残業時間の削減

残業時間の削減の方法

残業が問題視される理由

残業とは一般に労働基準法における「時間外労働」のことを指します。具体的には「1日の実労働時間-8時間(法定労働時間)」がこれにあたります。 この時間外労働をおこなった社員に対して、その分の報酬が支払われていないことが、問題とされることがしばしばあります。

また自殺や過労死などは、残業が引き起こし得る最悪の弊害だといえるでしょう。

残業が発生してしまう原因

上司の問題

まず、上司の残業に対する考え方や、部下への仕事の与え方が考えられます。「残業は社会人の日課だから」という考えを持っている上司の方も中にはいて、残業をすることに対して特に問題を感じていない可能性があります。

社員個人の問題

業務を遂行するにあたっての能力不足や経験不足、ひとつの仕事に対してこだわりすぎてしまうなど、生産性の高い仕事ができずについつい時間が過ぎてしまうことがあります。 「今日も残業すればいいや」といったように、残業時間を含めたうえで仕事の時間配分をしているのではなく「どうすれば効率よく仕事ができるか?」ということについて考える時間をとって解決策を考える必要があります。

仕事自体の問題

そもそも仕事量が多い、非効率な仕組みができている、顧客の無理な要望が多い、作業環境が悪く生産性が下がる、などが原因で遅くまで仕事をすることになっていることもあります。 これらは、すぐに解決できないものが多いですが、見直す必要があります。

残業しないことを引け目に思うような風潮の存在

「残業をすることが偉い、正しい」という社風がある場合、誰もが定時で「お先に失礼します」と言い出せないことがあります。 この風潮はただちに是正する必要があります。

残業が企業に及ぼす弊害

長時間労働が日常化している企業という評判が広まり人材が集まらない

残業の多い職場は心身の健康に問題を抱える社員が多く、離職率も高くなります。求職者は長時間残業の有無には非常に敏感です。悪い評判が出回ってしまうと人材の採用にも問題が発生します。

生産性を上げることができない

長時間労働によって単純な生産量はあがりますが、生産性はあがりません。長時間働くことがストレスにつながり、また集中力が落ちて時間あたりの生産量は減っていきます。

残業削減するための対策

残業を事前申請制にする

残業を行う前に残業申請をおこない、それが認められた場合のみ残業をおこなうことができる制度です。これにより不要な残業が削減されるだけでなく、どの部門で、どのような理由により、どの程度の残業が発生しているかといった実態を把握することができます。

朝方勤務の導入

残業ではなく、残った仕事を翌日の朝早く来ることによって時間内に業務を終わらせるという習慣が根付かせ、 業務効率の向上につなげます。 働き方を見直すことによって、全体の業務時間を短縮し、社員一人一人が効率的に動くことにより、働き方改革における業務時間の削減が達成出来、また一人あたりの効率を上げることにより高い生産性を実現することが出来ます。

定時消灯

原則19時に全員退社を徹底し、pcが強制シャットダウンされます。これにより時間内に業務を終わらせるという習慣を作り、残業を削減するというものです。しかし残った業務が持ち帰りになるなど仕事の削減という点では、まだ問題が多く残しており、業務状況を見直しながら運用する必要があります。

業務のローテーション化

社員一人ひとりが別の仕事を受け持つのではなく、各社員がさまざまな業務に携われるように担当の仕事をローテーション化します。
その結果、分かる範囲であれば自分の担当以外の仕事をフォローできるようになり、特定の社員に残業が偏ることを防止することができます。

残業削減の注意点

対策を行ったとしても必ずすべての企業の残業が削減されて、すべての社員の業務が効率化されるわけではありません。

残業がおこなわれている根本的な原因を突き止めたうえで対策を行わないと、建前上は残業が減ったように見えるかもしれませんが、持ち帰り残業の横行や管理職へのしわ寄せなどが発生し寧ろ弊害が大きくなる可能性があります。

ツールやシステムなどを用いて企業側からサポートを行ったりCRMなどを使い業務状況の可視化を行い業務状況に応じた対策を行うことが重要となっていきます。

外国人労働者の受け入れ

外国人労働者の受け入れ

外国人労働者の受け入れ

生産年齢人口が、2060年に約50%まで落ち込むという試算が出ており、人口の半分を占める高齢者・子どもたちを、残りの人口が働いて支えなければなりません。しかし、それでも国際的競争では足りないとの事で、外国人労働者の受け入れの検討は以前から行われておりました。

特定技能

政府は「特定技能」就労ビザを新設し、これまで外国人が就労できなかった分野での就労が可能にしました。具体的には、生産性向上や国内人材の確保のための取り組み(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善)を行っても、足りないために外国人材の受入れが必要と認められる5職種が対象です

  • ・農業
  • ・介護
  • ・建設
  • ・造船
  • ・観光

一定レベルの日本語能力に加え、業種別に設定された知識・技能条件を満たす外国人が上記職種に従事する場合、最長5年の就労が認められます。

外国人材受入れの環境整備

外国人材の労働者としての受入れ法制の検討を行っていき。施策として以下について対応し、2020年までに高度外国人材の認定10,000人を目指していく方針です。

     
  • ・外国人材受入れの在り方の検討
  • ・外国人のための生活・就労環境整備
  • ・高度外国人材の更なる活用
  • ・国家戦略特区の活用
  • ・外国人介護福祉士の活用

日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安などを考慮して検討されていますが、慎重論が多くあります。

問題点

技能実習制度問題

技能実習や研修の在留資格で日本に在留する外国人が報酬を伴う技能実習、或いは研修を行う制度で開発途上国への技術移転を目的として行われていましたが、 劣悪な労働環境に置かれるなど人権上の問題が以前から指摘されていて、企業が使い捨ての人材が欲しいがままに悪用している状態が続いております。

業種別に見ると、飲食店や宿泊業、製造業の割合が多くなっており、技能実習生のほとんど全員が月収18万円以下で働いている状態です。厚生労働省の2015年の調査によると、実習実施機関約5,000のうち、約7割以上で労働基準関係法令上の違反が認められたといいます。受け入れ側の勝手な都合で過酷な労働環境を強制するケースが多く、技能実習生に対して不当な賃金設定を行い国際問題となってます。

業務上のトラブルと治安の悪化

異なる常識の中で生きてきた人々を既存のコミュニティの中に受け入れることでもあります。おそらく、単純に「働き手が増えた」と両手離しで喜べない現実が待っているものと思われます。言葉が通じず情報の共有が出来ないなどで生産性が落ちたり、欧米の移民問題などでも治安が悪化したケースが多く、一部政府関係省庁間でも治安の悪化を懸念する声があります。

日本人の就業機会の消失

企業が外国人を雇用すれば低コストで済むという認識で外国人労働者の受け入れを推進しているため、就職氷河期世代など受け入れられるはずの人材を無視して外国人労働者を受け入れる動きが強く、就業機会の消失につながるという懸念があります。

今後の動向に注視

環境を整えた企業でない限り受け入れは困難かと思われます。また、 欧米の移民問題もあり慎重論や反対論が多くあり、今後の動向に注視する必要があります。受け入れの動きはさらに拡大する見込みで状況が複雑化していくことが予想されます。 とは言え治安悪化などに関しては、職場環境の改善を図っていくことが、結果的に犯罪の抑止になる可能性が高いといえますので、外国人労働者から不当に搾取するような労働環境は即座に是正されるべきです。

社内コミュニケーション

社内コミュニケーション

コミュニケーションの改善

円滑なコミュニケーションは効率をよくするだけでなく、社内の可視性、情報共有の円滑化など社内、社外ともに業務を進める上で重要になっていきます。 働き方改革においてもコミュニケーションは重要になっていきます。

コミュニケーションツール

テレビ会議

遠隔地にいる相手との会議で移動することなく会議を行うことができるツールです。実際の会議と同じく対面で会話するため、テレビを介する以外は普通の会議と変わりありません。 会議の資料準備の手間がかかるのは変わりないですが、移動コストの削減と対面で話すことによる直接的なコミュニケーションになるため、複雑な操作などはなく、誰でも参加可能と言うメリットがあります。

チャットツール

社内における情報伝達の為のツールとしてチャットツールがあり、以前からIT分野で多く使われておりました。働き方改革を行う上で社内外のコミュニケーションツールとして注目されております。しかし、手軽なため不要な話を持ち込んでしまったり、やり取りした内容がどんどん流れて探せなくなってしまったり、メッセージの保存限度があるため証拠が残りにくいというデメリットもツールによってはあります。導入によって打ち合わせの手間と時間を削減することができます。

課題管理ツール

課題や案件ごとに予定や進捗を共有、報告が出来、また個々の動きが把握できるため情報の可視化にもつながります。案件ごとに管理するためこれまでの業務などの流れや結果がエビデンスとして残るというメリットがあります。
課題を中心としたコミュニケーションは、最小限のコミュニケーションで多くの課題の解決ができるため、遠隔地でも課題中心に議論を進めることができ、コミュニケーションコストを大幅に改善することができます。 導入の際運用方法をしっかり定める必要がありますが、大幅な効率化が可能となります。

社内コミュニケーションの活性化

ツールの導入の他にも社内でのコミュニケーションを活性化する必要があります。ツールを有効活用する上でも円滑にコミュニケーションを取れる状態にすることによって、より効果的に情報共有の効率化を行うことが出来ます。 コミュニケーションの無駄を削減しつつも、情報をしっかり伝えることにより自然と業務効率が上がり、再確認等の無駄な打ち合わせを削減することができます。

またツールを併用し、業務を可視化することにより、互いの進捗、業務状況などが確認できるため。状況の確認や仕事上での意見交換、アイデアなどの提案がしやすい状態となります。社内コミュニケーションの活性化につながり、業務の改善やモチベーションの向上、社内環境の向上につながります。

まとめ

現在様々なツールが出回っている中で、それらを有効活用することによって、コミュニケーションコストを削減し、業務効率を向上させる事ができます。 また社内コミュニケーションの向上によって互いに意見しやすい環境を作ることによって、より働きやすい環境を作ることができます。

女性・若者が活躍しやすい環境整備

女性・若者が活躍しやすい環境整備

女性・若者が活躍しやすい環境整備

労働力人口の減少に対応するため、就職氷河期世代、子育て等で離職した女性、高校中退者やひきこもりの若者など多くの人が働ける環境を作り、様々な人に働いてもらう為の環境整備が進んでおります。このようにこれまで様々な事情から就職が難しかった人の就職支援・キャリアアップ支援を行うことにより、女性・若者が幅広く活躍しやすい環境作りが進んで行われております。

学びなおし支援

個人の事情により一度離職した女性の再就職・職場復帰や、新卒時に正社員として就職できなかった就職氷河期世代の非正規雇用問題、就職・キャリアアップに不利な立場にあると言われる高校中退者等に対して学び直し支援を行うために政府は、誰でもいつでも教育の機会があり、知識や技術を身につけていつでも再スタートできる環境整備を行うとしています。
自分の状況に合った多様な働き方をしていくためには、年齢に関係なく自らのキャリアアップ・スキルアップのために学び直せる環境が必要と言う考えの他にも、長期間職に就いた事がない、子育て期間からの復帰に長期間かかったなどで再就職を行う際スキル、知識等で不利に働く為、そういった方々の為にこのような支援を行う事が検討されています。

リカレント教育とは

義務教育や高校・大学などのフォーマルな学校教育を終え、一度社会に出たものがスキルアップや再就職など個人の必要に応じて教育機関に戻るといった学校教育と社会教育を循環的に繰り返す教育システムをさします。
政府は、雇用保険を改正し、専門教育講座の受講支援などの施行を目指すそうです。 内容として、雇用保険の専門実践教育訓練給付金の支給額は、受講経費(入学料+受講料)に対し

       
  • ・給付率:6割→7割
  • ・上限額:年間48万円→56万円
  • ・給付を受けられる期間:子育てによる離職後4年まで→10年まで
       (離職後一ヶ月以内に必要とされていた需給期間の延長手続き制度の廃止)

そのほかにも、講座の種類の多様化、子供を保育園に預けながら受けられる教育訓練の拡大として土日・夜間講座・eラーニングの新設といった利便性の向上などを目指しています。

女性支援政策

パートタイム女性が就業調整を意識せずに働ける環境整備

育児休暇中のパートタイム女性や、子育て等により一度離職した正社員女性等の復職を推進する環境の整備、また、女性リーダーの育成支援を行います。 また、短時間労働者が就業調整を意識せずに働くことができるよう、配偶者控除等について、配偶者の収入制限を103万円から150万円に引き上げを行い、若い世代や子育て世帯を中心に個人所得課税の改革について、その税制全体における位置づけや負担構造について検討し、丁寧に進めていく方針です。

子育て等により離職した正社員女性等の復職支援

復職制度を持つ企業の情報公開を推進するため、復職制度の有無について、ハローワークの求人票に項目を新設するほか、職制度を導入して希望者を再雇用した企業を支援する助成金の検討が行われております。

女性活躍・活用推進

労働時間や男性の育児休業の取得状況、女性の管理職比率など、女性が活躍するために必要な個別の企業の情報が確実に公表されるよう、女性活躍推進法の情報公表制度の強化策などについての必要な制度改正を検討が検討されています。また、女性や若者が働きやすい企業の職場情報について、閲覧できるサイトを構築するとともに、企業、就職希望者による活用を促します。

女性リーダーの育成等

女性リーダー育成モデルプログラムの普及とともに、役員候補段階の女性を対象にしたリーダー育成研修等の取組を推進します。また、企業等の組織トップが自ら女性活躍に取り組む機運を作り、女性の進出を支援します。また、女性を創業に関する支援など、女性活躍の取組支援の強化が検討されています。

就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援

就職氷河期世代の正社員化推進、就職・キャリアアップに不利な立場にあると言われる高校中退者等に対する高卒資格取得に向けた学習相談・支援など、若者の活躍に向けた支援・環境整備が検討されています。

就職氷河期世代への支援

就職氷河期に就職時期を迎え、現在もフリーター等として離転職を繰り返す人の正社員化に向けて、短期・集中セミナーの実施、わかものハローワークにおける就職支援、事業主への助成措置の創設など、個々の対象者に応じた集中的な支援を行います。
また、雇用保険法を改正し、倒産・解雇等により離職した若者に対する基本手当の所定給付日数を引き上げが検討されています。

高校中退者等に対する自立支援

図書館等を活用して高校中退者等の高卒資格取得の学習相談・支援が検討されています。また、教育委員会や学校、地域若者サポートステーション等の連携を強化し、就労・自立に向けた切れ目ない支援体制を構築することで、若者の支援が検討されています。

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の強化

職業安定法を改正し、ハローワークや職業紹介事業者の全ての求人を対象に、労働関係法令違反を繰り返す求人者の求人を受理しないことを可能とし、また、求人情報の提供を行う事業者に対し、実際の労働条件と異なる求人情報を出させないようにするなど、必要に応じて指導等を実施できるように現在法整備が進んでおります。

学生・生徒に対する労働関係法令や相談・通報窓口等を用意するなど、各方面でブラック企業淘汰を行う流れとなっております。

まとめ

働き方改革によるこのような支援は、これまで就業の機会がなかった人たちにとっては考え方によっては大きな機会なのかもしれません。誰でも働けるような環境を作ることによって、人が集まることによって企業にとってもメリットになると思われます。

働き方改革補助金・助成金

働き方改革補助金・助成金とその内容

働き方改革に関連する補助金・助成金

働き方改革の導入に関して、中小企業が行うには難しい施策が多くあります、
そのような企業に向けた制度として助成金の支給を行っております。
条件が指定されており、助成金を得るのは大変ですが、要件などをチェックしてあてはまれば、助成金を得られます。 とはいえ補助金、助成金のハードルは高いため手続きは社労士と相談の上行うといいかもしれません。

働き方改革 参考記事

2019年度IT導入補助金

IT導入補助金は、システム導入にかかる費用の一部を経済産業省が負担し、中小企業のIT化を推進する施策です。ただし、経済産業省の認定を受けた会社とツールであることが要件です。

セキュリティにも配慮したITツールおよびその提供事業者の成果を公開し、IT事業者間の競争を促すとともに、横展開を行うプラットフォームの構築等を通じて、中小企業・小規模事業者によるIT投資を加速化させ、国全体の生産性向上を実現することを目的としています。 また、政府の具体的な数値目標として、サービス等生産性向上IT導入支援事業により補助事業者の生産性を向上させ、サービス産業の生産性伸び率を2020年までに2.0%を実現することを掲げています。

昨年度の申請が少なかった影響があり、昨年度と比較すると全体予算が大幅に減少しています。
1企業あたり補助上限額は450万へ大幅に増額された一方、補助予定件数は大幅に縮小する見込みなっております。

また、申請する際の労働生産性の向上目標はより早期に生産性向上を実現することが求められており、申請のハードルも上がって、2019年のIT導入補助金は厳しい採択率になると予想されます。

また、平成30年度では対象だったホームページ制作等は、平成31年度からは対象になりません。

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

2019年度に新設されました。働き方改革に取り組む上で、人材を確保することが必要な中小企業が、新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合に助成を行うものです。

下記の要件を満たす必要があります

  • 雇用管理改善計画に基づき、雇用管理改善計画の開始日から6か月以内に対象労働者を新たに雇い入れ、雇用管理改善を実施すること。
  • 対象労働者を1年を超えて雇用しており、かつ、計画開始日の前日と雇用管理改善計画期間の末日の翌日の雇用保険被保険者数を比較し、人員増となっていること。

他にも計画達成助成・目標達成助成ともに、労働者の適切な雇用管理に努める事業主であること、同一事業主の全ての雇用保険適用事業所において事業主都合による解雇等していないこと、各計画期間中の離職率が30%以下であること等の要件があります。
また、技能実習生は、この助成金の対象労働者に含まれません。

2019年度職場意識改善助成金

国は働き方を法的に整備しただけでなく、働き方改革を推進している企業に対しては助成金を支給しております。
この制度は中小企業における労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善を促進するため、職場意識改善に係る計画を作成し、この計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業の事業主に助成金を支給するというものです。
「ワーク・ライフ・バランス」実現のため、週労働時間60時間以上の雇用者の割合5割減、年次有給休暇取得率70%の達成(2020年目標)を目指しています。 この助成金には5つのコースがありますので、申請内容にあったコースに申請する必要があります。

所定労働時間短縮コース

このコースは所定労働時間を短縮する努力をした中小企業を対象に支給される助成金です。
目標として「事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とする」が条件となっております。

時間外労働上限設定コース

労働時間の上限を設定する取り組みを行っている中小企業を支援するコースです。
目標として「事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、労働基準法第36条第1項の規定によって延長した労働御時間数を短縮して、限度基準以下の上限設定を行うこと」が条件となっております。

勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバルに取り組んだ中小企業を支援するコースです。
勤務間インターバルとは「休息時間数を問わず、就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を言います。
成果目標として、事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、以下の取組を行います。

  • 新規導入
    勤務間インターバルを導入していない事業場において、事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とする、休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルに関する規定を就業規則等に定めること
  • 適用範囲の拡大
    既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下であるものについて、対象となる労働者の範囲を拡大し、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象とすることを就業規則等に規定すること
  • 時間延長
    既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場において、当該事業場に所属する労働者の半数を超える労働者を対象として、当該休息時間数を2時間以上延長して休息時間数を9時間以上とすることを就業規則に規定すること

職場意識改善コース

ワークライフバランスを推進するための制度で、労働時間や有休消化率の改善度合いに対して助成金を受給することができます。「週労働時間60時間以上の雇用者の割合5%」「年次有給休暇取得率70%の達成」が掲げられています。

要件は以下となっております。

  1. 前年の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって、月間平均所定外労働時間数が10時間以上
  2. 特例措置対象事業場の場合は、所定労働時間が週40時間以上44時間以下
    (商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業など、常時10人未満の労働者を使用する事業場)

団体推進コース

団体推進コースは中小企業団体や事業主団体を対象とし、事業主が時間外労働の削減や賃上げなど、労働環境の改善についての取り組みをおこなった場合に助成を受けられる制度です。

3事業主以上で構成される事業主団体や共同事業のうち、主事業主団体を構成する企業の半数が労働環境改善の取り組みをおこなうことが要件となっております。

テレワークコース

このコースは在宅やサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを推進する中小企業を支援するコースです。
仕事と育児や介護の両立、通勤負担の軽減などを推進することを目的としています。

成果目標と対象の取り組みは下記となっております

  • テレワーク用通信機器の導入・運用
  • 保守サポートの導入
  • クラウドサービスの導入
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者や労働者に対する研修・啓発
  • 対象労働者全員が1回以上テレワークを実施する。
  • 対象労働者のテレワーク実施日数を週間平均1日以上にする。
  • 年次有給休暇の年間平均取得日数を4日以上増加または、月間平均所定労働時間数を5時間以上削減させる。

支給額について

2019年度IT導入補助金支給額は最大450万円

補助事業にかかった費用の半分(最大450万円)と、上限金額が引き上げられました。900万円のITツールを導入した企業は450万円受給することができるため、大規模なITツールを導入する企業にとっては効果が大きい半面、予算が前回の5分の1に引き下げられました。そのため、採択率が大幅に低下し、約6,000社の企業しか受給できない可能性があります。

申請方法

指定の用紙を各都道府県労働局雇用環境・均等部に提出します。
助成金には締め切りもありますので、注意が必要です。
申請を行い計画期間内に助成要件を満たすことで助成金が支給されます。


IT導入補助金の場合webサイトからポータルに登録し、指定の事業者とツールを選択し、採択を受けツールやシステムの導入を行うことによって、補助金を受け取ることが出来ます。

働き方改革関連法案対応すべきポイント

働き方改革関連法案に対応する5つの方法

働き方改革関連法案

2018年6月29日、参院本議会で「働き方改革関連法案」(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)が可決・成立しました。
同法案は、雇用対策法、労働基準法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法、じん肺法、パートタイム労働法(パート法)、労働契約法、労働者派遣法の労働法の改正を行う法律の通称となっております。
働き方改革の総合的かつ継続的な推進、長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保の3つを柱とし、2019年4月1日に施行される各法案に向けて対応が必要となります。


法律改正の内容

働き方改革関連法は、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、雇用対策法などを含む8つの法律を一括して改正するもので、影響は広範にわたり、それぞれ対応する必要があります。
新たに罰則などを設けていたり、業務内容によっては届出が必要になるため対応する必要があります。

1.労働時間を月45時間未満、年360時間未満にする

一部職種を除き、時間外労働の上限が月45時間未満、年360時間未満となります。
罰則も存在し、上限を超えた場合雇用主には半年以下の懲役または、30万円以下の罰金が科されます。 労使協定を締結した場合にはこれを超えることが出来ますが、その場合、労働時間適正把握ガイドラインによって細かく規定されていて、

  • 月100時間未満
  • 年720時間未満
  • ただし、月45時間を上回る回数は年6回まで、連続する2カ月から6カ月平均で月80時間以内

となっていますので、基本は原則を超えないよう設定し、万が一に備え労使協定を結んだ上で、ガイドライン以下で設定を行うべきでしょう。

2.勤務間を8時間以上空ける

過重労働による健康被害予防のため、勤務の終業時間と開始時間の間を、一定時間空けて休息を確保する制度として、勤務間インターバル制度の普及促進がなされます。 先行して導入している企業は、8時間、8時間+通勤時間、10時間など、独自のガイドラインを設定して運用しています。
「仕事の疲れを翌日に残さない」というのは、個人や業種によっても異なりますので、自社の勤務をしっかりと鑑みた上で、インターバル時間を設定するのが良いでしょう。

3.年間5日以上の年次有給休暇を取得させる

この度の法改正で、年次有給休暇の取得日数が5日と義務付けられました。
取得しない場合、させ無い場合は罰則も存在する大変厳しい改正です。2019年の4月1日より施行されますので、勤務の記録と有給休暇取得日の設定を必ず行いましょう。
記録と集計の負担を減らせるよう、入力しやすく、集計しやすいシステムを導入すると良いでしょう。

4.産業医・産業保健機能の強化

企業が労働者の健康を適切に管理するため、事業者における労働者の健康確保対策の強化、産業医がより一層効果的な活動を行いやすい環境の整備することを求める制度。
「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」および「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者(高度プロフェッショナル労働者)」への医師の面接指導を行わなかった場合、罰則の対象となります。

5.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明が義務化される。

上限が明確に

働き方改革関連法の成立により、時間外労働の時間上限値が明確になりました。
これまでのルールでは罰則がなかったことや、抜け道(特別条項)を使うことで無制限となっていましたが、
必ず制限が設けられるようになったので注意が必要です。
適正な労働時間の把握・管理、長時間労働をさせない業務体制を早急に整備する必要があります。

ただし、高度プロフェッショナル制度にみられるように特定の専門性の高い人に対しては、高い給与を与えることと定期的な産業医検診を受けることを前提に、時間外労働の上限が適用されない特殊なケースが残ります。

早い段階での対応を

各改正事項が施行される時期はそれぞれ異なるため、企業の労務管理担当者はそれらの時期に合わせて準備を進めなければならなりません。
中小企業の適用猶予はある程度設けられておりましたが2020〜2023年にかけて中小企業向けにも順次執行するため今のうちからでも対応を検討する必要があります。
しかし考え方によってはこれを機会に生産性を高めることや効率化により業績を改善するための見直すチャンスでもあります。
比較的有利な状況で法改正に対応できる可能性があります。

勤怠管理の効率化

今回の労働時間把握義務が、労働基準法ではなく、労働安全衛生法側に定められたことも、健康管理のための労働時間把握が重要であると立法者が考えていることが示唆されます。 サービス残業はもちろんのこと、過労死ラインを超えるような長時間労働に対する労基署の取り締まりも、実務上厳しくなってくると想定されますので、企業規模問わず労働時間把握義務への対応は必須です。
また、中小企業においては、紙のタイムカードを使っていたり、出勤日に押印をするだけの出勤簿を使っている会社も多く、労働状況の把握という面で実態との剥離が起きやすい、集計効率が悪いなどの問題があります。 システムを用いた勤怠管理システムの導入をすれば、記録された打刻に基づき、リアルタイムで労働時間や残業時間が集計され、管理者はその時点での状況把握をすることができます。 リアルタイムで労働時間が可視化されれば、改善を促しやすくなり労務管理の精度が向上します。

働き方改革における会社の問題点

働き方改革における会社の問題点

忙しい仕事

働き方改革がうまくいかない企業の背景と課題

働き方改革において生産性向上ばかりを求められ現場が混乱したという方も多いのではないでしょうか。
職場環境や成果は急に変えられるわけではなく、背景と課題を理解し職場環境を改善することで、効果が現れます。
働き方改革を実行できない、効果が現れない会社の問題点を紹介します。


長時間労働の背景

日本の職場環境は長時間労働になりがちで、また長時間働いたほうが評価されるという風潮が根強く残っており帰りづらい、みんな残って当たり前という空気があります。また安く高品質というアンバランスな仕事が横行しているため必然的に割に合わない多くの仕事が多い傾向にあります。
また残業代を出さずに残業を強要するブラック企業の存在が長時間労働と過労死に拍車をかけています。

参考記事

帰りづらい職場とアンバランスな仕事量

日本企業にはまだまだ帰りづらい職場があります。
「みんなが仕事をしているから」「上司が帰らないから」など、自分の仕事が終わっていても、帰れない雰囲気があります。
このような職場の雰囲気が長時間労働につながっています。
また仕事量が多すぎて定時で終わる仕事量ではなく、残業前提の仕事量となっているため、長時間労働になっています。

強制退社で持ち帰り残業

働き方改革を早く帰らせる事と誤って認識している企業も少なくありません。早く帰らせるだけで残った仕事のフォローをしない企業も出てきてしまっており、所謂ジタハラとして問題化しています。また、個人にノートパソコンを付与して仕事を持ち帰らせることによって残った仕事を自宅でやらせると同時に残業代をカットするという持ち帰り残業を共用する企業も出てきており、以前と変わらないどころか悪化させてしまう要因となっております。

このような残業前提の環境では働き方改革の効果が得られません。
安易な時間短縮や残業禁止だけでは根本的な解決にはならず、むしろ現場の負担が増加し生産性が低下してしまいます。
多数の人材による長時間労働によって現場が成り立っている場合は、なぜ長時間労働が起きているのか、その対策を含めて分析する必要があります。

仕事

改善のためには

ここ数年は上記のような職場は定着率が低下しており、多くの社員が他の職場に流れるということが多くあります。
働き方改革による生産性の向上に対応できず、環境を改善できない職場は淘汰される傾向が強くなります。

無駄な業務を削減すること、仕事の分散方法、業務の可視化を行い常に注視しながら環境の改善に取り組む必要があります。

働き方改革の事例 参考記事

働き方改革の継続

せっかく働き方改革に基づいた施策を行っても継続できなければ意味がありません。長期的に行うことによって働き方改革の効果が明らかになるため継続が重要になってきます。

定着させるために

思ってたより効果がなかった、施策に対して評価が上がらないなどで頓挫してしまう企業も多くあります。
しかし、そのような企業は何が悪いのか、どのように運用するかなどの施策や調査が足りず、
また問題があっても検証が十分に行われないなどの問題があり、継続して行うのは難しい状況にありました。
働き方改革の施策は長期的に運用する事によって効果が現れるものや適切な運用を行う事で効果が現れるものがあり、
適切に検証し改善を行う事、継続させる事によって効果が実感できるようになります。
また、短時間での成果や効率のいい働き方に対して評価する企業風土を浸透させ、従業員全員に意識させる必要があります。

一人ひとりが意識することも重要

働き方改革に基づいた業務の改善を定着させるためには、一人ひとりが働き方改革に基づいた働き方を行い、企業に浸透させる必要があります。
例えば、課題管理ツールを用いて自分の業務スケジュールを立てさせ、どのように業務をこなせば効率よく業務を行えるかなどを考えさせる事により、効果的に効率的な働き方を浸透させる事が出来ます。
ツールを用いて情報の共有、スケジュール管理を行う事によって今まで無駄だった業務を削減する事にもつながり、また従業員が働き方改革に参加しているという自覚を持たせる事によって、企業、従業員共に効果を実感しながら行う事ができます。

残業時間の平均 参考記事

一人ひとりの取り組みも重要 残業をなくす環境づくり

政府が行おうとしている長時間労働の対策などもありますが、個人個人が残業を減らすという努力も必要になっていきます。一人ひとりが取り組む事によって、長時間労働に対する疲れを和らげたり、僅かに効率化を図ることが出来ます。

休憩時間を取る

休憩は疲れた体と心をリフレッシュさせ、仕事の効率をアップさせるためにも非常に有効です。休まずやるよりも休んで集中してやったほうが結果として生産性が向上します。仕事の効率の向上は、長時間労働の削減にもつながります。また8時間以上の労働の場合1時間の休憩を入れることが労働基準法で義務付けられています。

集中する時間を設ける

人間が集中できる時間は、約50分と言われています。集中する時間と休憩をうまく組み合わせて、リフレッシュをしつつ仕事の効率アップを実現することが望ましいと考えられます

定時で帰る

その日のうちに終わらせなければならないなど余程切迫しているような状況でなければ周りを気にせず帰ってしまうというのが一番シンプルな対策ともいえます。誰かが定時帰ることによって早く帰る風習ができる可能性もあります。

まとめ

働き方改革は施策によっては早急に効果が出るものではなく、またしっかりした調査、準備をもって行うものであり、また会社、社員の意識を変える必要があります。無理な改革を進めると、混乱を生み出すことになり、組織としての方向性を見失い、社員は去ってしまいます。
また、働き方改革が多様な価値観を認めることを推進しているため、それぞれの企業や個人の多様な働き方を見た上で施策に反映する必要があります。

業務の可視化

業務の可視化

可視化の必要性

働き方改革を行う際、各社員の動向、業務内容を把握する必要があります。
業務状況を把握することによって、無駄な業務の洗い出し、各社員の業務効率などを洗い出し、
課題を具体化させ効果的な施策を検討することができます。

働き方改革に基づいた改善を行っても、社員の動向が不明なままだと効果が現れない、課題の設定が難しくなるなど根本的な改善につなげることができません。

よくあるのが「仕事の無駄を削除する」ための可視化です。
残業時間を削減することが目的で、残業を減らすことで結果的に支出が削減できるため、一時的に企業利益が上がります。
しかしながら、実際には社員は自宅に持ち帰って仕事をしているケースがあります。
業務の時間が少ない中においては 生産性が高まらない限り 売り上げは向上しない他、生産性が上がらない原因が突き止め切れていないため長続きしません。

可視化は現状の把握を行う上で必須でもあります。

業務状況の把握による効率化

働き方改革において成果が上がらない要因として、
社内の状況、社員同士の動きがわからないという業務の不透明性があります。
これらを可視化するためにCRMを用いた業務の報告、業務状況の把握が効果的です。

CRMの目的は、顧客それぞれに最適な製品・サービスを提供して顧客満足度を高め、顧客と良好な関係を構築して顧客の購買行動を維持することです。
そのために、CRMには顧客に関する詳細な情報を正確に蓄積していきます。

顧客情報の共有、顧客とのやり取りを社内で見える状態にすることによって、個々の課題の設定や、状況の共有を行いより円滑な営業を行うことができます。

各個人の業務状況の把握し、状況に応じて対応、また解析することにより効率化や生産性の向上に繋がります。
社員同士の状況の把握をシステムにより可視化しより良い職場環境を作り上げることが出来ます。

業務状況の可視化、解析のためのツール、システムはもはや働き方改革の実現のために不可欠な存在です。

可視化による無駄なリソースの削減

業務を可視化することによって、今まで行っていた仕事の中での優先順位や無駄な業務を洗い出すことが出来ます。
そこから出てきた業務内容を見直すことによって、業務内容を改善し、より効率的に業務を行う事ができます。
また他の業務を第三者が見ることによって、業務の改善を提案するなどの環境が出来、一人一人が進んで業務の改善に取り組む環境を作ることが出来ます。

現状の把握と改善

働き方を改善する中で、高いパフォーマンスを出す社員と、そうでない社員との差が出てきますが、可視化することによって高いパフォーマンスを出す社員と、そうでない社員の働き方を比較し、それぞれの対策や傾向を元に業務を改善する事が出来ます。極力パフォーマンス差をなくすことによって質の高い仕事を実現することが出来ます。

働き方改革のメリット

働き方改革のメリット

働き方改革とは

働き方改革とは、人口の減少に伴い、経済規模や社会保障の維持が困難になることが予測されることから 、年齢を問わず、誰もが働きやすい社会をつくり、法令や社会慣行などを変えていき、働き方や暮らし方を改善していこう、という取り組みが働き方改革です。
政府による法改正や施策、企業の取り組みよって、 労働人口減少と長時間労働問題の両方の側面を解決することによって労働生産性の維持、向上を目指しております。

企業から見たメリット

働き方改革の取り組みは作業の効率化に繋がります。 仕事にメリハリを付けることにより短時間でより多くの成果をあげることができます。 仕事に安定感が出来、安定した従業員の確保が可能になります。
誰もが働きやすい柔軟な会社であれば、 社員の定着率も向上し、新しく入社してくる社員も自然に増えてきます。

既存の社員が働きやすい環境にすることによって自然と誰もが働きやすい職場環境となります

無駄な業務の削減

職場環境を見直すことにより無駄な業務を削減することによって、その分を他の業務に当てられるようになり、効率化につながります。

離職率の抑制

働きやすい職場環境を整えることにより、社員の離職率を抑制することが出来ます。社員を定着させ、またその中で成長させることによって、生産性や業務効率が向上します。

社員のメリット

柔軟な勤務形態や就業形態が認められれば、仕事の時間が減らすことができ、 育児や介護中に時間に充てられます。 仕事の時間を削減した分、社外の研修などを受講して能力向上に繋げることができるほかプライベートの時間も出てくる為、その時間を使った消費行動により経済活動が活発化します。

正規雇用従業員・非正規雇用従業員の待遇格差解消

雇用形態の違いによる賃金格差の解消が働き方改革法案に盛り込まれており、賃金格差の是正を行うことが企業に求められております。

長時間勤務・残業の削減

残業時間の上限が月45時間、年間の上限が360時間に明確に制度化することにより、長時間労働を削減します。

働き方改革を効果的に行うことによって 経営者と従業員相互にメリットを生み出すことが出来ます。

働き方改革事例

働き方改革の事例

働き方改革の取り組み

働き方改革に向けた取り組みと言ってもどのように行うかがよくわからない方が多いと思います。
働き方改革における職場環境の改善はただ単に勤務時間を減らすということではなく、誰もが働きやすく、効率的で生産性の高い職場環境を構築することを指します。
そこで参考になる、事例を幾つか取り上げ、実際に行われた取り組みをご紹介いたします。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • AIを用いた自動化
  • 在宅勤務
  • 残業時間の削減

働き方改革事例

短時間勤務制度の事例

短時間勤務制度とは育児や介護にたずさわる社員を対象に、勤務時間を30分、あるいは2~3時間ほど短縮する制度です。
ただしルールが固定化した短時間勤務では、充分に活用されず浸透しません。
時間短縮パターンを複数設定した上で状況によって柔軟に対応させ、また情報共有の徹底と1業務を複数担当にすることによって、業務に支障を与えることなく、実現することが可能です。

ブラザー工業では、小学校4年生までの子どもの養育ならびに家族の介護を行う社員を対象に、1日の所定労働時間7時間50分を 5時間50分、6時間50分のいずれかに短時間勤務短縮できる制度があります。

短時間勤務はフレックスタイム制と組み合わせることで、選択の幅を広げ、より多様な働き方に対応できるようにしている企業が多くあります。

フレックスタイム制度の事例

1か月以内の期間で総労働時間を規定し、その枠内で始業・終業時間を自由に決定できる仕組みです。
以前から導入している企業が多かったですが、働き方改革に向け導入企業が増えております。
1日のうちで必ず勤務するコアタイムを指定し、それ以外の時間は始業・就業を自由に規定することができます。

大京の場合、始業時間を9:30、10:00、11:00、13:00、自由設定の中から選べるようになっています。
また日産の場合、業務・職種によりますが、コアタイム設定のないフル・フレックスを実施しています。

AIを用いた働き方改革の事例

大同生命保険では支払査定業務にAIを導入し業務の効率化を行っており、将来的には全事務業務に適用される予定です。

企業規模が大きい上場企業では、人工知能などを用いた自動化などが積極的に行われております。
IBMのワトソンはライトプランであれば無料で利用することが出来、導入のハードルが年々低くなっているのが特徴です。
将来的に些細なタスクはすべて自動化されることが想定されます。

在宅勤務

テレワークなど、場所を選ばずに業務を可能とするテレワークも効果が高く、通勤時間、オフィス費用の削減、休業からのスムーズな復帰支援、障害者雇用に利用出来ます。
ただし在宅の場合情報漏洩などのセキュリティリスクの防止を徹底する必要があります。
在宅勤務は、通勤の疲労がない状態で業務を行うことが出来るためモチベーションの維持、また常に仕事に取り組むことが出来る環境が出来るためワークライフバランスの向上が期待できます。
特に育児をしながら仕事をする人、介護を行いながら仕事をする人など都合上会社に出勤できない人にとっては在宅勤務は大きなメリットとなります。

残業時間の削減事例

「働き方改革」の柱である長時間労働の削減は、日本企業の多くに課せられたテーマでもあります。
長時間労働を削減するために、業務フローの見直し、残業の事前申請化、残業恒常化の要因分析と対策など、原因と対策を行うことが重要になります。
今までの事例や取り組みと組み合わせることにより、実現が可能となります。
トヨタ紡織は、ノー残業デーを設定、ただノー残業デーを設定しても浸透しにくいという理由で「コミュニケーションデー」と称し、帰宅後に家族などとのふれあう時間を作ると言う意味合いもあります。

大同生命保険では原則19時に全員退社を徹底しており、pcが強制シャットダウンされますが、残った業務が持ち帰りになるなど仕事の削減という点では、まだ問題が多く残しております。

働き方改革の効果? 現状の残業時間

残業時間平均

マイナビの調査では2018年の残業時間は2014年から5年連続で減少し、調査開始時の2012年から18時間の減少の平均28時間となっておりました。ワークライフバランスの実現は大手企業が率先して行っている他、人材不足が叫ばれる業種に関しても人材確保に向けた健全な労働環境づくりに取り組んでいます。

これまでの長時間労働が当たり前だった職場において社員の働き方を変えるために、企業は長期的な取り組みが求められいます。

参考記事

しっかりと定着させる

このような働き方改革の成功事例は社員の働き方改革に対する理解と徹底が必要になっていきます。いくらルール作り、制度をしっかりしても定着せず利用されなければ意味がありません。

制度を支える仕組みを充実させて定着させる

働き方改革における施策を浸透させるために、専門家を招いて講演を行い、自信をもって働き方改革を推進する機運を高めるなど、制度そのものと制度を支える仕組みを活用することによって社内に定着させることが出来ます。またツール、システムの導入によって働き方改革を行う場合はツールの使い方、運用の方針を決め、教育する必要もあります。ツールは導入して終わりではなく運用や利用状況を随時確認することによって効率化と定着を図れます。

目標を設定する

具体的な数値を決め、具体的な目標を課する事によって、明確に何をすればいいのかが具体的になり、社員一人ひとりに明確な目標意識が根付くことによってより定着しやすくなります。また目標は最初のうちはハードルを低く設定し徐々に高くすることによって段階的に働き方改革に基づいた働き方にすることによって自然と定着するようになります。

システム化で定着を促す

可視化と共有で効率化 意識作りに効果

社内のシステム化も働き方改革を後押しする一因となっております。SFA、CRMなどに代表されるスケジュール、営業管理ツールは働き方改革における効率化、見える化に大きく貢献しております。

スケジュールの共有と可視化によって、急な欠員や引き継ぎ、業務の変更の際にスムーズに対応することができる他、管理者が従業員の動きを把握することが出来、今後の業務の方針を定めやすくなります。

初期投資は大きいですが、長期的な効果とコストパフォーマンスは高いと言えます。

SmartRPA

働き方改革が定着しない理由

これまでの常識が染みついてしまっている

例えば、上司よりも先に帰れないという雰囲気が社内にあったり、残業をしていると評価されるというような長時間労働を肯定する傾向があったりすると、いくら退社を促してもなかなか浸透しにくくなってしまいます。 まずは、これまでの常識や習慣を見直し、新しい空気を作っていく事が必要です。

負荷の把握が出来ていない

デスクワークは、仕事の量が目には見えづらく、机の上の紙の量で何となく推察する事も出来ますが、整理できていないだけでそこまで仕事を抱えている訳ではないというケースもあります。もちろん、働き方改革は重要ですが、それも今抱えている業務の整理が出来てこそです。 業務量が個人や時期で偏ってしまっていたりすると、働き方改革への意欲はあっても、取り組む事は難しくなってしまいます。

働き方改革には、現状の把握と意識の改革が必要

働き方改革を行うには、まずは現状の把握が第一に必要です。今この会社にどういった問題があるのか、そして何が必要なのかを改めて検討していく必要があります。現状の把握が出来ると、次第と対策や必要なものなども見えてくるようになり、徐々に働き方改革が社内に定着していきます。

まとめ

今回は、実際の企業事例をもとに、働き方改革の取り組みを紹介しました。
働き方改革実現に向けては、この事例を参考に自社に合わせてやってみる他、
「現状の把握と目標設定」→「目標を達成できる手段を選択」→「検証と改善」の3ステップで進めていくことによって、
どのような取り組みが合っているのか、効果的に実現可能か検証して行うことにより、
効果を高めたり会社に合わせた導入を行うことができます。
企業、従業員が積極的に意見し参加することによって、その企業にあった双方にメリットのある働き方改革が実現できます。