女性の社会進出の歴史と課題

女性の社会進出の歴史と課題

女性の社会進出の歴史と課題

国際条約批准から始まった男女平等への取り組み

1985年に制定された男女雇用機会均等法は、国連が採択した女性差別撤廃条約を日本が批准するために必要となり、作られたものです。国連の働きかけと外圧がなければ、女性の社会進出は進んでいなかったかもしれません。 それ以前は、男女で採用条件や待遇を変えることが禁止されていませんでした。女性だけに結婚したら退職や30歳で定年などの条件を課して雇うことが、少なからず行われていました。

男女雇用機会均等法

この男女雇用機会均等法は募集や採用時に男女を均等に考えること、昇進や、定年・退職・解雇などについて女性であることを理由に男性と差別することを禁止するものです。かつては結婚や出産を理由に退職を迫られることも少なくなかったようですが、男女雇用機会均等の制定により、徐々に企業側の意識も改革されていきました。 均等法は、定年・解雇については性別による差別を禁止、募集・採用及び配置・昇進については差別を行わないことを努力義務としましたが、1997年の法改正でこれらも禁止になりました。

女性の社会進出はいつから?

日本の女性の社会進出は遅れているとよく言われますが、日本の女性の社会進出の歴史はどうなっているのでしょうか?

明治維新、西洋化がきっかけ

日本女性の社会進出は明治時代から糸工場で働く女性を皮切りに、教師・医師・看護婦といった専門職に女性が就きはじめるようになり、1912年~1926年の大正時代には、第一次世界大戦による経済成長で新分野の仕事が生まれ、女性の就労機会は広がっていきました。事務員・タイピスト・電話交換手・百貨店店員などの仕事に就く職業婦人が登場しました。しかし民法による家系制度による制約や学歴、身分による制約により平等とは言い難い状況でした。

本格的な整備は戦後から

1945年に終戦を迎えると、同年、婦人参政権が成立。1947年には賃金や就労時間などの労働条件に関する最低基準を定めた労働基準法が公布されました。1954年~1973年の高度経済成長期には事務職が大幅増加し、短時間労働で働くパートタイマーが出現。職場での男女格差が問題になると、その対策として1985年には男女雇用機会均等法が制定されました。

仕事と子育ての両立支援が本格化

1992年からは育児休業法が制定され、まずは常用雇用者に対して1歳までの育児休業が保障されました。これは、1989年に合計特殊出生率が過去最低の1.57を記録し、その後もさらに低下が続いたことから出てきた出生率向上策です。 その後も、育休の適用範囲拡大、育休中の給付割合の増加、短時間勤務や時間外労働の免除など、規定の内容が充実し、両立支援は手厚くなりました。

なぜ日本は遅れているのか

国連が採択した女性差別撤廃条約を批准するまで国策レベルでの女性の社会進出と就業支援に関して消極的でした。なぜここまで遅れているのか、そこには日本特有の事情がありました。

男女の役割分担意識

男女格差がなくならない要因として多く挙げられるのは、男は仕事、女は家庭という性別役割分担意識がいまだに根強いことです。 背景には夫が稼ぎ、妻は家事を担いつつ家計を補うという古いモデルを前提にした制度や慣習が会社や社会全体に残り、女性が正社員として働き続けることが難しい現状があります。
また、男女の役割分担意識は、女性を働きにくくさせるだけでなく、男性が家事に携わることも難しくします。 日本の男性の家事・育児時間が諸外国と比べても短いことは有名ですが、これは当人のやる気の問題以上に、男性の仕事が忙しすぎることや、家庭のことは女性がきちんとやらなければいけないという考え方に女性も含めて囚われているという問題が大き面があります。

女性活躍推進、正社員化の動き

政府も問題があることは理解しています。そうした中で働き方改革で長時間労働を是正しようとしたりしているわけです。 そして、企業に対するより直接的な働きかけとして2016年4月に女性活躍推進法を施行しました。これを受けて管理職に占める女性の割合を増やすことを目標にする企業が増えています。そのためにはまず管理職候補を育てなければなりませんから、一般職を総合職に、あるいは非正規社員を正社員に転換するという動きも出てきています。 また、少子高齢化による人手不足への対応としても、非正規社員の正社員化に取り組む企業が増えています。 なかでも、勤務地限定や短日・短時間勤務などを認める限定正社員」というコースを作って、これまではやむを得ず非正規の仕事を選んでいた人たちを呼び込み、つなぎとめようとするケースが目立ちます。

まとめ

日本において女性の社会進出は戦後以降大きく進みました。しかし、女性の社会進出にはまだ多くの課題や理解が必要な状態です。働き方改革においても女性活躍社会は重要な課題となっていますので、古い価値観の淘汰、さらなる施策の継続と理解が必要となっていきます。

実は激務? 働き方改革における公務員

実は激務? 働き方改革における公務員

労働基準法は公務員には適用されない

労働基準法・労働安全衛生法の適用対象者は職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者とされていますが、一部適用を除外されている人たちがいます。それは、公務員や船員などです。しかし、適用除外とされた公務員はまったく労働法制がないのかというとそうではありません。労働基準法は適用されませんが、公務員は国家公務員法、地方公務員法などによって別に定められています。

働き方改革関連法が公務員に与えた影響

働き方改革関連法案が提出されたことを受けて、人事院は国家公務員の時間外労働(残業)規制に乗り出し2019年2月には人事院規則が改正されることとなりました。人事院規則の改正内容は

  • 時間外労働の上限規制:1か月について45時間、かつ、1年について360時間までと改正
  • 時間外労働の上限規制(多忙な部署):1か月について100時間、かつ、1年について720時間までと改正

地方公務員においては各自治体の取り組みとして、時差出勤を実施している自治体が出始め、公務員の働き方改革が進められています。尚、国家公務員は2016年より一部フレックスタイム制が導入されています。

ブラックな面もある公務員

公務員は国や地方自治体に雇用されていますので、民間企業のように雇用主が潰れることはないため、失業を心配することなく定年まで安定して働くことができます。しかし公務員の働き方について定時で上がれるというイメージもありますが、こちらはイメージ先行と言わざるを得ないでしょう。実際のところ、公務員の仕事は忙しいです。例えば人事院規則15-14第16条を見ると、原則的には定時で仕事を終え、職員に残業させる場合は健康や福祉に配慮するようにすることという定めがあります。しかしこれはあくまで原則で、災害その他避けることのできない事由に基づく臨時の勤務が生じた場合はその限りではないと定められている訳です。
不夜城と言われることもある霞が関において、一部官僚が泊まり込みで職務に当たっているのも避けることのできない事由によって働いているのが現状です。特に国会が開かれている時には、政治家の答弁を作るために多くの時間を割くことになります。
また、災害時に消防庁や防衛省、警察庁や各地域の警察の職員等が不眠不休で働かざるを得ないこともあります。もちろん忙しいのは国家公務員だけではなく地方公務員も同じで、有事の際には、国民や市民、区民に奉仕するために職務を全うするために働いています。

地方公務員の残業時間問題

2015年度の都道府県と主要市における常勤職員1人当たり残業時間は158.4時間でした。残業時間が158.4というと月に13時間程度の残業時間ですから、多くはないように見えますが、総務省の同じ調査で民間企業の2015年度の残業時間が154時間だったことを考えると、民間企業より多い残業時間になります。(国家公務員は233時間)また地方公務員の出退勤時間については職員の自己申告制です。したがって総務省が調査した残業時間が過少に申告されている可能性があります。

公務員の新しい働き方

公務員にも働き方改革の影響は及んでいます。緊急事態や災害時の場合残業時間は多くなりがちでテレワークやフレックスタイム制等の新しい働き方をする必要が出てきています。

公務員のテレワーク

公務員でもテレワークも積極的に推進されています。 内閣官房IT総合戦略室・内閣人事局が公開した2018年度における国家公務員テレワーク実績等の結果によると2018年度の国家公務員のテレワーク実績は、前年と比べて以下のように増加しています。

  • 2018年度のテレワーク実績:9,868人(前年より49%増)
  • 2017年度のテレワーク実績:6,635人

データを見てみると職員総数に占めるテレワークの割合は18.3%でした。国家公務員がテレワークを通じて行っている仕事は資料作成が多いです。しかし、その他にも渉外業務や報道対応等、人と人とのやり取りが必要な仕事でもテレワークで行っていました。国家公務員の働き方は着実に変わってきていると言えるでしょう。

フレックスタイム制

国家公務員は2016年にフレックスタイム制が導入されるなど、働き方改革を積極的に推進しています。ただし、副業解禁においては「公務員には守秘義務、職務専念が課せられており、副業は信頼失墜行為にあたる」とされており、一部の例外を除いて未だに厳しく制限されています。

霞が関働き方改革推進チーム

国家公務員の中でも特に官僚の残業時間の問題は深刻でこのままでは大量離職に繋がり国の運営が成り立たなくなってしまう危険性があり、政府は霞が関働き方改革推進チームを策定し、対策に乗り出しています。それ以前にも下記の施策を行っております。

  • リモートアクセスとペーパーレス化
  • マネジメント改革
  • 不要業務の見直しと業務負荷集中の回避
  • 国会関係業務の改善

まとめ

国家公務員が働き方改革に積極的に取り組むなか、副業解禁や完全フレックスタイム制の導入などを進める地方自治体も少しずつ増えています。 働き方改革による労働環境改善の動きは、民間企業だけではなく国家公務員、地方公務員においてさらに活発になると予想されます。

脱はんこによる働き方改革

脱はんこによる働き方改革

政府主導で大幅に前進 脱はんこ

菅内閣発足直後に行われた官公庁、行政の押印廃止が大きな話題となりました。
確認と承認の意味や、セキュリティー面でも意味を持つ押印作業ですが、一承認の意思を残すことが目的であれば、その形式ははんこにこだわらなくてもよいのでは?という意見も多く現在の承認作業自体がそもそも本当に必要なものなのか、別の承認スタイルを検討する余地はありそうです。

なぜ脱はんこなのか

はんこ文化は日本の商習慣において広くそして深く浸透しています。しかし働き方も多様化し、各ITツールも充実している現在において、はんこ文化は本当に必要なのでしょうか?

押印のためだけ出社しなければならない

テレワーク中も押印のためだけにやむなく出社という本末転倒な状況が発生している事が以前大きな話題となりました。また、本社の他に支部や支所、店舗を複数持つような他拠点企業では押印のために移動をしたりすることもあると言います。押印のために本業の時間を潰してまで複数の拠点を行ったり来たりするのはその分時間を無駄にしており本業の生産性を下げていると言えます。

押印がないとワークフローが進まない

ワークフローや業務プロセスを進める際に押印が必須だと、前段で触れたようなわざわざ押印のために移動が必要だったり、押印のための何度も同じ説明をしなければならなかったり、様々なムダが発生してしまいます。押印前の根回しから押印のための移動や待ち時間、押印後の書類提出と管理で「仕事」とも言いづらい業務が発生しているのが分かります。こうしたムダは省きたいものの、押印が必須であり、押印のリレーを繋がなければ意思決定ができないため止むを得ず本業を後回しにしてでも対応しなければなりません。

ペーパーレスが進まない

はんこ文化はそのままペーパーレスを妨げる原因となります。ペーパーレスが進まなければ結局はその書類が物理的にある場所で仕事をし、回覧や共有・決裁をしなければならないので、出張等での不在時に対応ができない、あるいは他拠点の場合は決裁のために郵送しなければならないといった手間が増えます。また紙の書類は保管・管理業務も手間がかかります。保管スペースをとる上、ファイリングやラベリングといった管理のための業務が発生します。こうした保管・管理業務がひいては、社内文書全体によく関わるバックオフィスの負担となり、バックオフィスの生産性を低下させます。

はんこの役割

はんこの目的は、承認者が承認するという意思を記録として残すことになります。大企業であればあるほど、こうした文化が根強く残っています。 しかし、働き方改革推進の背景で急増するテレワーク化においても、はんこがもたらしている紙媒体の必要性は大きな課題の一つ。本業以外の時間と労力を費やし、ペーパーレス化を妨げるはんこは再考の時期に突入しています。 例えば電子化された書類は、承認印を押すために一度プリントアウトし、押印。それをスキャンし、再度電子化して保存。さらに、念のため紙書類をオフィス内に保管することも。当たり前に行われている光景ですが、改めて考えてみると手間と無駄が多いです。

セキュリティとしてのはんこの限界

印鑑を認証手段として利用することのリスクは明らかに高まっており、例えば押印からはんこを複製されてしまうということがあります。 またこれまでにも本人以外が代理で押印できてしまうことは問題となっており、高齢化社会により、家族が通帳と印鑑を持ち出して本人の同意を得ずに預金の引き出すといった問題も多く発生しており、金融機関では身分証明書提示などで本人確認を実施する運用が一般化しています。本人確認のためのはんこなのにそれ以外の証明が必要なのは本末転倒です。

電子印鑑とは

そうした背景から登場したのが電子印鑑です。 電子印鑑は、その名の通りデータ化されたハンコのこと。PDFなどの電子書類をプリントアウトせずに押印することが可能なため、ハンコを持ち歩いたり都度取り出したりする必要がなく、作業効率の向上を期待されるサービスです。電子印鑑を押した書類は、印刷せずにそのままメールでの送信も可能。紙書類をやりとりする手間が省けるため、大幅な作業効率アップにつながるうえ、コストの削減も期待できます。さらに、多くの書類をペーパーレス化でき、文書管理も簡素化できます。

電子印鑑のメリット

一番のメリットは遠隔地からpcを通して押印ができることです。電子契約のメリットは押印して返送してもらう時間のロスがなくなるので大幅な時短が可能となり、リモートワークでの対応も可能となります。また電子契約には原本とコピーの違いがないため、コピーを遠隔地のストレージへ収納しておくなどリスク分散も可能となります。

電子印鑑の課題

その一方で、導入時に発生するコストやサービス利用のための固定費、またデジタルデータであるが故の不正リスクも考慮しなければなりません。相手の企業がセキュリティーの観点から電子印鑑を認めないという場合もあるため、導入には確認と調整が必要です。

まとめ

以前テレワークなのに印鑑を押すだけに出社というニュースが話題になりましたが、電子印鑑をはじめ、承認というフローにおけるはんこをそろそろ考える時期が来ております。
また、印鑑廃止といったテーマが注目されると、それが目的化して、本来解決しようとしていた課題が見失われてしまうという点があり、印鑑問題について言えば、押印という行為をなくすだけではなく、認証手段として必要とされる要件を充たしているか、確認行為の結果が共有できるようになっているか、業務効率化に役立つかといった、目的に応じた代替手段の検討と、事務プロセスの見直しが必須となります。

コロナの影響で定着? テレワークと働き方改革の今後

コロナの影響で定着? テレワークと働き方改革の今後

新型コロナの影響と働き方改革

在宅勤務をはじめとするテレワークは、もともと政府の働き方改革の一環で行われていた取り組みです。柔軟な働き方を選択できるようにすることで、企業の生産性を向上させて長時間労働をなくし、労働力不足に備える目的で推進されていました。テレワークの浸透はなかなか進んでいない状況でしたが、新型コロナウイルス感染症が世界各国で流行り、在宅勤務が始まったという方は少なくないでしょう。コロナ禍を契機にテレワークの普及が大きく進みました。

テレワークの導入率は増加

緊急事態宣言解除後は通常業務に切り替えた企業もありますが、テレワークの普及と定着に繋がりました。東京都が従業員30人以上の都内企業のテレワーク導入率を調査した結果、2020年3月時点ではテレワークの導入率が24%でしたが、4月時点では62%、394社まで伸び、わずか1か月間で大幅に増加しました。傾向としては大企業、現場作業や対人サービスのない業種が中心にはなりますが、やはり緊急事態宣言を受けテレワークが進んだことが明らかとなりました。

長時間労働の改善

テレワークの導入が進みましたが、当初の目的である生産性の向上、長時間労働の是正には繋がったのでしょうか。
内閣府が6月21日に発表した新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によると、たしかにテレワーク等の実施率が高い業種においては、労働時間が減少している傾向がみられました。しかし、仕事の効率性や生産性については、増加したと回答した割合は合わせて9.7%に過ぎず、労働生産性の効果は限定的でした。 在宅での勤怠管理が明確でない企業においては、むしろ長時間労働につながる可能性もあります。また在宅勤務では仕事とプライベートの境界が不明瞭になりがちで、実施すべき仕事内容と時間をコントロールする意識を持たなければ、逆に労働時間が伸びてしまいます。

テレワークでの業務効率を上げるためのポイント

テレワークを行う上で評価制度も変えていく必要があります。評価制度を改革するには、社内の理解を得る過程も含め、時間を要することが想定されます。しかし、浸透しつつある柔軟な働き方を今ここで途切れさせずに、労働生産性を向上させていくために、比較的簡単にできることもあります。

チームでのコミュニケーションを頻繁にとる

テレワークになると直接顔を合わせる機会は減るため、オフィス勤務とは根本的にコミュニケーションの取り方が変わる点に留意する必要があります。認識齟齬が起きないよう、関係者間での意思疎通を円滑に行うことが重要となってきます。これまで以上に意識的にコミュニケーションを取るよう心掛けましょう。Web会議システムやビジネスチャットといったコミュニケーションツールも効率化のために役立ちます。

スケジュール管理を徹底する

テレワークにおいては、基本的に業務の進め方が個人に委ねられる部分が多くなり、時間を有効に使うためにも、何時から何時までどのような仕事をどこまで実施するのか、スケジュール管理次第で生産性は大きく変わっていきます。
管理する側としても、部下の業務を可視化してある程度把握しておくことが大切です。プロジェクト管理ツール、To Doリストといったツールも活用して効率化を目指しましょう。

ツールを積極的に活用する

効率化のためのツールを積極的に活用することです。既に触れている点でもありますが、コミュニケーションツールやスケジュール管理ツール以外にも、テレワークにおいて生産性を向上させるためのツールは多数提供されています。勤怠管理システムや電子決裁システムなど、会社が導入するツールを積極的に使いこなすことで、大きく効率化が図れます。

リモートワークにも対応した効率化のための管理ツール

SmartRPA

予定登録、作業、報告、集計、分析を自動化し、SFA、CRM、プロジェクト管理機能と組み合わせる事で、営業から販売後のサポートまでを最短かつ最高品質で提供することを可能とした、統合自動化ツールです。 業務に関するあらゆる情報を管理下に置き、最適化に最も適したツールです。

出退勤、タスクの管理も可能となっており、勤務状況と同時に可視化され、適切な労働環境を作り出す事が可能です。

まとめ

新型コロナウイルスの拡大をきっかけとして定着しつつあるテレワークですが、働き方改革において生産性を向上させるという意味においては、まだ課題が多い現状があります。しかし、業務効率化・コスト削減のために今から徐々に始めることができる対応もあります。今後の生産性向上のためには、各企業の実情に合わせた取り組みが求められます。

有休義務化から約1年 有給休暇のルールと課題

有休義務化から約1年 有給休暇のルール

有給取得義務化

働き方改革関連法の成立により、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から年次有給休暇の5日以上の取得が義務化されることになりました。中小企業も例外ではなく、またパート・アルバイト、非正規雇用にも適用されます。この有給取得義務化の施行から1年以上経過しました。

有給休暇取得の義務化によって出てきた課題

有給休暇取得の義務化は、日本全体の有休消化率が50%を下回っていたという現状を打破し、2020年中には、有給休暇取得率70%を目指す目標に向かって施行されました。一方で課題も出てきております。

管理が難しくなっている

義務化以前は、労働者が有給休暇を取得できなかったとしても会社には罰則はありませんでした。
しかし、義務化に伴って労働者が年5日以上の有給休暇取得をできていないことで会社が罰則を受けることとなり、人事担当者は労働者に有給休暇を取得してもらうための方法をこれまで以上に考えなくてはならない状況となりました。
有給休暇が付与されるタイミングは、各労働者の雇用日によって異なっており、労務担当者はそれぞれの有給休暇取得状況を個別で管理する必要があります。このため、人数の多い組織になるほど管理が煩雑になってしまいます。

駆け込み有休取得

年度末や期末などの時点でまだまだ有給休暇が取得できていない従業員がいる場合、会社として早急に有給休暇取得を促す必要があります。そうしないと、3月末などに、駆け込みで有給休暇を取得しようとする労働者が多く発生する可能性があります。例えば、同時期に休暇を取る人が発生し、業務が滞る、有給休暇を取得するために、夜遅くまで残業して時間を捻出する、有給休暇を取得中にも関わらず、PCを持ち帰って自宅で仕事をする、勤務表上は有給休暇のはずなのに出社して通常通り仕事をするという自体が発生する可能性もあります。

駆け込み有休取得を防ぐための対策

有給休暇管理簿の導入

労働者各自の有給休暇消化日数を人事労務担当者が把握するためには、有給休暇管理簿の導入が必須です。 まだ労働者の有給休暇管理に注力できていない企業は、すぐに有給休暇管理簿に各自の有給休暇消化状況を記録しましょう。 また、有給休暇残日数を給与明細に明示することも基本の防止策のひとつになります。

半日単位で有給を取ることを呼びかける

年次有給休暇の取得義務を果たしていない複数の労働者がいる場合、1日単位の有給休暇が集中しないよう、半日単位でこまめに有給休暇をとって回す方法もあります。ただし、時間単位の有給休暇は、取得義務の対象外です。

有給休暇取得状況チェック日

有給休暇取得チェック日とは、例えば年度の中間や年度末を迎える数ヶ月前に、有給休暇管理簿に基づき、労働者各人の年次有給休暇取得日数を確認する日です。 こまめにチェックし呼びかけを行うことで、駆け込み有給休暇取得が発生するリスクを下げられます。

有給休暇計画付与

有給休暇の計画的付与とは、年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定を結ぶことで会社が休暇取得日を計画的に割り振れる制度のことです。
会社全体を有給休暇の休業とする日、事業場単位で休業とする日、部・グループ単位で休業とする日を設定することで会社の特性に応じ計画的に有給義務化に対応することが出来ます。

システム化によりスムーズな体制づくり

全従業員でスケジュールや業務の手順、状況を共有することによって、休んでも弊害が出ない体制を実現することが出来ます。業務書類も一括管理することにより管理職の有休義務化対応も実現することが出来ます。

まとめ

有給休暇取得義務によって、有給休暇が取得しやすくなったというのは大きな変化です。 一方で課題はあるので、罰則を受けることなく、一人ひとりが快適かつ計画的に休暇を取れるようにするための仕組みづくりをしていきましょう。

2021年4月から適用 中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用とは

2021年4月から適用 中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用とは

2020年から大企業で適用されていた。働き方改革関連法のひとつであり、同じ企業における正社員とパートタイム労働者等の間の不合理な待遇差を禁止することなどを定めたパートタイム・有期雇用労働法が2021年4月より中小企業でも適用対象となります。

パートタイム・有期雇用労働法とは

パートタイム・有期雇用労働法は、もともとはパートタイム労働者を対象としていた短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律が改正され、その対象としてパート労働者に加えて有期雇用の労働者も適用対象としたものになります。不合理な待遇差に関する規定が追加され正規非正規の格差を是正するものとなっております。今回の法改正において、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されるようになりました。

不合理な待遇差についての規制

不合理な待遇差に関する直接の規定としてパートタイム・有期雇用労働法は、均衡原則8条、均等待遇の原則を定めています。

均衡原則

この原則は、正社員とパート従業員・有期雇用従業員との間で、給料やボーナス等の待遇について不合理な差を設けてはならないというものです。

均等待遇

こちらの原則は、正社員と同視できるようなパート労働者・有期雇用労働者については、待遇を正社員と差別的に取り扱ってはいけないというものです。
すなわち、一般のパート労働者や有期雇用労働者について、合理的な根拠に基づいていれば待遇に差があっても構わないのですが、正社員と同視できるパート労働者や有期雇用労働者に対しては、正社員と同じ待遇にしなければならないということです。 正社員と同視できるか否かは、職務の内容が同一かどうか、職務内容と配置の変更の範囲が同一かどうかという観点から判断されることになります。

判断要素

しかし、これだけではどのような場合が許されて、どのような場合が許されないのかはっきりとしません。
そこで参考になるのが、厚生労働大臣によって定められたガイドラインです。 ガイドラインに具体的な法的効力があるわけではありませんので、ガイドラインに違反することイコール違法ということではありませんが、実際上裁判所が違法性を判断するうえで大きな考慮要素になることは間違いありません。 基本的な考え方として、正社員との待遇の違いについて、その理由をきちんと説明できるかどうかということが大事になります。また、仮に説明できたとしても、主観的な説明や抽象的な説明では不合理性を払拭できるものではありません。
例えば、「正社員とパート労働者では将来の弊社に対する貢献や役割に対する期待が異なるからといった理由では不合理性を否定できないでしょう。

説明義務

パートタイム・有期雇用労働法の14条2項は、パート労働者や有期雇用労働者を雇い入れる際に、その者から求めがあった際には、正社員との待遇の相違の内容、理由等を説明しなければならないことを定めています。
これに違反することそれ自体に何かペナルティが用意されているわけではありませんが、十分な説明を行わなかったことは、上記の均衡原則や均等待遇の原則に反します。 この説明義務を果たすためにも現状のパート労働者らに対する待遇を見直し、必要に応じて変更するなどの対応が必要になります。

メリット・デメリット

雇用を控える可能性

この法律により、正社員との不合理な待遇差が解消されるため、待遇が改善することや、正社員になるハードルが下がることが期待される反面、人件費の削減のために非正規社員の雇用を控える企業が増える可能性も懸念されています。

正社員は減給の可能性

正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくすために、人件費が上がり、結果的に賃金全体が引き下がる可能性があります。 更に、非正規社員との違いを設けるために、会社から求められる能力が高くなる可能性もあります。

企業におけるメリット・デメリット

非正規社員の不合理な待遇差をなくすことで、非正規社員の仕事に対するモチベーションが上がり、労働生産性があがることが期待されます。  一方で、賃金や手当、福利厚生などの待遇を見直すことで、総人件費が上がるという懸念や、待遇差について説明を求められた時の対応などの義務が増加します。

まとめ

就業規則等を見直すためには想像以上に話し合いや手続きの手間がかかります。 特に中小企業ではパート・アルバイトが正社員と同一の業務・責任を行っているというケースも珍しくないでしょう。
早急に確認を行いましょう。

なぜ進まない?日本の女性活躍の現状

なぜ進まない?日本の女性活躍の現状

女性管理職3割目標2020年30%から2030年までに先送り

政府は、社会の指導的地位に占める女性の割合を30%程度にするとした目標を先送りし、2030年代に指導的地位にある男女の比率が同水準になることを目指すとする新たな目標を掲げる方針を固めました。
女性の社会進出を後押しするため、政府は、社会の指導的地位に占める女性の割合をことし2020年までに30%程度にするとした目標を掲げていましたが、国家公務員や民間企業の女性管理職の割合が依然として低い水準にあることなどから達成は困難だとして、今年までの目標の達成を断念し、達成を目指す時期を「2020年代の可能なかぎり早期に」へと変更し、先送りすることになりました。
このように政府が後押しや目標を立ててもなかなか思うように女性の社会進出は進みづらいのが現状です。その背景には何があるでしょうか?

達成できなかった理由

この目標は2003年6月20日男女共同参画推進本部で決定し、2014年の世界経済フォーラムWEF年次総会ダボス会議で2020年までに、指導的地位にいる人の3割を女性にすると宣言したことにより実現に注目が集まっておりました。達成できなかった理由として家事やケアワークの負担が女性に偏りがち、キャリアと家庭の両立支援が不十分との指摘が多くありました。
女性活躍社会を目指すには、法律や制度、ルールを設計する意思決定の場に女性が参画することが重要です。議員選挙では120以上の国で、候補者や当選者についてどちらの性も40%を下回らないなどと法律で定めたり政党が自主ルールを設けたりするクオータ制が導入されています。欧州を中心に企業の役員会にもクオータを設ける国も。しかし日本では議論が深まっていません。

日本の女性活躍の現状

ジェンダー・ギャップ指数」G7最下位

世界各国の男女平等の度合いを指数化したジェンダー・ギャップ指数2020報告書が、2019年12月17日に世界経済フォーラムにより公表され、日本が前年の110位から順位を下げて153カ国中121位で過去最低となっております。経済、教育、保健、政治の 4 分野の中で、日本が後れを取っているのが、経済分野と政治分野。いずれの項目においても、意思決定への参画やリーダー層の男女比において女性の存在が際立って低いのが現状です。

管理職登用を望まない女性が多い

そもそも女性たちが昇進を望んでいないという声もあります。登用を希望しない理由をみると、仕事と出産・育児両立の難しさやロールモデルの不在などがあります。
また今までの、いい大学から有名企業に入り出世・昇給することが幸せに繋がるとされてきた昭和の価値観。そのために、競争が全てで、無駄な長時間労働や無慈悲な単身赴任に耐える必要という風潮が多く残っているのも要因としてあげられます。

女性を育成する風土がない

女性自身の仕事に対する意識が低いことや、良質な仕事にアサインしてもらえていないことから、中堅になる前に退職するケースが多いです。 この背景には、「女性は結婚や出産を機に家庭に入るべきだ」という考え方や、家庭を持った女性に対して重要な仕事を任せない企業の慣習などがあります。
女性の活躍を推進するにためには、まず女性を育成する環境を整えることが重要となり、 男性型の社会構造を見直し、女性も働きやすい環境や制度を経済や政治分野で整え、女性リーダーを周りが支援し、女性自身もリーダーになる主体性を持てる社会を作っていく必要があります。

女性活躍実現ののポイント

女性社員の状況や想いを正しく理解する

女性活躍推進に成功している企業では、女性社員の状況や想いを正しく理解すること、ニーズを汲み取ることに注力しています。 逆に、女性活躍推進がうまくいっていない企業では育児中の女性社員に配慮するあまり、責任のある仕事は時間制約のない社員が行う体制になっている。など女性社員への配慮の仕方が違っている、配慮が行き過ぎているというケースが多くみられます。 実際に女性社員の話をしっかりとヒアリングすることで、本当に配慮してほしいポイントを理解することが重要です。

働き方の選択肢を増やす

働く時間や場所などのに対して選択肢を用意し状況に応じて選べるようにすることが重要です。 女性社員の働き方の希望はライフイベントや本人の志向により様々です。 育児中であっても、「時短勤務で残業をせずに、子どもとの時間を優先したい人」、「さらなる成長を目指し時間をうまくやりくりして管理職で働き続けたい人」など。 選択肢がある分、働き続ける選択をする女性が増えます。

育児中の女性だけではなく全社員を対象にする

企業の女性活躍で見落とされがちなポイントとして、育児中の女性だけではなく全社員を対象にするという点があげられます。 制度を作る際には、育児中の女性だけではなく、介護中や副業をしている男性なども含めた全社員を対象とした制度にするべきです。 育児中の女性だけが利用できる制度にすることで男女格差につながり、男性は長時間働くことが当たり前の風土ができ、夜の時間帯の会議が多くなるなど結果的に女性活躍を阻害してしまう結果になるケースも発生しています。 育児中の女性だけが利用できる制度では、フルタイム勤務の女性や男性からの不満につながりかねません。 皆が平等に利用できる制度にしたところ、会社全体の離職率が下がったという企業もあり全社員を対象にすることでのプラスの面が大きいようです。

まとめ

女性活躍というトレンドに乗っかるだけではなく、男女全社員の働き方、会社の仕組み自体を変革していかなければ根本的な解決にはなりません。 企業の文化や働き方が変われば、女性社員のみならず、全社員の在り方・成果も変わってくるはずです。

一時的な導入で終わり?リモートワークの継続

一時的な導入で終わり?リモートワークの継続

リモートワークが続かない

新型コロナウィルスの影響で、一時期多くの企業がリモートワークを取り入れていました。しかし緊急事態宣言解除後はリモートワークを取りやめ通常通り出勤させる状態に戻ってしまいました。なぜリモートワークが一時的の導入にとどまり定着しなかったのでしょうか?

生産性の維持、向上ができない

リモートワークを続ける上での前提条件は、リモートワークによって生産性が維持されるもしくは、生産性が上がっていることです。 リモートワークによって業務に支障が出るなどの影響が長期的に見て大きい場合リモートワークの継続は難しくなります。 リモートワークが続く前提条件として生産性が変わらないもしくは生産性が上がるということが必須条件になります。

従業員管理が難しい

リモートワークは従業員管理が難しいと言われています。特に日本では、出勤してタイムカードを押してから一日が始まるという風土が根付いてきました。また、仕事中は実際に顔を合わせて仕事の進捗状況を把握するということが当たり前です。しかし、リモートワークの場合には目の前で仕事状況を管理できないことから、進捗がわからず業務の進捗管理が簡単ではないため、責任の取り方も難しいという意見もあります。
加えて、リモートワークでは顔を合わせてのコミュニケーションの機会が減るということも懸念されています。 リモートワークを導入するとオンライン上のみのやりとりになっていまい、人と人が繋がって仕事をするという感覚が少なくなります。更には、人とのつながりが希薄になりやすく引きこもりになってしまったり、人の目がなくなることで仕事に集中できなくなったりするのではないかと心配の声もあり こうしたことから企業は前向きに検討できず、どちらかというとリモートワーク導入に関しては慎重に判断するとしている会社の方が多くなっています。

プライベートとの区別がつきにくい

仕事とプライベートの線引きが曖昧になることを心配して、リモートワークを導入しないという企業もあります。本来プライベートの空間である自宅で仕事を行うことで、気持ちの切り替えが難しくなるケースが多いかもしれません。また、リモートワークは家族からの理解が得られにくいという傾向もあります。これは自宅に仕事を持ち込むことを家族が快く思わないという場合です。周囲の理解が得られないと十分に仕事に集中することはできません。

労災やセキュリティへの対策

テレワークにはセキュリティ問題が課題としてあり、たとえば、在宅勤務で勤務者の管理ができないことによる情報漏えいやインターネットを使って業務を行うことでの外部からの不正アクセスなどが考えられます。 また、どこまでが労災になるのかの線引きが難しいということも挙げられます。在宅で業務による作業で怪我をした場合は労災になるが、申請をせずにサテライトオフィスに行く途中で怪我をした場合は認定が難しいと言われています。

リモートワークを継続する上で行っておくべきこと

現時点で感じている問題を一つひとつ解決していく

伝達の齟齬や進捗の確認など問題になりそうな箇所を適切にリモートワークで解消する手段を確立する必要があります。コミュニケーションに関してはteamsなどのチャットツールの活用、特に対面の場合zoomなど注目度や利用率が高く、運用事例も多いためコミュニケーションや進捗管理の問題の解決に繋がります。
他企業の事例を活用できるような環境を作ることでリモートワークでの運用に適応する時間を短くしそのまま定着に繋げる事ができます。

勤怠管理のシステムを構築する

オフィスでは作業状況が見えますが、リモートワークだと直接確認することはできません。残業時間の把握、過剰労働の抑制のためにも勤怠管理や労働時間の管理は重要になっていきます。 始業・作業中断・作業再開・終業時などを随時メールやチャットで連絡する、オンラインタイムカードツールを利用して把握する、またはオンライン会議ツールやチャットツールでチーム内を常時接続するなど、管理できる体制を整える必要があります。

労災・各種手当の見直し

リモートワーク導入時に考えられる労災の適用条件の確認はしましたか? リモートワークであっても、仕事が原因による事故やケガ、病気また仕事中に災害に見舞われたときなど労災が認められることがあります。通勤災害、業務上災害などの適用条件をあらかじめリモートワークを行なう社員と確認しておきましょう。 各種手当には、通勤手当の見直しや新たに発生する費用の確認(通信費、機材・機器の費用)などが挙げられます。

従業員の自己管理意識を高める

リモートワークで失敗しないには自己管理をしっかりして会社外でも連携をしっかりすることによって初めて成功します。社員の自己管理意識を高める事も重要となってきます。

まとめ

新型コロナウイルスの影響で一時的に広まったリモートワークですが、緊急事態宣言解除後は急速に取りやめる企業が多く出ており、継続の難しさと環境変化への対応の難しさがわかります。しかし一時的とはいえリモートワークのノウハウが多く出ており、これらを参考にすることによって次回導入時やリモートワークの本格導入時にそれらが経験として生きる可能性があります。

リモートワークにも対応した効率化のための管理ツール

SmartRPA

予定登録、作業、報告、集計、分析を自動化し、SFA、CRM、プロジェクト管理機能と組み合わせる事で、営業から販売後のサポートまでを最短かつ最高品質で提供することを可能とした、統合自動化ツールです。 業務に関するあらゆる情報を管理下に置き、最適化に最も適したツールです。

出退勤、タスクの管理も可能となっており、勤務状況と同時に可視化され、適切な労働環境を作り出す事が可能です。

女性活躍推進の取り組み くるみん認定とは

女性活躍推進の取り組み くるみん認定とは

女性活躍推進の取組

くるみん認定とは?

くるみん認定

くるみん認定とは、仕事と子育ての両立支援に取り組んでいる企業を認定する制度です。次世代育成支援対策推進法という法律に基づいて厚生労働省が実施しています。
さらに、2015年4月1日より、くるみん認定を既に受け、相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な取組を促進するため、新たにプラチナくるみん認定がはじまりました。 プラチナくるみん認定を受けた企業は、プラチナくるみんマークを広告等に表示し、高い水準の取組を行っている企業であることをアピールできます。

次世代育成支援対策推進法とは

日本の急激な少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもたちの健全な育成を支援するため、企業・国・地方公共団体は各種行動計画を策定することとされています。国を挙げて環境整備に努めるために2005年に施行され、10年間を集中的・計画的取組期間とした時限立法となっています。後に法改正によって2025年3月末まで有効期限が延長されています。

くるみん認定を受けるには?

くるみん認定を受けるには、以下のような対応を行う必要があります。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づいて一般事業主行動計画を策定する
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部に一般事業主行動計画策定・変更届を届け出る
  • 自社ホームページや厚生労働省運営のWebサイト両立支援のひろばなどで一般に公表する
  • 従業員に周知徹底する
  • 一般事業主行動計画に定めた目標を達成する
  • くるみん認定申請書等を都道府県労働局雇用環境・均等部に提出する

行動計画指針には、企業における仕事と家庭(育児)の両立支援のさらなる取り組みを促進するために、パートなど非正規雇用の労働者も取り組みの対象であること、男性の育児休業取得を促進すること、所定外労働の削減に取り組むこと、年次有給休暇の取得を促進することなど、働き方の見直しにつながる取り組みを進めていくことが重要であると示されています。

プラチナくるみん認定とは

プラチナくるみん

プラチナくるみん認定は、くるみん認定を受けた企業のうち、さらにレベルの高い取り組みを行って一定の要件を満たした優良企業に与えられるものとなります。
プラチナくるみん認定申請書に必要書類を添えて、都道府県労働局雇用環境・均等部に申請すると、認定が受けられます。 育児休業を取得している社員の割合や人数の目標数値が高く、時間外労働の月平均などを公表しなければならないなど、とても高いハードルが課せられています。プラチナくるみん認定を受けるためには、事前にくるみんマークの認定を受けていなければなりません。

プラチナくるみん認定を受けるには、以下のような対応を行う必要があります。

  • 育児休業を取得した男性社員が13%以上いること。もしくは、育児休業かそれに類似する企業独自の休暇制度を利用した男性社員が30%以上いて、かつ育児休業を取得した男性社員が1人以上いること
  • 所定外労働時間の削減、有給休暇の取得促進、多様な労働条件の整備のすべてについて対策を行い、時間外労働と有給休暇については数値目標を定めてそれを達成すること
  • 出産した女性社員のうち90%が、出産から1年後に在籍していること(育児休業中でも可)。もしくは、出産した女性社員か出産予定で退職した女性社員のうち55%が、出産から1年後に在籍していること(育児休業中でも可)
  • 育児休業を取得したり、子育て中の女性社員がこれから先も仕事を続け、活躍し続けられるよう、スキル向上やキャリア形成のための取り組みを計画し、それを実施していること
  • フルタイム労働者の時間外労働・休日労働の月平均時間を公表すること
  • 時間外労働が月平均60時間以上になっている社員の数を公表すること

くるみん認定のメリット

企業のブランドイメージが向上する

くるみん認定を受けると、認定マークが企業の広報活動や企業の製品・広告・インターネットなどによる広報に掲載できるようになり、就職や転職を希望する人に広くアピールすることが可能になります。
子育て支援を行っている企業というイメージを与えやすくなり、企業イメージの向上に役立ちます。

税制優遇措置が受けられる

認定企業になると、事業における建物などの取得や事業所の増改築で減価償却が優遇制度として受けられるくるみん税制などの税制優遇措置が適用されます。
青色申告書を提出し一定期間内にくるみん認定を初めて受けると、受けた企業では、認定を受けた1年間の事業年度に新築・増改築した建物などは以下のの割増償却率で割増償却することができます。

まとめ

くるみん認定を受けると企業イメージの向上につなげる施策を打てたり、税制の優遇を受けられるなどのメリットがあります。基準は厳しくなっていますが、ぜひくるみんマークの取得を目指してはいかがでしょうか?

女性活躍推進の取り組み えるぼし認定・プラチナえるぼし認定とは

女性活躍推進の取り組み えるぼし認定・プラチナえるぼし認定とは

女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法の改正

2019年5月29日、女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立し、6月5日に公布されました。 その中でもえるぼし認定に更にもう一段上のプラチナえるぼしが追加されました。
改正内容は以下のとおりとなっております。

一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大

 

一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。

女性活躍に関する情報公表の強化

 

常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、

      
  • 職業生活に関する機会の提供に関する実績
  •   
  • 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
  •  

上記の各区分から1項目以上公表する必要があります。

特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設

 

女性の活躍推進に関する状況等が優良な起業の認定(えるぼし認定)よりも水準の高いプラチナえるぼし認定を創設。

えるぼし認定とは

えるぼし認定とは行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度となっております。
認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。この認定マークを活用することにより、女性の活躍が進んでいる企業として、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながるなどといったメリットがあります。

えるぼし認定の基準

採用されてから仕事をしていく上で、女性が能力を発揮しやすい職場環境であるかという観点から、以下5つの評価項目が定められています。なお、認定要件は年度ごとに変更されます。申請を検討されている方は厚生労働省の女性活躍推進法特集ページを事前に確認してください

  • 採用
  • 継続就業
  • 労働時間等の働き方
  • 管理職比率
  • 多様なキャリアコース

えるぼしの認定の段階

認定段階は3段階あり、上記5つの評価項目のうち、基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階が決まります。

えるぼし認定
  • 5つ全ての基準を満たす :3段階目(最高位)
  • 3~4つの基準を満たす   :2段階目
  • 1~2つの基準を満たす   :1段階目

認定実績として現在約579社が「えるぼし」認定を受けています。

認定の取り消し

えるぼしマークは、女性活躍推進法に基づく認定制度です。そのため、女性活躍推進法に定められたものに違反した場合や、基準に満たなくなってしまった場合にはえるぼし認定が取り消される場合があります。

下記3点が取り消しの対象になる項目です。一度認定されたとしても取消になってしまう場合があります。

  • 認定一般事業主が女性活躍推進法第9条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき
  • 女性活躍推進法又は女性活躍推進法に基づく命令に違反したとき
  • 不正の手段により認定を受けたとき

プラチナえるぼしとは

プラチナえるぼし

プラチナえるぼしは、えるぼし認定3段階目の上の特例認定となり、継続就業、管理職比率の基準が厳しくなっており、5つの評価項目以外にも以下の項目が追加されます。

  • 策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成したこと。
  • 男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任していること。
  • プラチナえるぼしの管理職比率、労働時間等の5つの基準の全てを満たしていること
  • 女性活躍推進法に基づく社内制度の概要を除く情報公表項目のうち、8項目以上を女性の活躍推進企業データベースで公表していること。

このように具体性、実践性、目標の達成が求められており、プラチナえるぼしでは基準をクリアしているだけではなく、事業として実施していけるかどうかを求められるようになっています。

えるぼし認定のメリット

この認定マークを活用することにより、女性の活躍が進んでいる企業として、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながるなどといったメリットがあり、例えば認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークえるぼしマーク又はプラチナえるぼしマークを商品 などにつけることができます。また、公共調達や低利融資面が得られやすくなるなど、企業運営にとっても魅力的な要素が揃っています。
プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されます。

まとめ

えるぼし認定の取得は、公共の入札が有利になる、優秀な従業員の確保ができるなど企業活動の促進に役立つほか、企業の社会的責任を果たしている証明になるため、取得して損のない制度となっております。認定企業数は創設以来増加しており、今後もさらに増えていくでしょう。