、月間45時間を超える月は年間6ヵ月まで、かつ複数月間平均80時間を上限としています。つまり、実質的に残業時間の明確な上限が制定され、企業によっては残業時間削減への取り組みが余儀なくされるということになります。
もちろん、労働者にとって過酷な環境を作らず、働きやすくワークライフバランスを整えることは企業の責務ではありますが、現状の仕事量から考えて社員の残業に頼らざるを得ない状況は存在します。
しかし、国会で法案が成立した以上、残業時間の上限規制は待ったなしで施行され、大企業は残り1ヵ月余り、中小企業では残り約1年間の準備期間でこれに対応しなければいけません。 しかし、残業時間削減だけでは働き方関連法案へ適切に対応し、かつ継続的な成長体質を作り上げることは不可能です。


なぜ、残業時間削減だけではダメなのか?

厚生労働省が昨年12月に発表した労働経済動向調査によると、働き方改革で企業が実施した取り組みで最も多かったのが残業時間削減の推進と、長時間労働削減のための労働時間管理の強化でした。実際に働き方改革関連法案の施行を目前に、残業時間削減を声高に叫んでいる企業は多いでしょう。しかしながら、その残業時間削減が掛け声だけで終わっている企業もまた多く存在します。

業務の見直しができていない

残業時間削減に取り組んでも、業務の見直しができていないことが多く、一般的に労働時間が多いとされている企業では、働き方改革関連法案の施行にともない、残業時間を削減する必要があります。しかしながら、残業時間を削減するだけで、仕事量まで削減しているわけではありません。
仕事量を減らすのではなく、現在の業務を見直すことで労働負担を軽減し、残業時間削減に取り組むことが大切なのですが、多くの場合では残業時間削減だけに注力してしまっています。

結局時間外労働を強いられることに

自分の評価がかかっているとなれば部下に残業禁止を徹底する管理職は多いですが、業務量はまったく減っていないため、社員は休日返上で出勤していたり、休憩時間を削ってまで働きます。最悪の場合、管理職自身がそれを強要しているケースもあるでしょう。 結局のところ時間外労働を強いられている状況になり、環境改善へは向かいません。

社員の意識改革

日本では長らく残業至上主義が蔓延していました。今でこそこうしうた風潮は少なくなりましたが、残業が評価される企業はまだまだ多い傾向にあります。
こうした中で残業時間だけを削減しても、仕事量とのバランスが取り除けず、どこかに歪が生じることは明白です。従って、日本企業の多くは残業時間削減よりもまず社員の意識改革に取り組まなければなりません。

まとめ

働き方改革=残業時間削減ではありません。残業時間削減は当面の課題ではありますが、それだけに取り組むことは根本的な解決にならず、逆にリスクを生むことになります。まず労働生産性が向上するための取り組みは何か、同じ時間で多くの仕事量をこなす方法を考え流べきです